2017.09.19

【18きっぷ、雨飾山で有終の美 その2】 山バス情報162

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【山行日】 2017年09月09日(土)
      2017年09月10日(日)

【使用公共交通機関の詳細】

☆1日目(移動のみ)☆

「鉄道」
八高線某駅  - 05:25 高麗川 (JR八高線)
高麗川 05:29 - 06:50 高崎  (JR八高線)
高崎  07:12 - 08:17 水上  (JR上越線)
水上  08:24 - 10:20 長岡  (JR上越線)
長岡  10:57 - 12:29 直江津 (JR信越本線)
直江津 13:04 - 13:45 糸魚川 (えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン 670円)

「乗合タクシー」
糸魚川駅アルプス口(南口) 15:00 - 15:40 雨飾山荘 (糸魚川タクシー 1000円)※予約制

「温泉&宿泊」
雨飾山荘 (1泊2食付 9000円 入浴料金含)

☆2日目(山行&帰路)☆

「歩行」
雨飾山荘 05:30 - 06:15 倒木ベンチ(1250m付近)
倒木   06:25 - 07:30 倒木ベンチ(1700m付近)
倒木   07:40 - 08:30 雨飾山山頂
雨飾山  08:55 - 10:15 荒菅沢
荒菅沢  10:30 - 11:00 ブナ平
ブナ平  11:10 - 12:00 登山口休憩舎
休憩舎  12:50 - 13:30 雨飾荘

「温泉」
雨飾荘  13:30 - 14:05 (700円 ビール400円)

「バス」
雨飾高原 14:25 - 15:06 南小谷駅前 (小谷村村営バス 840円)

「鉄道」
南小谷  15:28 - 16:26 信濃大町 (JR大糸線)
信濃大町 16:33 - 17:29 松本   (JR大糸線)
松本   18:37 - 21:25 大月   (JR篠ノ井線・JR中央本線)
大月   21:30 - 中央線某駅    (JR中央線各駅停車東京行)

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(越後側から登っていくと、駒ヶ岳~鋸岳の稜線がとても魅惑的だった)


 前日のうちに下見をしておいたので、水は登山口の入口にある山の水をそのまま水筒に詰め、ペットボトルにアクエリアスの粉末を入れてスポーツドリンク作成。お堂があったので、山中の無事をお祈りして、のっけから始まる急登をゆっくり上がっていきます。雨飾山までゆっくり歩いて4時間と下に表示がありましたので、遅くとも10時前には山頂に到着するはずで、事故でもない限りは帰りのバスに間に合わないなんてことはあり得ません。あせらずゆっくり行くことにします。

 ツリフネソウなど見ながら、ゆっくりと登っていくと「薬師尾根」の表示。雨飾山3時間30分と書かれた場所に出ます。尾根に乗ったことが明瞭に判る地点で、ここでひと息ついていく方が好いかも知れません。私はさほど疲れてもいなかったので、そのまま歩き続けました。

 尾根を上がっていくと、左手に鋸岳の特異な山容が見えてきます。形からすると鋸岳と言うよりも烏帽子岳という名前を附したい感じですが、実際に歩くとかなりぎざぎざな印象なのかも知れません。いろいろ花の写真を撮ったものの、ピンぼけが多くてあまり載せられないのですが、↓この白いお花の名前がよくわかりませんでした。ホツツジでしょうか?

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 ママコナ(?)が群落のように咲く中を登っていき、かなり汗が出てきたので、見つけた倒木をベンチにして休憩します。プロトレックの表示は1200mあたりを指していました。水分を補給し、Tシャツ1枚になって、更に登っていきます。左手の鋸岳~駒ヶ岳の稜線が何とも魅惑的で、今度はあそこを登りにもう一度雨飾山荘に泊まってみようか…とふと思いました。

 休憩地点から20分ぐらいのところに「一ぷく処」の標識があり、梶山新湯(雨飾山荘)を指して1時間30分、雨飾山を指して2時間30分とありますが、登りでも1時間半ぐらいのものではないかと思います。本来はここで休憩するのでしょうが、先ほど休んだばかりですのでそのまま登っていきます。

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(どなたかこのお花の名前をご存知の方…)

 更に高度を稼いでいくと、今度は左手に日本海も望めるようになり、足もとには花はもちろんありませんがイワカガミの葉っぱがたくさん見られ、この山のシーズンは初夏か紅葉時なのかな…と思いました。そして今回見たお花の中で、どうにも判らなかったのが↑この花なのですが…ご存知の方いらっしゃいましたらどうかご教示願います。丁度「中の池」に向かって湿地帯のトラバースに入ったあたりで咲いていたと記憶しています。

 エゾアジサイを見たあと、これかい?という感じの「中の池」は眺めもない湿地帯で、休憩を取りたい気分にはならない場所でしたので、その先の急坂をある程度登ったところにあった倒木に腰掛けて休憩を取りました。プロトレックの表示は1650mあたりでしたが、あきらかに1631mの鋸岳を見下ろす形になっていたので、もう少し上だったと思います。そこは結構眺めも良くて、鋸岳の向こうに日本海も見えていました。 

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            (マイズルソウ)

 時刻は7時半過ぎ。休憩後は、最後の急登を片付ければ笹平の稜線と判っていましたので、かなり早い時間に山頂に着けそうだとメドもたって、マイズルソウなど写真に収めながら、じっくり高度を上げていくと笹平からの稜線に飛び出します。

 笹平からの稜線は、お花も豊富ですね。山頂直下まで平坦な径なので、ハクサンフウロやヤマハハコ、ウメバチソウ、トリカブトなど、ゆっくり撮影しながら歩を進めます。最後の急登は、もうあそこまで登ればいいんだと思うと気が楽でした。早くも降りてくる綺麗な女性に道を譲ってもらって、「天気良くて佳かったですよね~」と爽やかに挨拶されたりすれば、こんな登りは何でもなくなります(笑)。

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 (ウメバチソウ)

 そういえば、雨飾山荘のご主人も、今日の天気はこの夏一番だと太鼓判を押していました。もう秋の気配が漂っているのではないかと思っていたのですが、たまに赤い実を見る以外は色づいた葉っぱも皆無で、まだ晩夏の雰囲気です。それに今日は天気が好すぎて日射しが強い!

 後ろから来る人は誰もいないので、振り返って、先ほどすれ違った美人が雨飾の乙女の首のあたりを歩いているのを見つけて、妙な感慨にふけったり、登っている最中にノコンギクを撮影したりして、少しずつ上がっていけば、わりとあっさり山頂に着いてしまいました。

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(ノコンギク)

 先に宿を出た昨日のタクシー同乗者と挨拶を交わして、三角点にタッチ。時刻は8時半で、下から休憩を入れてもピッタリ3時間で登れてしまいました。これなら、小谷でも温泉に入れそうだな…と考えながら、さすがにこの時間ではお昼には早すぎますから、ゆっくりお湯を沸かしてティータイムとしました。

 上がってきたときは数人しかいなかった山頂も、30分近く休憩していると次々に登山者が上がってきて、笹原の中を歩く人の数も増えてきました。雨飾山に関してリンク先の人たちのレポを参考にして気づいたのは、小谷への下りで、皆さん結構時間がかかっているというのが気になっていた点でした。おそらく百名山ハンターのほとんどが小谷側から登ってくる関係上、登り優先で道を譲っているうちにいつの間にか結構な時間が経過してしまうのではないかと推測しています。

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(山頂からの眺めは天気も好くてよかったが遠望はあまりきかない)

 実際私も下りで30数人の団体などに遭遇した際はかなり待機時間が長くなりましたし、狭くて急峻な箇所が多い小谷側の登山道の特に上部はコースタイムどおりとはなかなかいかないのが現実のようです。

 これだけ晴れ渡った雨飾山山頂というのもそう滅多にお目にかかれないよなぁ…と後ろ髪引かれつつも、先だっての木曽駒での痛い失敗のこともふと頭をよぎって(笑)、30分ほどで腰を上げて、ゆっくりノンビリ下ることにしました。と、下る前に一応西尾根の入口も少し偵察。のっけから密藪で、エアリアでは昔破線だったのが実線になっていたので、もう少し明瞭なのかと思っていたのですが、登山道があるとは普通の人だと気づきにくいだろうなという印象でした。

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(西尾根入口:普通の人には登山道に見えないぐらいの薮道)

 来た道を戻って梶山新湯分岐を過ぎ笹平へ。シゲクラ尾根や先ほど気になった鋸岳方面への道が分岐しています。こちらは逆に古いエアリアでは実線だったのが最新のエアリアでは破線になっているのですが、道は先ほどの西尾根に比べたらはっきり登山道と判るレベルでした。

 笹平からは本当に急な坂を下ります。まるで谷底に向かって落ちていく感じです。登ってくる登山者はこんなにいるのか…というぐらいたくさんいて、皆さん、南側の斜面を登ってくるぶん、陽差しに照りつけられてバテてしまいがちな印象です。下りながら、暑い時期は、こちらの小谷側(南側)より越後側(北側)から登る方が遥かにラクなのではないかと思いました。

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(大袈裟ではなく、まさにこんな角度で下っていきます)

 で、これだけ急傾斜で、登ってくる人が多いと、カメラで撮影する余裕がまったくと言っていいぐらいなくなって(本当に急なところはカメラを手に持ったままでは危ないぐらい)、この谷底の写真を撮ってから1時間ほどは画像がありません(笑)。
 
 雨飾山から荒菅沢までエアリアのコースタイムは下り1時間10分となっていますが、やっぱり私も1時間20分かかってしまっています。荒菅沢はもう雪渓は全くなく、笹平の稜線にもなかったので、残雪というものにはお目にかかれずじまいでした。 

 荒菅沢では、まず冷たい水で顔や手を洗い、空いたペットボトルに念のため水を補給して、少し小腹も空いてきたので、昨日コンビニで買っておいたミニスイートクロワッサンをいくつか口にしてノンビリ休憩。
 登りにとったとき、ここは間違えて沢を登ってしまう人が多いようですが、確かに対岸の登山道の続きが少し下流寄りにあるので判りにくいかも知れません。

 で、エアリアでも注意してみれば判るのですが、下りの場合は、この先の登山道で尾根を乗っ越す為に結構な登り返しをさせられます。もう身体は下山モードになっているのでなかなか終わらない感じで、実際100mぐらいは登り返しているのではないでしょうか。

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 この登りで昨日のタクシー同乗者といろいろお話ししたのですが、下りになったところで先に行ってもらうことにしました。この時間にここまで来たら、あとは怪我をしたりしない限りは今日中に帰宅できるメドがたったというのと、よく見ればヘビイチゴや赤い秋の実が目に入ってきて、やっぱりもう山は秋なのだと、そういったものを写真に撮りながら下山したいと思ったからです。

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(このブナ林は文句なしに好かった)

 荒菅沢から約30分ほどのところに「ブナ平」と標識のある素敵な場所があります。こういう名前の場所って、申し訳程度にブナが何本かあったりするだけだったりするのですが、ここのブナ林は素晴らしいですね。周りはブナ以外の樹がないぐらい。。。もう9月だというのに葉の瑞々しさはまるで新緑の時のよう…ブナベンチがあったので、足休めしたいというより、しばらくここに留まっていたい…、そんな感じでしばらく座っていました。

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(しばらくここに座ってボーッとしていた)

 ブナ平には登山口まで50分の表示がありましたが、泥濘が多く、木道がなんの役にも立っていない道を歩いて行くと実際50分で携帯トイレ回収ボックスのある登山口に到着しました。

 休憩舎があったので、ちょうど12時で、お昼にすることに。休憩舎にはホースとブラシがあるので、ここで皆さん靴の泥を洗い流していました。休憩舎には昨日のタクシー同乗者の方もいらしたので、山の話をしながらフリーズドライのパスタでお昼ごはんにしました。

 その方は今日も山田屋に宿泊されるそうで、来るときも新幹線で糸魚川までいらしたそうです。私は今回かなり自分なりには贅沢に奮発したつもりだったのですが、いつか私もこんなふうに優雅な山旅をしてみたいなぁ…と。

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(道路の流水は登山靴洗浄の水)

 食事を済ませ、靴の泥を洗い流し、じりじりと夏の陽差しが照りつける舗装道路を小谷温泉へ。しかしここのコースタイム…というか、もしかすると地図の方がおかしいのかも知れませんが、登山口から鎌池の分岐までの舗装道路歩きは、20分どころか10分もかかりませんでした。どこか別の分岐かと何度も見返したほどですがそんなものです。で、わりとすぐにまた雨飾荘近道に出くわします。この近道は地図の通りではないと思いますし、ヤブっぽいところも多くあまり歩かれていない印象でした。土の山道を十数分下っていくと雨飾荘のすぐ近くに出ます。

 結局登山口から35分ほどで雨飾荘に着いてしまい、ゆっくり汗を流して15時のバスに間に合うと思っていたところが、14時のバスに間に合ってしまいそうです。ざっと汗を流してお湯に浸かり、14時のバスでも15時のバスでも帰宅時間は同じになってしまうと判ってはいたものの、やはりあの木曽駒の一件が記憶に残っていたこともあり、14時のバスで少し早めに松本まで行って、安心しようと決めました。

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 雨飾高原バス停は雨飾荘から5分ほど歩いて下ったところにあり、意外なことに、村営バスはいわゆるアルピコバスの大型バス。雨飾高原で乗車したのは私一人だけ。山田屋旅館の前で一人乗り込んできたほかは乗客は増えることなく南小谷駅へ到着。いかにマイカー登山が主流になったとはいえ、この乗車率では…と少々不安になりました。

 南小谷の駅で18きっぷの5回目の欄に南小谷駅のスタンプを入れてもらって、初めての大糸線に乗車です。そうです。山を始めてもうすぐ19年目になるというのに今まで大糸線に乗っていなかったのです。今後は大糸線を利用して北ア行きを毎年一度ぐらいは…と。

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(大糸線 二両編成の車内は南小谷ではがらがらだったが…)

 がらがらだった二両編成の車内も白馬駅から大勢の登山客や観光客が乗り込み、信濃大町では3両となったものの、立ち客が出る始末。松本駅では1時間ほど時間が空いてしまいましたが、このあき時間を利用して松本で夕飯を済ませておいて大正解でした。18:37発の大月行きは松本駅が始発ではなく長野駅が始発の3両編成ロングシートで、席はなんとかギリギリ確保。
 18きっぷ最終日だからでしょうか、車内は空席がほとんど無いままの状態が大月まで続き、駅弁を買って車内で…なんてことは出来ない雰囲気でした。

 大月で10両の東京行きに乗り換えたところで、これでほぼ100%帰宅できると本当に安心できたのでしょう(笑)。南小谷駅の駅前で購入した「大雪渓」という名前のお酒をちびりちびりとやりながら、今回の、そして18きっぷでの山旅を振り返り、いずれの山行もきれいな青空が見えたことや、深田百名山も3座制覇(笑)できたことなど考えれば、いろいろあったけれども、上出来だったなぁ、と満足しながら帰途についたのでした。
  

※お花の名前、気がつかれたことがありましたら、お知らせいただけると嬉しいです。


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2017.09.17

【18きっぷ、雨飾山で有終の美 その1】 山バス情報162

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(ガイドブックと逆に新潟側から登り、小谷へ降りることにした)

【山行日】 2017年09月09日(土)
      2017年09月10日(日)

【使用公共交通機関の詳細】

☆1日目(移動のみ)☆

「鉄道」
八高線某駅  - 05:25 高麗川 (JR八高線)
高麗川 05:29 - 06:50 高崎  (JR八高線)
高崎  07:12 - 08:17 水上  (JR上越線)
水上  08:24 - 10:20 長岡  (JR上越線)
長岡  10:57 - 12:29 直江津 (JR信越本線)
直江津 13:04 - 13:45 糸魚川 (えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン 670円)

「乗合タクシー」
糸魚川駅アルプス口(南口) 15:00 - 15:40 雨飾山荘 (糸魚川タクシー 1000円)※予約制

「温泉&宿泊」
雨飾山荘 (1泊2食付 9000円 入浴料金含)

☆2日目(山行&帰路)☆

「歩行」
雨飾山荘 05:30 - 06:15 倒木ベンチ(1250m付近)
倒木   06:25 - 07:30 倒木ベンチ(1700m付近)
倒木   07:40 - 08:30 雨飾山山頂
雨飾山  08:55 - 10:15 荒菅沢
荒菅沢  10:30 - 11:00 ブナ平
ブナ平  11:10 - 12:00 登山口休憩舎
休憩舎  12:50 - 13:30 雨飾荘

「温泉」
雨飾荘  13:30 - 14:05 (700円 ビール400円)

「バス」
雨飾高原 14:25 - 15:06 南小谷駅前 (小谷村村営バス 840円)

「鉄道」
南小谷  15:28 - 16:26 信濃大町 (JR大糸線)
信濃大町 16:33 - 17:29 松本   (JR大糸線)
松本   18:37 - 21:25 大月   (JR篠ノ井線・JR中央本線)
大月   21:30 - 中央線某駅    (JR中央線各駅停車東京行)


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(露天風呂は内部が滑りやすいが、とても佳いお湯)

 夏の18きっぷは9月10日が使用期限。幸い今年はこの最終日が日曜にあたってくれたため、最終回は土日で泊まりがけにすれば、使い切ることが出来ます。しかし難しいのは天気と土曜夜の宿泊施設の混雑。ここをクリアしないといけません。

 そこで、いろいろ行きたい山や温泉、温泉がなくても旅してみたいところ…等々候補をかなりピックアップしておきました。天気が悪い中、18きっぷを使おうと無茶な山行をするのは愚の骨頂ですので、天気予報と相談しながら旅行にするか山行きにするか最終決定を下すことに。。。

 木曜の昼休み。天気図を見ると、土日はどう考えても日本晴れ。どこへ行っても雨に祟られる心配は無さそうと判断。その場で雨飾山荘に電話をいれてみました。あまり混雑するのであればテントにすればいいと思っていたのですが、「布団1枚に複数人なんてことは、ありえない。余裕があるぐらい」とのお返事。下調べしておいた食事の豪華さを考えて、大奮発の2食付きでの宿泊を申し込みました。

 そして次が、雨飾山荘までのアプローチ。当初は、朝一番の八高線でほくほく線を使えば、糸魚川駅12:24発の別所行きのバスに間に合うことが判っていたので、山とバスの管理人たるもの、このバスで2時間半の歩きぐらいこなしてみようかとも思ったのですが、今はこんな便利なものがあるのですね。

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 なんと、糸魚川駅から雨飾山荘の玄関まで1000円で運んでくれる、乗合タクシー。試しにグーグルマップで見てみた山寺入口バス停から雨飾山荘の途中までの舗装道路は陽当たりがよすぎて、炎天下の中を歩くのはかなり体力の消耗になりそうです。それに糸魚川駅15:00なら「ほくほく線」を使わずに済むので、ほくほく線の料金とたいして変わらない料金で糸魚川から山荘まで運んでもらえるのですから、やはりこの便利で楽ちんな交通手段を使うことにしました。但し、この乗合タクシーは予約制で、利用日前日のお昼までに申し込みを済ませる必要があります。

 まぁ、18きっぷですので、北陸新幹線が出来た今では、こんなアプローチをする人は滅多にいないと思いますが、まだ明るくならないうちに家を出て、朝一番の八高線に乗り込みます。ちなみに新幹線でしたら東京駅お昼過ぎ出発でもじゅうぶん間に合いますヨ(笑)。

 高麗川で気動車に乗り換えて高崎に行くまでは、座席にも余裕があったのですが、高崎から先が結構大変でした。第二土曜で学生さんが乗ってきたのと、ちょうど谷川岳へ行く登山者で水上行きの車内はけっこうな混雑。それでも私は早くから並んで待っていたので座れました。

 しかし水上から先が大変でした。二両しかない長岡行きの車内は大混雑で、私も立たされるハメに(笑)。それでも、土合で登山者が私以外ほとんど降りてくれたので、ようやく吊革には掴まれる状態になりました。。。
 それにしても人が多いです。どうも鉄関係の事情のようで、前方の運転席後方に人が群がっていました。幸い私の前に座っていた人が越後湯沢で降車してくれたので、運良く私は座れたのですが、六日町でもほとんど人は降りずに、立ち客が出たままの状態で長岡までと言う想定外の混雑状況でした。水上から長岡までほぼ2時間ですからね~。ここをずっと立ちっぱなしというのは結構ツラいと思います。

 長岡で時間があったので、一旦駅の外に出てみましたが、まだ10時半なのでランチをやっているところもなく、駅のコンビニでお昼を買って待合室でもぐもぐ。長岡から直江津行きはクモハ115-1044というちょっとレトロな感じの列車。車内は空いていて、快適でした。

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(直江津行き列車 クモハ115-1044 3両だったが空いていた)

 久しぶりに日本海を眺めながら直江津到着は12時半。駅構内に日本海の海の幸を使った素敵なお弁当が売られていたのを見て、ああ、ここまで我慢してこっちでお昼にすべきだった…と後悔。でも朝早かったので、10時頃にはお腹空いちゃうんですよね(笑)。

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(駅構内:連絡通路にお弁当売場がある)

 さて、直江津から糸魚川は、北陸新幹線が出来てしまった関係でしょう、普通列車は第3セクターを利用しなければならず、18きっぷでは乗車できないので一旦改札を出て切符を買いました(尚、乗り継ぎ時間が少ないときはそのまま乗車して精算も可能です:実際この日は検札が来て「乗車券拝見」でした)。えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインは一両だけ。車内はほぼ席が埋まってしまいました。

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(えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン 泊行き 親不知の駅もJRではなくなったってことか…)

 糸魚川駅到着は13:45。 乗合タクシーの発車時刻15時00分まで1時間以上あります。どこで時間を潰したかというと、駅にあったジオパル。鉄道模型やキハ52を使った待合室、観光インフォメーションセンターなどもあって、タダで時間がつぶせます(笑)。

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(キハ52を使った待合室 但し、冷房はないので夏期は暑いです)

 乗合タクシーの時間が近づいてきたところで、駅売店で夜の寝酒を仕入れて(笑)から、南口(アルプス口)のバス停付近へ。北陸新幹線の出来た今は、平岩駅ではなくてこの糸魚川駅から蓮華温泉行きのバスも出るのですね。

 ほぼ15時に来た乗合タクシーは、私ともう一人の登山者、ほか3人の秘湯訪問者の合計5名を乗せて発車。9人まで一台で乗れるようで、後ろに荷物を置くスペースもあり快適です。ゆっくりノンビリ走っても、公式タイム1時間もかからずに、ほぼ40分で雨飾山荘の目の前に到着。ホントに便利な世の中になったものです。

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(こんな感じで横付けしてくれちゃいます)

 受付を済ませて案内されたお部屋「ゆきつばき」で、「本日はここお一人でお使いいただけます」と言われて、びっくり。古めかしい部屋ではありますが、布団もふかふかで清潔。 窓がちょっと隙間がありますが、この日は結構暑くて、用意しておいた防寒具も使用せずにすみ、寒さが気になることは全くありませんでした。

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 お風呂は内湯と外にある「都忘れの湯」の露天(混浴)とどちらも入れると聞いたので、さっそく露天から入ってみました。ぬるつきがある佳いお湯です。ただ、湯船内部が非常に滑りやすいので注意が必要です。

 夕食は18時からで、お湯に入ったあともすることもなくて退屈だったため、内湯に入ってみました。こちらも結構狭いのですが、シャンプーも使える普通の温泉でした。山の帰りに寄って汗を流すのなら内湯の方が好いでしょう。

 そしてお待ちかねの夕食です♪ 話には聞いていましたが、これはもう山小屋ではなくて、温泉旅館の食事ですね。こんな豪勢な食事をするのは何年ぶりでしょうか(笑)。お刺身も新鮮でとても美味しかったですし、写真に写っているほかにちゃんとお味噌汁も付きます。ごはんはもちろんおかわり自由。実質個室でしたし、これで9000円なら納得のお値段でした。

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(旅館並の夕食)

 夕食はビールだけでなく、日本酒も追加することが出来るようで、私の向かいに座っていらした秘湯だけで登山はしないという男性は美味しそうに召し上がっていらっしゃいました。

 夕食が済むと、山の夜はすることもなく、寝酒を飲んでいるうちに眠くなってきてしまったので、歯を磨いたらもう布団の中へ。消灯は21時なのですが、消灯前に眠り込んでしまい、22時頃トイレで目を覚ますともう部屋の電気は消えていました。

 トイレとお風呂は24時間電気が付いているので、ヘッ電なども特に必要はありません。で、トイレから戻ってきて、いい調子で眠れそうだと寝床に付いたのですが、何故か寝付けず、焦りました(笑)。ところが実際はまた寝入ってしまったらしく、「眠れない、どうしよう」と悩んでいる夢を見ていました。 

 ところが、夜中の1時半過ぎにまた目が覚めてしまい、目がさえて仕方がありませんでした。今度は本当に眠れず、こんなことで山歩けるのかな~と結構悩んでしまったのですが、3時半に電気が点いてしまった頃は、よく考えたら19時から25時半まで6時間以上睡眠が取れていることに気づき、目がさえて仕方がない間も身体は横たえたままだったせいか、寝不足でツラいという感覚は全くなくて、星空を見に行ったり、朝ごはんの前に柔軟体操もトイレも済ませておいたりして、ごはんを頂いたらすぐに出発できるように準備万端整えて、朝食に向かいます。

 他のほとんどの登山者は、朝食はつけずに、夕食のみで宿泊されたようですが、ここは、登山者優先で朝食は5時からいただけると判っていたため、朝食もつけていただくことにしておきました。なんの準備も後片付けもせずにプラス1000円で好きなだけ食べられるので、利用しない手はないと思ったのです。

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(朝食)

 少し心配なのは、朝は食欲が余りないので、夕食みたいにおかずがたくさんあったら食べきれないのではないか…という点でしたが、そういう心配は不要でした。さっぱりした内容のおかずで、もちろん、写真の他にお味噌汁も付きます。お茶も飲み放題ですし、水も小屋内のほかに登山道入口に良質の水場があります。ごはんを頂いたらすぐに登山靴を履いて出発。ちょうど明るくなってきた5時半に出発できて、これなら相当にノンビリ歩いても、今日こそは余裕で「その日のうちに帰宅」できそうです(笑)。


山行篇(その2)に続く

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2009.11.10

【なぜか関西…ポンポン山 軽ハイキング】 山バス情報106


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(西山古道 はいってすぐのあたり)


【山行日】 2009年11月8日(日)

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」
江坂 07:58 - 08:04 西中島南方 (大阪市営地下鉄御堂筋線)
南方 08:11 - 08:49 東向日   (阪急京都線準急)

「バス」
東向日駅 09:21 - 09:50 善峯寺 (阪急バス 340円)

「歩行」
善峯寺バス停 10:00 - 10:45 丸太のベンチ 
ベンチ    10:55 - 11:35 ポンポン山
ポンポン山  12:20 - 13:30 本山寺の先
本山寺    13:50 - 14:40 神峰山の森
神峰山の森  14:50 - 15:24 神峰山入口バス停

「バス」
神峰山入口  15:24 - 15:45 JR高槻駅 (高槻市営バス 210円)

「鉄道」
高槻  15:54 -16:15 大阪 (JR東海道線)

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(釈迦岳からポンポン山への稜線にて)

毎年この時期は笹子近辺の山から笹一酒造へと決まっているのですが(笑)、今年はちょっと野暮用が入りまして、山歩きを始めてからずっとご無沙汰していた関西方面へ行くことになりました。実は私、山へ通うようになるまでは、関西が好きでよく通っていたのです。

今回、用事は土曜日だけだったのですが、今は、新幹線のチケットって、新大阪往復マトモに買うよりも、ホテル一泊付の往復セットの方が安く買えたりするのですね。そんなわけで、江坂東急イン一泊で日曜日は天気が好かったら軽ハイク、芳しくないようだったら京都か奈良の観光でもということにしました。

予報を見ると天気も良さそうなので、軽装でも登れそうな山ということで、前々から面白い名前だなぁと思っていたポンポン山に行ってみることにしました。バスの時刻を調べてみると、東向日駅発小塩行きはこの時期全て善峯寺まで行ってくれるものの、9時台が一番バス。混みそうだなぁ、と少し早めに駅に行ってバス停で待機。

案の定、ボーイスカウト+ちびっ子の団体が加わって、この行列じゃあ、臨時バスは当然と思いきや、これが「乗せてしまえるなら乗せてしまったらよろしいやないの」というノリで詰め込んでしまったのには、ちょっとびっくり。東京でこんなことやったら誰か客が一人ぐらい暴れ出しそうですが、そこはさすが関西、「エライ混みようやわぁ」とか言いながらも皆ニコニコして乗り込み出発。
途中で降りる人がいたときも、この混雑の中どうするのかと思ったら、子供たちが「降りはるよぉ」なんて声かけあいながら、通路を作って何とか降ろしてしまうのは誠に感心してしまいました。

善峯寺で下車。準備運動をし出発。右手に善峯寺の参道を分けてコンクリート道路を上がっていくと、左手に小さな分岐が見付かります。エアリアで破線になっている西山古道。釈迦岳経由でポンポン山に行く径です。登山道はしっかりした感じですし、車道歩きはやっぱり厭です。静かな雰囲気なので、迷わずこちらの西山古道に足を踏み入れました。

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(西山古道入口)

思った通り、静かな径でこの陽気で再び囀っているのか野鳥の声も聞こえます。残念ながら植林がほとんどなので、紅葉は楽しめませんが、ところどころ広葉樹が色づいているのがわかります。

この日は関西もかなりの暑さで、登るにつれ汗がかなり出ます。文化の日の寒さを考えると、まるで夏に戻ったかのよう。稜線にある釈迦岳の手前のベンチで500mlのアクエリアスが一本空いてしまいました。ベンチの目の前に「釈迦岳」のプレートがありますが、これは矢印が釈迦岳の方向とは逆に付いていて、標高まで書いてあります。紛らわしいというか無い方がむしろいいような標識ですので、できれば撤去して欲しいものです。

休憩後、釈迦岳へ。しかし、これかい?というほどピークらしくないピーク。三角点と標識が何種類もあるだけ。注意していないと気がつかないかも知れません。釈迦岳からポンポン山への稜線は植林は少なく結構色づいていましたが、奥多摩の大ブナ尾根で綺麗な紅葉を見たばかりの目には今ひとつさえない感じに映ります。時間はたっぷりあるので、のんびり稜線漫歩。それでも11時半にはポンポン山へ到着。想像していたよりは山頂は混雑しておらず、眺めの好い場所でお弁当にしました。

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(ポンポン山頂より北方面の展望 愛宕山?)

ポンポン山の山名の由来は、頂上で四股を踏むとポンポンといい音がするとかいうらしく、登ってきた人がいちいちドスンドスンやり、「そういわれてみればポンポン音するわ」とか言っていますが、こんな音なら別にここの山でなくともどこの山頂でもするような(笑)…。
おそらくは下にあるお寺の和尚さんの木魚の音がポクポクいうのを麓の人が聞いて名付けたのではあるまいかと私は勝手に推測しています。

山頂でのんびりしてから、本山寺の方へ下山。最初は結構綺麗な紅葉なども見られたのですが、すぐに植林だらけの道に。。。本山寺はモミジが綺麗に紅葉していましたが、どうも自然林の紅葉を見慣れた目には、お寺のモミジというのが紅葉のため「だけ」のモミジに見えてしまって…、目が肥えてしまうというのはある意味悲しいことです(笑)。

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(本山寺 紅葉)

本山寺からはすぐにコンクリート道路に。「東海自然歩道はコンクリート道です」と車道歩きを強請するような文言に些か反感を覚えます。右手に土の登山道が見えますが、「こちらからは神峰山寺へは通り抜けできなくなりました」との注意書き。たぶん、エアリアで茶色の破線が書かれているのがこの径なのではないかと思うのですが確信が持てず、地形図も用意していないのでどうしようかとコーヒーを湧かしながら思案。

するとしばらくして来た男性ハイカーがコンクリート道路のすぐ脇の小径に入っていったのを見ました。どうやら車道と並行してついている登山道のようなので、こちらなら大丈夫そうだと私も後に従いました。
ところがこの径、最初はなかなか好かったのですが、残念ながらすぐに車道と合流してしまい、観念して結局長い車道歩きを受け容れざるを得ませんでした(笑)。

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(車道と並行していた径)

車道を足任せに下っていくとやがて神峰山の森という場所があったので、入ってみました。しかしこちらも少し登っていくと、やがて眺めもないベンチばかり沢山ある小ピークに辿り着くだけ。時間も先ほどの休憩地点から一時間ほどでしたので、ベンチで足休め。

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(神峰山の森にて)

戻って車道をまたてくてく歩いていくと神峰山口バス停近道というのがあったので、そちらへ。バスはドンピシャで来てしまったので、走って乗り込み高槻駅へ。

帰りの新幹線の時刻までかなり時間があったので、大阪に出て梅田あたりの繁華街を歩き回り、ゆっくり食事をしてから新大阪に出て新幹線で帰京しました。


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2006.09.08

【鳥海山 東北ずっこけデビュー その3】 タクシー情報6 山バス情報41

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三日目の朝も早起き。まだ薄暗い4時すぎに起床して、帰り支度を始めます。

もっとのんびりしてもいいのですが、昨日の万助道の様子から、少し余裕を持って歩きたいと思ったのと、事前に調べておいた 遊佐町営バス に乗ってみたかったからです。

万助道下部。最初だけは「またこういう道か」と先が思いやられたのですが、まもなく歩きやすい道となって、以降はほとんど問題ない、小屋上部の道に比べたらとても歩きやすい佳い径でした。自然林豊かで、紅葉の頃にまたいつか訪れてみたいと考えてしまうほど歩いていて気持ちが良かったです。

採石場の大きな音が近づくと一ノ坂。そこから車道をのんびり歩いていくと臂曲(ひじまがり)の集落に着き、四季の森「しらい自然館」が見えればそこが中村のバス停です。

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遊佐町営バスは想像していたよりずっと大きな立派なバス。手を挙げて停めないと素通りされてしまいそうなので、写真は撮れませんでした。

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三日もお風呂に入っていないので、遊佐駅から隣の吹浦駅まで電車に乗って、あぽん西浜 という入浴施設に行き、三日間の汗を流し髭を剃り、さっぱりしました。入浴料金は350円と良心的。お湯もなかなか好かったです。
駅から徒歩で約15分ほど。吹浦の駅で訊くと駅員さんが丁寧に道を教えてくれます。

なお、この日は第一月曜日でしたので営業していましたが、第二、第四月曜日は休館ですのでご注意ください。

さて、三日間にわたる東北デビューも無事終了、と思いきや、あわてて乗った吹浦発酒田行きの電車、乗り継ぎがなくて結局酒田駅で2時間半以上の足止めを喰らってしまい(笑)、行きも帰りも交通機関でずっこけてしまいました。

それでも、今回の東北デビューは思い出に残る山旅となったと思います。

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(七五三掛付近より御浜・鳥ノ海方面の稜線を望む)


東北の山、もしかしたら、ハマッつまうかもすれねっ♪



「その1」へ戻る


☆☆☆ この山行のレポは こちら です。 ☆☆☆
 (但し「うんざりするほど」長文)

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2006.09.07

【鳥海山 東北ずっこけデビュー その2】 タクシー情報6 山バス情報41

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新山で素晴らしい展望を楽しんだのち、岩場を下っていきます。登りとは違うコースで下れるようなのでそちらを下りました。しかし、重い荷物のまま登って来ないで大物忌神社にザックを置いてサブザックで登ってくるべきだったと反省。荷が重いと重心がブレ易いので、岩場では危険です。

岩の方に向き直ってそろりそろりと降りて、神社の脇で少し休んでから、七五三掛(しめかけ)へ下りました。途中登ってくる人は皆、この好天に大満足の様子で、挨拶を交わすとき、たいていどちらからともなく「好い天気で良かったですね」と付け加えます。それほど展望も申し分なく、早朝のガスが嘘のような晴れ渡り方でした。

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しかししかし、七五三掛を越え、御田ヶ原分岐で休憩して扇子盛へ登るときに、ふと振り返ると、信じられない光景が目に飛び込んできました。いつのまにか鳥海山(新山&七高山)の頂稜が分厚い雲の中に隠れてしまっているのです。

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ほんの1時間前、いや30分前まではすっきりと晴れていたのに。。。

昨日のタクシーの運ちゃんが、今になって神様に思えてきました。もし、私の行き先を再確認し間違えることなく百宅(大清水)に行っていたら、私は今頃あの雲の中で悔しい思いをしていたに違いないのです。

今回のメインは山頂(新山&七高山)よりもどちらかというと「鳥ノ海」だったのですが、幸い、これから向かう鳥ノ海方面はきれいに晴れており、御浜小屋で鳥ノ海をぼんやり見ながら、ゆっくりと早めの昼食をとることができました。

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昼食を終え、鳥ノ海周辺にも少しガスが出てきたところで、腰を上げ、鳥海湖のほとりを通って、蛇石流分岐。ここから万助道へ入ります。

万助道は、お世辞にも下りやすい径とはいえませんし、慣れない人が下ると、道を間違えてしまったのではないかと不安になるかもしれません。しかし仙人平のあたりなど「ちょっと、これは出来過ぎなんじゃないの」というぐらいいい風景です。

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仙人平を過ぎてからドッタリの間が傾斜も厳しく足場も悪いので、相当疲れます。ドッタリを過ぎてもラクな道にはならず、時間も思ったよりかかって万助小舎に着いたときは本当にホッとしました。

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万助小舎は『東北の避難小屋150』(高橋信一著)(随想舎)でも絶賛されて四つ星マークの通り、本当に好い避難小屋でした。単に備品が多いとかそういうことではなくて、この万助小舎をボランティアで管理している地元高校生たちのこの小舎に注いでいる愛情が、そのまま伝わってくるのです。

この日の夜は翌日が月曜ということもあってか、またもや私一人の貸切でした。


☆☆☆


「その3」に続く

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2006.09.06

【鳥海山 東北ずっこけデビュー その1】 タクシー情報6 山バス情報41

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【山行日】2006年9月2日(土)
     2006年9月3日(日)
     2006年9月4日(月)

【使用公共交通機関等の詳細】

「鉄道」
東京   07:36 - 11:32 秋田     (こまち3号)
秋田   12:12 - 12:55 羽後本荘   (JR羽越本線)
羽後本荘 13:00 - 13:38 矢島     (由利高原鉄道鳥海山ろく線)

「タクシー」
矢島   13:45 - 14:25 祓川(矢島口)(タクシー6850円)  

「歩行」
☆ 一日目 ☆
祓川 14:30 - 15:35 七ツ釜避難小屋 (泊)

☆ 二日目 ☆
七ツ釜避難小屋 05:25 - 07:30 七高山
七高山     07:40 - 08:15 新山
新山      08:30 - 08:45 頂上小屋
頂上小屋    08:55 - 10:00 御田ヶ原分岐
御田ヶ原分岐  10:10 - 10:50 御浜小屋
御浜小屋    11:30 - 12:55 ドッタリ
ドッタリ    13:05 - 13:45 万助小舎 (泊)

☆ 三日目 ☆
万助小舎  05:20 - 05:55 分岐
分岐    06:00 - 06:35 渡戸
渡戸    06:45 - 07:40 一ノ坂
一ノ坂   07:45 - 08:25 中村バス停

「バス」
中村  09:08 - 09:30 遊佐駅 (遊佐町営バス 250円)

「鉄道」 
遊佐  09:51 - 09:57 吹浦

「温泉」
あぽん西浜 10:15 - 11:10 

「鉄道」
吹浦 11:27 - 11:49 酒田  (JR羽越本線)
酒田 14:22 - 16:32 新潟  (いなほ10号)
新潟 17:11 - 19:20 東京  (Maxとき340号)

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実はワタクシ、海外は北極圏の北緯70度まで行ったことがあるのですが、国内となると、最北が会津若松。しかも、このときは山に登っていないので、登った山の最北は那須の茶臼岳というほど、これまで東北の山には縁がなかったのです。

月曜日に休みをとって、最初は先日のアサヨ峰で惹かれた仙丈ヶ岳を考えていたのですが、天気図を見て前線がちょっと気になり、思い切って前々から行きたかった鳥海山に行くことに決めました。

どうせ、大枚をはたいて行くのだからと、当初の予定は、百宅口から登って万助道を降りるという、とても東北初心者がとるとは思えないコース取りだったのですが、矢島から乗ったタクシーの運ちゃんの話す言葉は、東京生まれで東京育ちの私にはとても日本語には聞こえない(笑)ほどの究極の秋田弁、というかたぶん矢島方言。タクシーの中での会話もなんだかうまくかみ合ってない感じです。

そのせいかどうか、矢島駅で「百宅の登山口、大清水までお願いします」と言ったはずなのに、連れて行かれたのは何と祓川の矢島口(笑)。
百宅(ももやけ)も大清水(おしず)も間違えないで読んだのに。。。たぶん私の発音が悪かったのだと思います(苦笑)。

それでも、エアリアを見れば、1時間半ほどで七ツ釜の避難小屋に行けそうとわかり、これも何かの縁と予定変更。祓川ヒュッテで水を補給してから、避難小屋目指して登ります。賽の河原付近や御田あたりは雪の上を歩いたりしますが、まだ凍結などはしていないのでアイゼンなしで登れました。

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途中、降りてくる人たちに「これから山頂ですか?」と何度も心配され、ああ、この分だと土曜の夜でも小屋は貸し切りだろうな、との予想は的中。小さな避難小屋で備品のたぐいはほとんどありませんでしたが、一人だけの静かな夜を過ごせました。

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☆☆☆

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翌朝は晴れていますが、足下の雲海の様子が気がかりです。雲海の雲が積雲で突起しているのです。直進する道をとらず、康新道をとったのは、大雪路は歩きづらそうだという推測と、ガスが湧いてくる可能性があるので朝のうちに展望を楽しんでおこうと考えたからです。

時々背後の日本海を振り返りながら登りますが、やはり日本海の方からどんどん水蒸気が供給されているのが雲の流れでよく判り、こりゃ、山頂までもたないかも知れないという悪い予感は的中。七高山までもう200mもないというあたりで、稜線にもガスが湧き出し、一度は晴れてくれたものの、結局七高山到着時は真っ白な霧の中でした。

七高山で少し待ってみましたが、ガスは全く晴れてくれそうにありません。それどころか、気温が急激に下がって指の先が少し冷たくなってきてしまい、仕方なく御室へ向かいます。

予定では新山はパスするつもりだったのですが、昨日のアクシデントで、時間はたっぷり。半ばやけくそで新山への岩場を登り始めると、あれれ~? なんだかガスが切れて晴れてきました。御室に下るときすれ違った団体さんが七高山への登りで歓声を上げています。再び少しガスりましたが、えっちらおっちら新山の頂上へ着き、手を合わせると、まもなく周囲のガスが劇的に晴れ上がり、大展望です。海岸線もくっきり。遠く飛島も見えて、呆然と頂上からの展望に見とれてしまいました。

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「その2」に続く

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