2024.07.27

【ニッコウキスゲの回復ぶりを見に…霧ヶ峰】 山バス情報202

 

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(コロボックルヒュッテ近くで…電気柵越しだが見事な回復ぶり)

 

【山行日】 2024年07月21日(日)

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」
八王子 06:35 - 09:31 上諏訪 (JR中央線各駅停車)

「バス」
上諏訪駅 09:35 - 10:25 八島湿原 (アルピコ 1500円)

「歩行」
八島湿原バス停  10:35 - 11:25 ヒュッテみさやま
ヒュッテみさやま 11:35 - 12:00 1792mピーク(内輪?)
1792m    12:20 - 12:30 蝶々深山
蝶々深山     12:35 - 車山の肩経由 - 14:02 車山
車山       14:20 - 15:10 車山高原バス停

「バス」
車山高原 15:20 - 16:20 上諏訪駅 (アルピコ 2000円)

「鉄道」
上諏訪 16:39 - 17:07 小淵沢 (JR中央線各駅停車)
小淵沢 17:23 - 19:44 高尾  (JR中央線各駅停車)
高尾  19:45 - 中央線某駅   (JR中央線特別快速)


【地形図】 「霧ヶ峰」

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(こちらは車山の肩から車山へ上るところ)


 また一か月あいてしまいました。連休は北アルプスの山小屋と新幹線を予約していたのですが、前線の停滞予想と梅雨も明けない、ということで、すべての予約をキャンセル。その後、梅雨明けも宣言され、18きっぷのシーズンということで、出かけた先は、またもや霧ヶ峰。今回は八島湿原から白樺湖まで、ゆっくりお花見をしながらという予定です。

 上諏訪駅から八島湿原へ行くバスは、八王子発06:35の松本行鈍行でも、何とか間に合いますが、トイレに行く暇もなく、駅を出て、小走りに階段を駆け上がって、降りた出口とは反対側の駅前へ行かなくてはなりません。そして、二台用意されていたバスも、すでに立客が出た状態。。。慌てて乗り込みますが、立ち位置は運転手さんのすぐ横。幸い丁寧な運転で、立っていてもそれほど辛くありませんでしたが、このバスを好天の土日祝日に利用される方は、出発まで30分ほど待たされますが、高尾発06:15の松本行で行くか、朝一のあずさで行った方が善いでしょう。

 八島湿原は大混雑。駐車待ちの車がすでに列をなしていて、バスも反対車線を走らないと停留所に行けない始末(苦笑)。昔はバスも混まなかったし、駐車場もここまでひどい混雑ではありませんでした。鹿対策で植生が回復したためでしょうか。最近はSNSの情報で人が動くようになったので、それも原因のひとつかもしれません。

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(駐車場は満車で空き待ちの車で渋滞を起こしてました 奥は鷲ヶ峰)

 

 トイレを済ませて、準備をしたら早速、八島湿原へ入っていきます。イワベンケイ、ニッコウキスゲ、キンバイソウ、カラマツソウ、ノハナショウブ、シモツケソウ、ハクサンフウロ、イブキトラノオ、そして、これを目当てに右手のコースを選んだヤナギラン。ヤナギランの群落地では大きな望遠レンズで、飛来する蝶?を待ち伏せ中の人たちがたくさんいました。

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 鹿除け地帯の扉を抜けると、途端に花が減少しますが、それでもカワラナデシコやコウリンカ、などなど、気を付けていれば見つかります。

 ヒュッテみさやま で木陰に座るところが見つかったので一休み。水分補給をしてエアリアマップ(山と高原地図)を開き、この先のルートを考えます。とりあえず、植生が回復してニッコウキスゲが増えたという車山の肩方面を目指す予定でしたが、沢渡の手前で、前回も気になっていた踏み跡とそこに設置された道しるべ「蝶々深山・物見石方面 内輪まで30分」を見つけ、車山はカットするにしても(笑)蝶々深山には寄ってみたいと考えていたので、草がかぶっている感じでしたが、この道で蝶々深山に寄ってみようと踏み込んでいきました。

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(草深いが踏み跡自体はしっかりしている)

 

 踏み跡はしっかりしていて、草がかぶった踏み跡をたどっていくと、針葉樹の植林?に入りますが、すぐに開けて、あの美しい草原歩きになります。地形図には沢渡付近から破線が1792のピークの東側(右手)を巻くようにして物見石~蝶々深山の鞍部へと走っていますが、実際の踏み跡は違っていて、真っ直ぐ1792mピークに上がるようになっています。

 1792ピークには特に標識も見当たりませんでしたが、時間もちょうどお昼ということで、蝶々深山を前にここで食事休憩としました。

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(1792より…左奥:蓼科山、右奥:車山、右手前ピーク:蝶々深山)

 

 昼食後、物見石と蝶々深山の鞍部に降りていくと、来た方角を「沢渡り」と表示した指導標があり、登り返して蝶々深山へ。山頂はお昼時ということで、たくさんのハイカーたちが食事休憩をとっていました。私も少し腰を下ろして、車山に登るかどうか、コースタイムを検討。取り敢えずは巻き径で、車山の肩を目指し、ニッコウキスゲの回復ぶりをこの目で確かめてみよう、そのあと登るかどうか時間と相談して決めればいい、ということに。

 肩に近づくと、バイクの轟音など聞こえてきて、またかやれやれ、と思いますが、コロボックルヒュッテの前には長い行列が…。店の前には「行列は作りたくありませんが…」みたいな看板もあり、昔から人気あったけど、これって何?という感じでした。テレビででも紹介されたのでしょうか?

 そしてニッコウキスゲですが、そのコロボックルヒュッテの前の柵で囲われたところはこれでもか、というぐらいニッコウキスゲが群落になって、ここまで回復するの?というぐらいの咲きっぷり。6年前とは天と地の差。観光客がほとんどですが、盛んにキスゲをバックに記念撮影しまくっていました。

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 咲きっぷりは確かに見事でしたが、すぐそばでバイクのけたたましい轟音はするし、電気柵で人間様も近くには寄れない状態。6年前同様やはり隔靴搔痒の感はぬぐえません。遠くから何枚か写真を撮ったものの、やはり柵の向こう側にある花ということで、鑑賞していても、もどかしい気持ちになってしまいます。一回りしたら、交通量の激しい通りを渡って、念のためバス時刻を確認。13時台の便はあるものの。これが強清水止まりという、何とも不可思議な便。

 このまま来た道を戻っても、14時台の西白樺湖のバスには間に合いそうもないし、16時台の便は時間が余りすぎてしまいそう…ということで、とりあえず車山の頂上まで行ってみることに。。。上がっていく途中も右手にずっと電気柵が張られ、その向こうにはニッコウキスゲがたくさん咲いていますが、電気柵が途切れると途端に青野原…。やはり個体数を減らさないと、根本的な解決にはならないのでしょう。

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 反対側に目をやると、ウスユキソウやアザミ(?)が見つかり、キスゲはそんなにおいしいのかな…、確かに柔らかそうな花弁は食感は好さそうな感じがするけれど、などと思いながら、ゆったりした傾斜をゆるゆると登っていくと、懐かしい(?)車山山頂。前回も前々回も車山山頂には来なかったので、山頂は二度目。

 山頂も観光客が多く、気象レーダードームの南側には立派なテラスも出来ていて、スカイプラザからリフトで上がって来られるだけあって、すごい人出です。霧ヶ峰はとても素敵な場所ですが、局地的に極端に観光地化されていて、そこでしかニッコウキスゲの群落は見られないというのはどうにも皮肉なお話です。水分補給と、残りのおにぎりで一息入れ、山頂の神社にお参りした後、まだ歩いたことのない車山乗越の東側のルートを目指します。

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 道は、車山乗越との分岐を過ぎると、車も通れるほどの幅の広い砂利道↑になって、正面に白樺湖とその向こうにそびえる蓼科山を眺めながら、ゆったりと下れる道なのですが、右手にリフトやスカイプラザが見えていたりなのが、玉に瑕。こちらにも数か所電気柵が見られましたが、柵の設置は近年なのか、キスゲの数は少なく、成果は今後現れてくるのでしょう。

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 ルートはスカイプラザへと大きく右に南下を開始するあたりで、尾根道の破線が2023のエアリア(山と高原地図)に記載されていますが、その場所らしき箇所には指導標にそちらの踏み跡を指して「草原内立入禁止」と書かれていて↑、道なりに「白樺湖」と書かれています。結局スカイプラザとの分岐まで行くしかなく、時計を見ると、スカイプラザに降りれば、15:20発の車山高原始発の上諏訪行バスに間に合ってしまいそう…。

 朝のバスの様子からして、西白樺湖から乗って座れないということは十分考えられるし、夕立にあってしまうリスクもあります。白樺湖への尾根道は歩いてみたかったけれど、下の途中から車道歩きになるような道を三十分歩いて、バス待ちが長時間というのはあまりにばかばかしい選択。今回は、帰りの便なので座って帰りたいし、始発である車山高原バス停からバスで帰京しよう。

 そう決めて、スカイプラザに降りていきましたが、初めてなので、どこがバス停かわからず、通りに出てバス停に並んでいるハイカーを見つけ、ここなのか、とやっとわかった次第。。。バス停に着いたのは15:10。あと10分ほどでバスがやってくるし、上諏訪駅では鈍行まで時間がたっぷりあった前回のことを思い出し、ビール探しはやめて、下山通知を出してから、ほどなくやってきたバスに乗り込みました。

 しかし、バスは二台用意されていたにもかかわらず、霧ヶ峰インターで立客が出てしまい、八島湿原では何とか積み残しは免れたという有様。おまけに運転はかなり荒っぽく、立っている人はちょっとつらそうで気の毒な感じでした。

 上諏訪駅にはしかし、その少々荒っぽい運転のおかげ(?)で定刻に到着。前回間に合わなかった16時の小淵沢行(三両)にほぼドンピシャで間に合ってくれて、ビールの代わりに自動販売機で炭酸飲料という顛末。小淵沢でもビールはゲットできず、高尾まで乗り換えなしの6両に乗り込んでビール無しで帰途に就いたのでした。

 

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2023.07.29

【中山道経由で和田峠から鷲ヶ峰・霧ヶ峰】 山バス情報194

 

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(和田峠 古峠)

 

【山行日】 2023年07月23日 (日)

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」
中央線某駅 - 05:13 高尾 (中央線各駅停車)
高尾 05:15 - 05:51 大月 (中央線各駅停車)
大月 05:54 - 06:41 甲府 (中央線各駅停車)
甲府 06:46 - 07:57 下諏訪 (中央線各駅停車)

「バス」
下諏訪駅 08:35 - 08:54 樋橋(とよはし) (下諏訪町町営バス 150円)

「歩行」
樋橋バス停 09:05 - 09:50 中山道入口
中山道入口 10:00 - 10:20 西餅茶屋跡
西餅屋   10:25 - 11:40 和田新峠(鷲ヶ峰登山口)
和田新峠  11:50 - 12:55 鷲ヶ峰
鷲ヶ峰   13:20 - 14:55 ヒュッテみさやま
ヒュッテ  15:05 - 15:30 沢渡バス停


「バス」
沢渡 15:37 - 16:25 上諏訪駅 (アルピコ交通 1300円)

「鉄道」
上諏訪 17:22 - 19:48 大月 (中央線各駅停車)
大月  19:54 - 中央線某駅  (快速東京行き)

【地形図】 「霧ヶ峰」

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(鷲ヶ峰から霧ヶ峰に向かう稜線は闊達)

 

 霧ヶ峰、というか、八島湿原に行くたびに、気になっていた鷲ヶ峰。18切符の時期に訪れてみたいと思っていたものの、昔と違って今は和田峠へ行くバスは無い…。一人だとタクシーを奮発してまで、という気にはなかなかなれないでいたのですが、久々に買い換えた新しいエアリア「八ヶ岳」の裏図を見ると、和田峠方面の途中の樋橋(とよはし)という集落まではバスが通っているらしいとわかり、調べてみると、下諏訪町バスが運行していてくれて、これがなんと土日も走っていると確認。バス派の私のやる気がむくむくと湧いてくるというものです(笑)。

 朝一番の高尾発の下り鈍行に乗り込み、大月、甲府で乗り換えて下諏訪へは8時前の到着。駅前にはタクシーが二台ドアを開けて、おいでおいでの待機をしていますが、じっと我慢(笑)して、35分発の萩倉・樋橋・星ヶ丘線を待ちます。

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(いわゆるコミュニティバス…)

 バスは地元民の方々のために走っているものですが、日曜の朝の駅前発ということもあって、当然のように私一人の貸し切り状態で、樋橋(「とよはし」と読みます)に到着。運賃はたったの150円。これは町民でなくても長野県人でなくても同じです。

 ここから、車道を和田峠まで最悪歩くつもりだったのですが、私の持っている20年前の古いガイドブックには、そのだいぶ手前の西餅屋というところから、中山道をたどって旧和田峠(古峠)へ行くコースが紹介されており、今は廃道かも知れないけれど、見つけたらたどってみよう、と炎天下の中、車やトラックがビュンビュンの恐ろしい車道歩きを開始します。いちおう、樋橋の時点で標高は1000mを超えているのですが、やっぱり日が照りつけると暑いです(笑)。

 わりとすぐに水戸浪士の墓というのがあって、なにやら和田峠?のような文字が見えたので降りてみたのですが、結局その先でまた車道に戻らされて、本当に恐ろしい車道歩き。。。もう還暦を過ぎたのだし、こんな阿呆なことはもうやめて、今後は観念してタクシーを使おうと思いながら、歩いて行くと最初のヘアピンカーブのところで「中山道→」の標識が現れ、道路を右手に横断してみると、そこからは土の山道が…。

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(矢印の方向に車道を横断すると土の径が始まります)

 

 ガイドブックの図によれば、もう少し先の左手から西餅屋の古道が始まるはずで、地形図や最近ついに使用を開始したスマホの地図ロイドなど見てみたのですが、どうもよくわからない。。。ただ、もうトラックに幅寄せされそうになる(苦笑)車道歩きは辟易していたので、この径をたどってみることに…。

 すると再び車道と交差して左手に渡ってみると、そこが西餅屋でした。ふう…疲れた。でもまぁ、なんとか予定通り来られたので、ほっと一息。西餅屋の由来やこの先の中山道が、地元の方々の好意で整備されているらしいことが判り、一安心。水分を補給したら、中山道歩きを継続します。

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 ここから、旧和田峠(古峠)を経て、新和田峠とも言える鷲ヶ峰登山口までの行程は古いガイドブックそのままで異同はありませんが、そんな古いガイドブックなんて持っている人は少ないでしょうから、簡単に説明しますと、エアリアの黄色い線で示された142号線が新和田トンネル手前のM字型の車道を送電線に沿って二回横切る形で中山道和田峠(古峠)へと登っていく感じです(上の「地元」の文字のリンクのPDFファイルの図を参照してください)。

 地元の方が、刈り払いもしてくれているおかげで、道型は明瞭でとても歩きやすいです。ただ、高度を上げていけば行くほど、陽を遮るものが減っていって、この時期は本当に暑くて大変です。石小屋跡の先には、とても冷たくておいしい水場がありますから、ここで喉を潤して、水を補給していくことをお奨めします。

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(「水呑場」と書かれた表示がイイですね)

 

 水場から10分ほどで明るく開けた旧和田峠(古峠:トップ写真)。こんなかんかん照りでなければ、そして、時間がたっぷりあれば、お昼寝でもしてみたい感じの場所です。

 峠には三峰山へ行く分岐があり、こんなところで誰かに会うとも思っていなかったのですが、新和田峠から登ってくる登山者がいて、その方は三峰山の方(扉峠かも知れない)へと向かって行かれました。

 新和田峠へはそのまま道なりに下っていくのですが、古いガイドブック記載のように右手にスキー場を見ながらと言われても、そんなものは見当たらず、車道に出て右手に進んでいったところで、、あれがもしかしたら元スキー場だったのかも知れないという感じの場所が見つかりました。

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(和田古峠を後に車道の走る和田新峠へ向かう)

 新和田峠のあたりは、車道が入り組んでいて、わかりにくいですが、車道に出て右に道なりに歩いて行くと、「しゅん工昭和四十四年八月」と書かれた陸橋(その名も「峠橋」)を渡って左手に鷲ヶ峰の登山口があります(何故か指導標は道路の右手にあります)。

 登山口から少し進んだところで、疲れたし時間ももうお昼近く。。。山頂までは1時間以上かかるらしいので、座って、水分補給や、ラムネでブドウ糖補給。だいたい予定通りの行程なので、帰りのバスの時刻を再確認してから腰を上げて鷲ヶ峰へ向かいます。

 ガイドブックには、マイクロウェーブの鉄塔から先は眺めの好い稜線歩きになるとあるのですが、それほどでもなく、樹林帯を登っていく感じです。しかもすぐ脇をビーナスラインが通っているので、車やバイクの走行音が気になり、山の静けさもなく、少々落胆。結構急な段差もあり、こちらを下りにとるのは余りお奨めしません。

 金網のフェンスに囲まれた送電鉄塔では、送電線の整備作業が行われていて、この暑い中ご苦労様という感じです。お花はキンコウカが目立ちましたが、この金網に囲まれた内側にはニッコウキスゲなど、このあと下の八島湿原でも見られたお花が咲き乱れていたのは、何とも悲しい現実という印象が強く、苦笑いです。

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 この送電鉄塔を過ぎれば、眺めも好くなってきますが、陽差しも容赦なく照りつけて、痛し痒しというところ。雲が多く、遠くに「あれが北アルプスかな」という山塊が見えても、山座同定が可能な晴れ渡り方ではないので、ゆっくりと展望を楽しむというわけにもいきません。

 それでも、タカネナデシコやハクサンフウロなど登山道脇で見つけることも出来て、息を弾ませながら登っていくと鷲ヶ峰の山頂にたどり着きました。時刻は13時前で、おなかもペコペコだったので、空いているベンチに座って、おにぎりタイムとしました。

 八島湿原13時のバスは、ご飯を食べ終えた時点で行ってしまっていたので、次の15時半のバスまで、湿原のお花畑を散策して時間をつぶせばいいや、と思っていたのですが、上空遠くには黒い雲が広がっていて、それがちょっと気がかりです。

 遠望はききませんが、鷲ヶ峰山頂から八島湿原への稜線は伸びやかな眺めの良い素敵な尾根道です。のんびり下っていくと八島湿原が眼下に見えてきて、ああ、今日も早起きして出かけてきた好かったと思います。

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 八島園地と湿原の分岐があったので、湿原へ直接下る方を選んでみましたが、少々藪っぽいとも言えるぐらいの草花の生い茂りようで、鹿柵を境にこんなに極端に植生が変わってしまうのが逆に不自然な感じがしてなりませんでした。

 湿原に降りて、木道を進んでゆきます。キリンソウ、ノハナショウブ、キバナノヤマオダマキ、シモツケソウ、カラマツソウ、イブキトラノオ、キンバイソウ、そして、見たかったと思っていたヤナギラン。

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 とある山岳雑誌で、車山の肩付近のニッコウキスゲが回復に向かっているということを知っていたので、そこまで足を伸ばしたかったのですが、ひと月ぶりの歩きでだいぶ疲れてしまったのと、バスの時間も迫ってきていたので、ヒュッテみさやま前のベンチで悩んだあげく、余裕を持って沢渡で15時半のバスを待つことに決定。

 ただ、ヒュッテから沢渡バス停までは、どうも指導標が車で来ている人向けに書かれている様子で、わかりにくくて仕方ありませんでした。

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 沢渡バス停近くも、非常に紛らわしい図示があったりして、ちょっとこれはないんじゃないかな…というのがバス派の感想。素直に林道を下って車道に出たら左に進むとバス停があるのですが、だったら、何故その林道方向には何の矢印もないのでしょう?ここはちょっと改善してほしいです。

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 やってきたバスは、大型で、これで座れないはずはないと思って乗り込んだら、席は全部埋まっていて(笑)、八島湿原ではぎゅうぎゅう詰めになって、上諏訪駅までの一時間久々にバスで立たされました(泣)。

 上諏訪駅ではバスが遅れた上に座っていた人を先に降ろしたりしていたこともあって、当然16:39の鈍行には間に合わず、17:22まで30分余りという中途半端な待ち時間。温泉に寄るには時間不足だし…ということで、近くのコンビニでビールを仕入れて、駅の待合室で、ひとつ残しておいたおにぎりをぱくつきながら、ゆっくりと今日一日の山行を思い返しながら、大月行きの電車までのんびりと過ごしました。

 

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2022.08.14

【季節限定バスで美ヶ原散策】 山バス情報183

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(アルプス展望コースの清々しい稜線漫歩)

 

【山行日】 2022年08月11日 (山の日)

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」
八王子 06:35 - 10:17 松本 (JR中央線篠ノ井線各駅停車)

「バス」
松本バスターミナル 10:35 - 12:00 山本小屋 (朝日観光の表示:実質アルピコ 2500円)

「歩行」
山本小屋バス停   12:05 - 12:10 美しの道思い出の路
美しの道思い出の路 12:30 -
       (アルプス展望コース経由)
           - 14:00 王ヶ頭
王ヶ頭       15:10 - 15:22 王ヶ鼻
王ヶ鼻       15:25 - 15:50 美ヶ原自然保護センター

「バス」
美ヶ原自然保護センター 16:30 - 17:58 松本駅アルプス口 (第一観光 1000円)

「鉄道」
松本 18:43 - 21:27 大月 (JR篠ノ井線中央線各駅停車)
大月 21:31 -  中央線某駅 (JR中央特快東京行)

 

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(15時半、王ヶ鼻からも槍が見えていた)


 車さえ持っていればいつでも行ける美ヶ原。しかし持っていないハイカーが日帰りで訪れるチャンスはごくわずかの期間のみです。そして、その期間は東京など首都圏在住だと、もっと少なくなってしまいます。

 というのも、検索で簡単に見つかる美ヶ原行きのバスは、美ヶ原観光協会でも宣伝している松本駅アルプス口と美ヶ原自然保護センターを結ぶ1000円のバスですが、この朝の便(08:15発)に乗るのは首都圏在住だと、まず無理です。

 私のところから高尾発の始発の中央線で行っても松本到着は8:32。あと20分出発時間を遅らせてくれたら乗れるのですが、残念ながら、ここ数年このダイヤは変更されておらず、たぶん来年も無理な気がします。

 ただ、このバスのほかに、もっと期間限定な松本駅発美ヶ原高原美術館行きのバス というのがあって、これなら首都圏在住の方はほぼ捕まえることができます。毎夏、海の日の連休からお盆あたりまでという超限定ですが、ただ、このバスが山本小屋に着くのは12:00になってしまいます。そして運賃は2500円! 前述の自然保護センター行きのバスのなんと二倍以上のお値段です(苦笑)。

 まぁ、確かにタクシーで行くよりは、はるかに安いわけではありますし、こちらは三城や扉峠も経由してくれますので、ありがたい路線ではあるのですが、到着時刻とお値段と、そして期間の短さが、はい…。

 ま、そんな事情ではありますが、一度は訪れてみたい場所ですし、私のように山に復帰をするのが夏になってしまった場合の足慣らしには、まぁまぁ良いコースでありますから、18きっぷで電車賃を大幅に節約できることもありまして、決行と相成りました。

 乗り換えなしとはいえ、さすがに4時間近くも鈍行に乗っているとおしりが痛くなってしまいますが、松本駅で降りて18分という、ちょうど良い乗り継ぎ時間の美ヶ原高原美術館行きのバス。。。ターミナルに行ってみると、想像以上に巨大なバスが待機していて(五十人は楽に乗れると思います)、びっくり。なるほどこれなら予約不要なわけだと納得です。

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(行きのバスは乗り心地良い大型バス)

 バスは、乗り心地よく、ゆっくりと走ってくれます。ただ、降車ブザーはなく、降車バス停にすべて停車し、降車客がいないことを確認の上、発車するという、ちょっと変わった運行形式です。バスターミナルで料金を払って乗車券を受け取るという精算方式ですので、交通系ICカードのリーダーもありません。

 途中下車は三城荘前で一名降りた登山客がいただけで、一時間半ほど揺られて山本小屋バス停。しかし、昔のガイドブックや登山地図にあるように山本小屋の前まで運んでくれるのではなく、その手前の屈曲点で降ろされますので、山本小屋まではバイクや車の行き交う車道を歩くことになります。

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(車道脇に咲くマツムシソウ)

 
 車道にも結構お花が咲いていて、もうマツムシソウが咲いているなどと、観察しながらの歩きですが、やはり交通量の多い車道歩きは快いものではありませんね。ソフトクリーム屋がある「美しの道思いでの路」というところにベンチがあいていたので、ベンチ代としてソフトクリームを購入して、ここでお昼ご飯にしました。観光客や車の騒音がうるさいですが、蓼科山を眺められる場所でしたので、まぁ、よしとしましょう。ここは観光地ですから。。。

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 食事が終わったら、「ふる里館」と書かれた建物の前を通って、砂利道を山本小屋の方へ向かいます。ガスもなく、青空に秋のような雲が浮かび、右手の牧柵越しに牛を見ながら歩いて行きます。山本小屋前には美ヶ原高原ホテルの表示とともに、ジンギスカン(一人前1200円)やフランクフルト、天然きのこ汁、鹿汁!? などのメニューも掲げられていて、コンビニおにぎりを用意しなくてもおなかを空かせて困ることはありません(笑)。

 

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(鹿汁って(笑)?)

 山本小屋を過ぎると、少しずつですが登山ルックの人も見かけるようになり、今度は左手に遠くまで広がる牧場を見ながらの砂利道歩きになります。右手に「美しの塔」のモニュメントが出てきたあたりから先は観光客も少しずつ減ってきて、行き交う人と挨拶するようになります。

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(おなじみの美ヶ原の放牧風景)

 

 塩クレ場。。。天気も良いので、ここで、いったん茶臼山方面への道に入っていき、茶臼山へは行かずにアルプス展望コースを目指すのがポイントです。少し遠回りになりますが、道は登山道っぽくなってきて、アルプス展望コースに入ると、本当に素晴らしい展望の中、稜線歩きを楽しめます。

 

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(槍から乗鞍までずっと見えていた)

 上空の雲は相変わらず刷毛で掃いたような秋雲で、陽差しと涼風の絶妙にバランスされた気候のもと、本当に気持ちの良い高原歩きです。

 ああ、今日は美ヶ原に来て本当に良かった…、そう感じながら、槍の穂先から乗鞍岳まで視認できる北アルプスの長大な山並みを眺めながら、遠くアンテナ群がそびえ立つ王ヶ頭に向かいます。

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 展望も好いのですが、足もとのお花だってなかなか楽しめます。

 ヤマハハコ、コウリンカ、ツリガネニンジン、ウメバチソウ、マツムシソウにアキノキリンソウ、シモツケソウ…。ヤナギランは見落としかもしれませんが、見られませんでしたが、顔ぶれは晩夏から秋のものに変わっていて、お山の方はもう秋の気配です。

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(ヤマハハコ咲き始め)

 暑さにやられて(?)ぐったりとなったコオニユリを見たら、いよいよ王ヶ頭への最後の登りです。

 ハイカーには興ざめのおびただしいアンテナ群ですが、アマチュア無線家にとっては、どこら辺がサービスエリアになっているのかな、と少し興味もあります。山頂ではすでに先客が無線運用中。私も少し無線遊びで時間をつぶして行こうと、周波数がかぶらないようにご挨拶だけして、離れたところで、休憩がてら無線運用しました。

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(王ヶ頭山頂では無線の先客も…)

 

 例のSOTA山岳アワードの頂(サミット)で、先ほどの先客さんとの交信を除いた4局と交信できたので、バスの時間を理由にQRT(閉局)し、撤収します。本当は時間がもう少しあったのですが、さすがに15時を過ぎると上空の雲が怪しい色になってきたのと、もうひとつのピーク、王ヶ鼻にも行ってみたかったためです。

 15時半近くでしたが、もう誰もいないかもと思っていた王ヶ鼻には結構たくさんの人がまだいました。本当に展望が良いところで、ここでもまだ槍の穂先が見えていました。王ヶ頭よりもこちら王ヶ鼻の方が普通のハイカーにとっては好ましい場所なのではないでしょうか。

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 王ヶ鼻から来た道を戻り、王ヶ頭との中間点近くで左に伸びる自然保護センターへの砂利道を行きます。途中で王ヶ頭にあった立派なホテルの送迎バスを見かけました。一般車両は入って来れませんが、関係車両は入って来られるのですね。しばらく歩くと王ヶ頭からの直接登山道との合流地点にいたり、ここには関係車両以外入って来られないように柵があります。

 

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(ホテルの送迎バスには結構な数のお客さんが乗ってました)

 自然保護センターに着いたのは16時10分前。 カフェのような店もあって、ここでビールにありつけると思ったのですが、残念ながら、本日は営業終了との表示。自然保護センターを見学したりしていましたが、外の方が涼しいので、出てみたら、バスがやってきました。

 バスは20分前にやってきたのですが、尾瀬のバスの経験で、もう慌てる必要もないと余裕でいたところが、列をなして乗り込む乗客数にびっくり。慌てて乗車して席を確保しましたが、ぬわんと、バスの定員を上回る乗客がいることが判明。。。

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(このバスが満席になって…)

 

 運転手さんが、慌てて携帯で連絡して、積み残し分をタクシーで運ぶ事態に。。。やりとりを直接聞いたわけではないのですが、運転手さんに1000円渡して、残りの方たちはタクシーに無料で乗れるという手筈のようでした。

 コレを見ていた私は結構ビビりました。タクシーが上がってくるまで1時間は待つはず…。それから降りたとして、松本駅は何時??? そうです、あの木曽駒ヶ岳のように終電に乗り遅れてしまうと言う悪夢…。いや、今となっては笑い話ですが、私が積み残し組だったとしたら、結構不安な気持ちになっていましたよ~。松本発の鈍行の最終は19:35。あずさの最終は20時。おそらく鈍行にも間に合ったとは思うのですが、実際、当事者だったら、道中かなり不安にかられていたことは間違いないと思います。

 幸い、定刻(17:45)より遅れたものの、18時前に松本駅に到着でき、ゆっくりビールを傾けながら松本駅ビルで夕食もとれました。。。

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 そうそう、この帰りのバスですけど、今となっては珍しい、灰皿付きのシートでした(笑)。そして、道路事情もあるかと思いますが、結構揺れましたね。行きのバスとは大違いでした(バスの外側の写真は撮りましたが、動揺したせいか、あの灰皿シートの写真を撮る心の余裕がありませんでした)。。。

 車内禁煙とはどこにも書かれていませんでしたが、たばこは吸えないと思います(笑)。そして、このバスも降車ボタンはなく、発車する前に、運転手さんが「美ヶ原温泉で降りる人?」「浅間温泉で降りる人?」と聞いて、乗客が、小学生のように手を上げて答えるだけ。。。
 手を上げた人のいなかった美ヶ原温泉は素通りして松本駅へ。。。 (尚、このバスは、バスターミナルのあるお城口ではなく、アルプス口が降車場所になっています。)こちらも交通系ICカードのリーダーは無く、降りるときに運転手さんに1000円札を渡して精算です。

 松本駅:3分前にお隣のホームから出た空席だらけのあずさを見送って、発車した鈍行の大月行きは3両編成。前回乗ったときも思ったのですが、こういうお盆連休の初日とか最終日、18きっぷの最終日とか(笑)6両編成にしてくれたら…というのは無理なお願いでしょうか。。。

 大月でガラガラの10両編成の車両に乗り換えて、雨の降りしきる中、中央特快に乗りながらちょっと思ったのは、行きのマスクはいいけれど、帰りのマスクはやだな~ということ。せっかく山で体の空気を入れ換えてリフレッシュできたのに、その感触が阻害されてしまっている感じがしてなりませんでした。コロナ禍以前の山の帰り道のようには開放感に浸れないもどかしさ…。

 もうそろそろ、(マスクを外して)お酒飲んで眠りこけたっていいじゃん…、そんなことを考えながら帰途につきました。

 

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2018.07.28

【ニッコウキスゲは檻の中…霧ヶ峰・男女倉山】 山バス情報170

Meogura0255 (隔靴掻痒…電気柵越しに群生するキスゲを観賞)

 

 

 

【山行日】 2018年07月22日(日)

 

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」
八王子 06:35 - 09:30 上諏訪 (JR中央線各駅停車)

「バス」
上諏訪駅 09:50 - 10:37 八島湿原 (アルピコ交通 940円)

「歩行」
八島湿原バス停 10:45 - 11:55 男女倉山(ゼブラ山)
男女倉山    12:20 - 13:00 山彦谷 南の耳
南の耳     13:10 - 14:00 ころぼっくるひゅって前
ヒュッテ前   14:05 - 14:45 霧ヶ峰インターチェンジ

「バス」
霧ヶ峰インターチェンジ 14:56 - 15:30 上諏訪駅 (アルピコ交通 940円 5分ほど遅延)

「温泉」
片倉館 15:55 - 16:15 (割引券利用で550円)

「鉄道」
上諏訪 16:36 - 17:04 小淵沢  (JR中央線各駅停車)
小淵沢 17:12 - 17:57 甲府   (JR中央線各駅停車)
甲府  18:08 - 19:40 高尾   (JR中央線各駅停車)
高尾  19:48 - 中央線某駅    (JR中央特快東京行き)

 

Meogura0215 (南の耳から車山方面へ…のびやかな大草原だがキスゲは一輪も無い)

 

 しつこい咳もやっと治まりつつあるようなので、そろそろ山に向かいたい…が、この猛暑のさなか、高尾山や近郊の低山は冗談抜きで危険です。幸い18きっぷのシーズンに突入してくれたので、これを使って高いところでキツイ登りの無い場所…ということで、選んだのが、昨夏も訪れた霧ヶ峰。

 去年と何もかも同じでは面白くないので、AKIOさんにコメントいただいたコース=男女倉山の方を歩いてみることにしました。 昨夏よりは2週ほど早いので、前回わずかの咲き残りだけだったニッコウキスゲも、もう少したくさん目にすることが出来るのでは…との思いで出掛けてきました。

 で、霧ヶ峰へ行くアルピコのバス、確か去年は無かったと記憶しているのですが、07:45茅野駅発の車山高原行きのバスが土日祝日と8/13~8/16走ってくれています。私の家から一番の電車で行けば間に合う♪と一瞬思ったものの、よ~く調べてみると、高尾発05:14の鈍行を乗り継いで茅野駅着は07:46!!! なんと、到着の1分前に、このバス、発車してしまいます。 これ、アルピコさん、なんとか5分後(07:50発)にしてくれませんか? この1分前という発車時刻設定…もし嫌がらせでないのなら是非ご検討を(笑)。

 

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(低公害車両)

 そんなわけで、去年と全く同じ電車で、同じバスで、同じ八島湿原バス停で降車です。強清水で新聞を届けるところまで同じで、たぶん車両(低公害車)も同じです。ただ、時計が故障しているのか、紙で隠されています。乗客は10人ほどでがらがらです。

 

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(時計は故障中?)

 八島湿原で降りたところで見た光景も去年とほぼ同じ。ありがたいことにこの日も霧ヶ峰の名のようなガスはなく、鷲ヶ峰がよく見えています。今度来たらあちらへ行ってみたいな…と思いつつ、ビジターセンターで花の写真集をもらおうと思ったら、これが今は150円で販売中(笑)。なんだタダじゃないのかとケチな私は、そのまま八島湿原へ向かいました。

 八島湿原ではシカをしっかり排除してくれているおかげで、いろいろなお花が間近で見られます。そして、今が旬(?)のお花は名札をつけていてくれたりするので、花の写真集をお金を出して買う必要も無い気がします。

 

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(八島湿原内のキスゲは間近で見ることが出来るが、群生はしていない)

 ニシキウツギ、イブキボウフウ、コバギボウシ、そしてお目当てのニッコウキスゲ。。。オカトラノオやオミナエシ…そしてタチフウロ。ホソバノキリンソウにクガイソウ,コウゾリナ。。。シカくんたちをシャットアウトすると、こうも旬の花が出そろうのか…と言うほどの顔ぶれです。

 昨夏ヤナギランが咲いていたあたりに来ると、さすがに、まだこれからと言った感じですが、それでもフライング気味の花芽が開いているものも見つかり、8月入りあたりが好さそうな雰囲気でした。

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 昨夏、コオニユリとばかり思っていた花にはクルマユリの名札がつけられていて、あちゃー嘘書いちゃったと思いながら進みます(笑)。アヤメ(ショウブ?)も咲いていて、八島湿原は「咲き乱れる」とはとても言えませんが、夏のお花が間近に見られるので、来年もまた来てしまうかも…と思いながらのんびりお花散歩。

 シモツケソウも綺麗に咲いていて、来てよかったよかったと思いつつ、もうすぐ木道が終わるというあたりで…、うふふ、ほかの人たちは皆気づかずに通り過ぎているようだけど、ゴン太くんは君を見逃したりはしませんよ…ヤマオダマキが咲いていました。

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 奥霧小屋を過ぎてシカの防御策をくぐった先で、男女倉山(おめぐらやま=ゼブラ山)方面へ向かう径に入るのですが、松浦本『バリエーションルートを楽しむ』に記載のような指導標は、現在は無いようですので、左手に向かう細い踏み跡を見逃さないようにしないと物見石の方へと行ってしまいます。

 草が被りがちの径を上っていき、すぐに尾根筋に到達。右折して尾根通しに歩いて行きます。ツリガネニンジンにジャコウソウやコウリンカ、ウスユキソウが咲いているのが見つかりました。

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(コウリンカ)

 入口には指導標も見当たらなかったので、静かな山歩きが楽しめるとばかり思っていたところが、実際はそうでもありませんでした。反対方向から歩いてくる結構な数の団体さんに何度もすれ違います。おまけに、ちょうどお昼にたどり着いた男女倉山山頂では、とある百名山制覇(?)ツアー団体に遭遇してしまったほど。

 そんな団体さんが押し寄せてくるのはさすがに想定外だったので、眺めも好い男女倉山山頂でおにぎりタイムにしてしまったのですが、幸いにも彼らはお昼を既に済ませてしまったあとらしく、10分ほどしたら、八島湿原へと下って行ってくれました。

 

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(ゼブラ山の山頂標識がある男女倉山)

 

 男女倉山(ゼブラ山)山頂は、眺めのよい広々した山頂で、バスで八島から来たときは、ランチタイムにはうってつけだと思います。富士山に似た形の蓼科山も綺麗に見えていて、人が少なければ(笑)、のんびりとくつろぎたい場所です。

 しかし、本当に佳かったのは、このあとの山彦谷の両耳前後の稜線歩きでした。カメラのレンズが結露してしまって、ろくな写真が残っていないのがとても残念なのですが、猛暑の日々、こういう快適な草原歩きが出来るのはとてもありがたいことです。

 

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(北の耳から南の耳へ…左奥は車山)

 ただ、お花は本当に少ないです。見つかるのはこれまでと同じコウリンカやウスユキソウぐらい。山彦谷南の耳の先は昔のガイドブックによればニッコウキスゲが咲き乱れていたようですが、本当にただの一輪も見つかりません。レンゲツツジの葉っぱだけはたくさん見つかりますが、これも、単に花が終わってしまっただけなのか、食べ尽くされたのか…6月あたりに来てみて確かめてみたいような、みたくないような…。
 
 右手に、昨年歩いた物見石から蝶々深山の道筋と、そこを歩く団体さんの姿を見ながら、殿城山の分岐点へ草原を歩いて行きます。八ヶ岳が連峰のように左から蓼科山~天狗岳~硫黄岳~赤岳~権現岳と、ほぼ全部見える箇所もあり、アップダウンもさほど急激な箇所も無いので、今回も久しぶりの足慣らしにはちょうど良いコースでした。

 が、殿城山分岐の先で目にした恐ろしい光景がこれ(笑)。

 

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 車山から降りてくる小学生の集団登山隊です。 この中を逆行して山頂を目指す気はさすがに失せてしまい、そのまま車山肩・コロボックルヒュッテ方面への巻き道へと進んでいきます。前回、車山には既に登っているし、このままコロボックルヒュッテから霧ヶ峰インターチェンジへと降りれば、昨年乗車した15時前のバスにも間に合いそうですから、あっさりと登頂は見送り。

 今回もコロボックルヒュッテには入らず、ヒュッテ前の日陰でひと息入れたら、去年と同じ径を下山です。昨夏咲き残りのニッコウキスゲを見かけた柵の中は、咲き乱れるというほどでもありませんが、まぁまぁの数のキスゲが咲いていました。

 

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 しかし、電気柵に覆われていないところには当然のように一輪も見当たらず、今やこの花は、一部の地域を除き、本当の意味での自生はしていないに等しいのだという悲しい現実を、この山旅の最後になって見せつけられたようで、それがとても残念ではありました。昔は梅雨明けの頃に当たり前のようにどこでも咲いていたような気がして、その頃はあまりありがたみも感じていなかったのですが…。

 電気柵がなくなったあたりからは、人も少なく、一部は昨年同様草の被さった径になり、グライダーののんびり飛んでいる光景を眺めながら園地を下っていきます。早くも咲いているマツムシソウを見つけたぐらいで、これまでの径と同じような花しか見つからない中、文字のかすれた古い看板。。。

 

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 そこには「ニッコウキスゲ(ユリ科) : ユリ科ワスレナグサ属の多年草で、温帯から亜寒帯にかけての高原に自生し、花は昼間だけ開きます。特にこの霧ヶ峰高原には大群落をなしていて、七月の開花時には黄色の花が咲いてみごとである。  :  長野県」とあります。

 この看板が撤去されずに、このままの文章で、皆に読めるような明瞭な文字で新しく復活することを願いたいところですが、やはり難しいことかも知れません。

 インターチェンジに着いたのは、14:45。 バス出発までにビールを買うぐらいの時間はあるだろうと、昨年購入した店に行ってみると…

 

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(えっ…)

 なんと酒類の棚はからっぽ(笑)。売り切れたのではなく、置いていないという感じ…。そりゃ、ここに来る人たちは、ほとんどは車で来るのだろうけれど…としょんぼりしながら、バス停へと戻ろうとしたところで、右手にアイスクリームの販売所があり、よく見てみるとビールがあるとの表示♪。 聞いてみるとアサヒだけだがあるとのことで、購入(350円)。

 グビグビと飲みながらバスを待ち、去年と同じように駅の観光案内所で片倉館の割引券をもらってカラスの行水。入浴後は駅のお土産屋さんで真澄の生酒を購入して、16:36発の鈍行を乗り継いで帰宅しました。

 

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2017.08.08

【霧ヶ峰で夏のお花見…八島湿原から車山】 山バス情報159

Yashima_kirigamine0032 (八島湿原にて…ヤナギランが咲きはじめていました)

 

【山行日】 2017年08月06日(日)

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」
八王子 06:35 - 09:30 上諏訪 (JR中央線各駅停車)

「バス」
上諏訪駅 09:50 - 10:37 八島湿原 (アルピコ交通 940円)

「歩行」
八島湿原バス停 10:45 - 12:00 物見石
物見石     12:25 - 13:25 車山
車山      13:35 - 14:45 霧ヶ峰インターチェンジ

「バス」
霧ヶ峰インターチェンジ 14:56 - 15:30 上諏訪駅 (アルピコ交通 940円 10分ほど遅延)

「温泉」
片倉館 15:55 - 16:15 (割引券利用で550円)

「鉄道」
上諏訪 16:36 - 17:04 小淵沢  (JR中央線各駅停車)
小淵沢 17:12 - 17:57 甲府   (JR中央線各駅停車)
甲府  18:08 - 19:40 高尾   (JR中央線各駅停車)
高尾  19:48 - 中央線某駅    (JR中央特快東京行き)

 

Yashima_kirigamine0038 (コオニユリ…まさにちょうど見頃)

 

 梅雨の間は頑張って働いて、梅雨明けしたら思い切り山へ…と珍しく考えていたのですが(笑)、7月の連休過ぎから、天候が悪化。せっかく用意していた18きっぷの出番もないまま8月を迎え、今度は台風接近。またかよ…とは思ったものの、天気予報をしつこくチェックしていると、6日(日)の諏訪市の天気予報は晴れマークが並んで、早朝の天気予報で大雨と雷の警報が出ていたのにも怯まず、バスで八王子駅へ。

 6時35分発松本行きは、登山客で混雑することが多い列車ですが、この日はそれほどでもなく、八王子からなら皆さん座れる状態でした。電車の乗車時間は3時間。途中、山梨市と日野春で特急あずさの通過待ちがありますが、乗り換えがないので、一度座ってしまえばラクなものです。

 霧ヶ峰へ行くバスは、茅野発にしても上諏訪発にしても9時台発の10時台着が朝一番。茅野駅からだとバス代が倍近くかかってしまうので、上諏訪駅から乗ります。 上諏訪駅は改札出口がひとつしかないのですが、何故か霧ヶ峰行きのバスが発車するのは出口の反対側です。(ちなみに帰りの便が到着するのは出口のある方です)。

 

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 強い陽差しの中、階段を上がって線路をまたぎ、降りていくと、既にバスがスタンバイ状態。結構大型のアルピコバスですが、中は運転席の前に丸い時計がある、ちょっとレトロなバスでした。乗客はそれほど多くはなく、席が半分ほど埋まっていたかな…という程度。

 ぐんぐん高度を上げてあっという間に標高1600m以上の場所に連れて行ってくれるので、楽ちんです。八島湿原で降りると、青空に入道雲、駐車場の向こうには鷲が峰のたおやかな稜線が望まれ、ガスガスも覚悟していただけに、気分もうきうきしてきます。

 

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 今回のこのコース選定は約2年前にcyu2さんが歩かれたコースをそっくりそのまま拝借しています。なんだか、ランチ場所まで同じで、まるでコース泥棒みたいですが(笑)、途中のコロボックルヒュッテのティ-タイムはないので、早々と下って一本前のバスで帰っています。あ、あと往復の電車が全然チガウかな(笑)。

 トイレを済ませて、「八島湿原入口」と書かれたシカ除けネットのある入口をくぐると天然記念物指定の湿原植物群落の始まりです。cyu2さんの時と約一ヶ月違っているので、お花も微妙に違ってきます。キスゲは見当たらず、ヤマオダマキも終わってしまっている模様。しかしハクサンフウロやシシウドはまだありますし、なによりヤナギランが咲きはじめていて、結構個体数もあったのが嬉しかったです。ほか、ギボウシ、マツムシソウ、コオニユリ、シモツケソウ↓、クガイソウ、ヨツバヒヨドリ、ツリガネニンジン、カワラナデシコなど。

 

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 木道が終わり奥霧小屋(現在キャンプ地閉鎖中)を過ぎると右手に休憩できるところがありましたが、物見石まで40分ぐらいということで、物見石まで頑張って登ってからお昼にすることに。。。2ヶ月近く歩いていないうえ、かなり強い陽差しの中を登ったので、ちょっときつかったですけれど、物見石に上がってみると、やっぱり眺めも良くて、ちょうどお昼を知らせるエーデルワイスのチャイムが聞こえてきたところで、おにぎりタイムにしました。
  
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(物見石より八島湿原を見下ろす)

 

 霧ヶ峰という名前ですし、この日はちょうど二つの台風に挟まれた状態だったので、ガスガスの稜線も覚悟していたのですが、車山の向こうにある黒い雲が気になるとは言え、稜線をすっきり見渡しながらの昼食はなかなか気分の好いものでした。

 

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 凍らせたスポーツドリンクと抱き合わせで持ってきたので、ジンライムテイストの「のんある気分」は、この暑さの中、ひんやりしていて、何故かちょっとほろ酔い気分(笑)。しかし実際には酔っ払うはずもなくて、蝶々深山への闊達な稜線をゆるゆる歩いて行きます。

 

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(蝶々深山から車山を目指す)

 

 遠くから見ると車山と一体に見えた蝶々深山も登ってみればひとかどのピークらしい場所ですが、物見石から30分も経過していないのでほぼ素通り。一旦下ってから木道をまたゆるゆる登っていくと車山乗越。乗っ越から直登する径は通行止めとなっていて、その先のリフトのそばの径を上がっていきます。

 

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(リフトのすぐ横を通って登って行く)

 

 遠くから見ても急な傾斜だったこの径は、この日一番の急登ですが、急登に感じるのはそれまでの稜線歩きがあまりに緩やかだったせいかもしれません。山頂手前には車山神社があり、御柱祭りの説明書きを読み、一礼してから、気象レーダードームの向こうにある山頂へ。三角点にタッチして、ひと息入れます。ちょうど物見石から一時間でした。

 

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(車山神社)

 黒い雲がかなり気になるのと、山頂は観光客が大勢いることもあって、スポーツドリンクを飲み干してしまったら、車山肩へと降りていきます。エアリアマップで見ると山頂から肩までは車道のように感じたのですが、実際は車が通るのはとても無理なほどのゴロゴロ石の道です。

 

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(マツムシソウ)

 歩きやすい道とは言えませんが、ウスユキソウやマツムシソウが咲いていて、若いカップルの女の子がマツムシソウの写真をスマホで撮りながら、男の子に「この紫の花なんていうんだろ」と言っているのが聞こえて、「それはマツムシソウといってね、その花が咲くと松虫が鳴き始めるからそういう名前になったらしいよ」などとココまで出掛かったのですが、好い雰囲気のところにゲスな年寄りが割り込むような感じがして、やめておきました(笑)。

 

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 よく見るとコウリンカ↑も咲いています。グライダーが気持ちよさそうに飛んでいたりして、なんとものんびりした雰囲気なのですが、肩に着くと、爆音のバイクがうるさいうるさい。どうしてああまでけたたましい音をたてないといけないのでしょうかね。

 車山の肩に着いたのが14時過ぎ。霧ヶ峰インターチェンジ14:56発の上諏訪行きバスはノンビリ下っても間に合いそうです。コロボックルヒュッテには寄らずに、そのまま強清水方面と書かれた尾根径を下っていくことにします。電気柵で囲われた向こうにはニッコウキスゲの咲き残りが見つかりましたが、さすがにこの時期だと数えるほどしか見つかりません。

 

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(ニッコウキスゲ…咲き残り)

 そして闊達な眺めの良い尾根径をずっと下って行くのかとばかり思っていたら、結構ヤブっぽい径となって展望も途絶えたりで、この径はインターチェンジへ行く道にしてはあまり歩かれていないような印象でした。第五園地で再び見通しが良くなりますが、あまり歩かれていない径という印象は変わりません。

 

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(第5園地付近)

 最後はまたコウリンカが見られて、レンゲツツジの群落の表示はあるものの、8月入りとなってはさすがに花は一輪も無しです。

 インタチェンジに着き、ビールを探し回っているうちにバスの時間が刻々と近づいて、少し焦りましたが(笑)、何とか買い求めて、バス停へ。 バスは10分ほど遅れてやってきたので、混んでいるのかと思ったら、行きより空いていて、席は4分の1も埋まっていません。

 しかしこのバス、到着が遅れなくても18きっぷの使える鈍行にはめちゃくちゃ接続が悪いです。15:04の塩山行きは既に行ってしまっています。で、次が16:25の茅野行きなのですが、この普通列車は茅野から先に接続がありません。駅備え付けの時刻表で確認すると、その次の16:36小淵沢行きなら、二回乗り換えるとはいえ連絡がスムーズと判りました。

 1時間はありませんが、45分ぐらい時間があるので、駅前の観光案内所で、「この近くで銭湯でもいいのでお風呂に入れるところがあれば教えていただきたいのですけれど」と尋ねてみると、片倉館を紹介してくれて、ああ、そういえばリブルさんがよく寄っているところだ♪と思い出して、そこへ行くことに。。。地図だけでなく割引券まで戴いて、片倉館へ向かいます。

 明治時代の洋館風な建物のおしゃれな温泉でしたが、このお湯がなかなか佳くて、カラスの行水で電車の発車時刻に合わせてそそくさと出ていくのがもったいなく感じてしまいました。

 それでもあまりのんびりするわけにもいかず、片倉館を出てみると、外は急なにわか雨でした。電車の時刻に合わせて出てきてしまったので、雨の中、傘を差しながら歩いて駅へ戻りましたが、幸いにもすぐにやんでくれて、濡れることもなくすみました。

 上諏訪駅から乗り込んだ電車は3両編成。その次の小淵沢発甲府行きも同じく3両編成でしたが、なんとか座る席を確保できて、甲府からは6両編成の乗り慣れた中央線で高尾へ向かい、電車に乗っている時間の方がずっと長い今回の山旅がやっと終わったのでした。

 

Yashima_kirigamine0133 (ウスユキソウ : エーデルワイスはセイヨウウスユキソウ)

 

 

 

※お願い:お花の名前、もし間違っていましたら、ご面倒ですがご教示願います。 m(__)m

 

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