【10年ぶりの春ゼミ大合唱の御坂は…大石峠~黒岳】 山バス情報193
(大石峠)
【山行日】 2023年06月17日(土)
【使用公共交通機関の詳細】
「鉄道」
中央線某駅 - 06:19 大月 (JR中央線各駅停車)
大月 06:25 - 07:05 石和温泉 (JR中央線各駅停車)
「バス」
石和温泉駅 07:22 - 08:12 上芦川 (笛吹市営バス:富士急運行 870円 7分ほど遅延)
「歩行」
上芦川バス停 08:25 - 10:05 大石峠
大石峠 10:15 - 11:20 中っ藤山
中藤山 11:30 - 11:50 変わり果てた新道峠
新道峠 12:05 - 13:00 黒岳南の展望地点
展望地点 13:15 - 14:55 喫茶『風乃栖』(ハーブティー500円)
「バス」
三ツ峠入口 16:02 - 16:45 河口湖駅 (富士急バス 580円 10分ほど遅延)
「鉄道」
河口湖 17:01 - 18:02 大月 (富士急行 各駅停車)
大月 18:48 - 中央線某駅 (JR中央線 快速東京行き)
【地形図】 「河口湖西部」 「河口湖東部」
(木の花:サラサドウダンは鈴なりだったが…)
GW以来、ひと月半、またまた山をサボる悪い癖が…。どこか歩いておかないと夏のスペシャルにも行けない身体に逆戻りしてしまう…ということで、日帰りで、しかし、少し長めの歩行時間になるコース、ということで選んだのが、10年前にも、20年以上前にも訪れた大石峠~黒岳の稜線歩き。
しかしながら、河口湖~大石~芦川のバス便は無くなってしまっているので、旧芦川村から大石峠に上がり、黒岳からは以前に登りで敗退した(苦笑)南稜から板取沢へのコースを下りにたどってリベンジ(?)を果たすというプランにしました。
早朝の石和温泉駅、7時過ぎですが、すでに客待ちタクシーが待機しています。鶯宿行きのバスは、右側の甲府~河口湖線と違って、向かって左側のバス停から発車します。停留所の表示によれば、笛吹市の市民バスを富士急が運用しているということのようです。
発車時刻を過ぎてやってきたバスは、しばらく停車したあと、07:30頃の出発。乗客は地元の方がお一人に対し、私を含めた登山者が3人ということで、ほぼ想定内の乗車率です。結局登山者は3人とも上芦川で下車してしまい、鶯宿までは空気輸送でした。
バス停から登山口までは、下の車道は交通量が多いですし、久しぶりにここら辺の集落の様子をうかがう良い機会ですから、上芦川諏訪神社の大ケヤキのある集落の道路を行きます。懐かしい気持ちで兜造りの古民家が立ち並ぶ集落をずっと歩いて行き、FUJIYAMAツインテラス(新道峠)送迎バスのバス停「藤原邸」の先で右折です。
いつの間にこんなものが…とバス停の写真を撮っておいたのですが、それによると火曜日は運休。そのほかは以下の写真のように、9時から15・16時まで沢妻亭(新井原のあたりだと思います)と新道峠直下のツインテラスなる施設との間を1時間に1・2本走ってくれているようです。運賃は200円ですので、御坂黒岳に時間をかけずに登りたい方は利用してみるのも手かも知れません。
(送迎バス時刻表:クリック拡大可)
交通の激しい通りに降りたら、少しわかりにくいですが、道路を渡って左手に進むと「大石峠→」の指導標が見つかります。ここからは、エアリアの大石峠入口とあるところまで、実質舗装道路歩きで、周囲の木々も植林ばかりなので、少々気が滅入りますが、上芦川バス停からずっと聞こえっぱなしのハルゼミの鳴き声を聞きながら黙々と進みます。途中のわかりにくい分岐には「大石峠→」の標識がありますので、迷うこともないでしょう。
舗装道の終点で、水分補給をかねて一息いれたら、いよいよ土道の峠道を進んでいきます。周囲は自然林百パーセントとなり、ハルゼミの声もひときわ高らかに聞こえてきます。そう言えばハルゼミの声って何年ぶりだろう?思い出せないぐらい昔のことだと気づき、これまでのサボりまくりを反省。沢を離れるところで、先ほど飲み干したペットボトルに水を補給して登っていきました。
さすがに昔ながらの峠道だけあって、稜線直下の急傾斜はこういうふうに径を切っていくんだよ、というお手本のように、身体に負担のかからない径造り。峠に飛び出せば目の前に、どーんと富士山!
数ある展望地の中でも、ここから眺める富士山ほど迫力があって、それでいて端正な形状というのはなかなか巡り会えない気がします。この日は稜線歩きの最中、富士山はずっと、雲もかかることなく見えていましたが、後で振り返ってみても、大石峠からの富士山が一番でした。
ただ、残念だったことは、そうです、お花が…。10年前に来たときも唖然とするぐらい花が減っていましたが、もう今は、その回復さえ期待しない方がいい、という状況なのかな、と。。。何故か一輪だけ、アヤメが周囲の植物に囲われた形で奇跡的にという感じで残っていたのが、かえって痛々しい印象を受けました。
(自然の保護柵?に守られて一輪だけ…)
峠で水分補給がてらゆっくりしたら、黒岳方面へ歩を進めます。稜線もエゾハルゼミがずっと泣き続け、吹く風は涼風で気持ちよく、周囲の樹木も自然林で熱い太陽光線から守ってくれて、爽快な稜線漫歩です。10年前のこの時期も新道峠まではほとんど花らしい花も見られなかったので、覚悟はしていたのですが、やはり往時を知っているものには寂しい限り。赤や朱色のヤマツツジとサラサドウダンなど、鹿の口の届かない木々の花は見られたものの、地面には一輪の花もなしです。ヤマツツジは同じ樹なのに萎れているものとまだ蕾のものが同居していたりで、少々わかりにくい開花状況です(笑)。
すぐに不逢山に至り、そのまま稜線をたどっていきますが、途中一箇所でトウゴクミツバツツジの咲き残りと、このアリンコに集られた小さな白い花を見かけただけで、特筆すべきものはないまま中っ藤山。大石峠から一時間ほど経過していたので、腰を下ろして水分補給休憩。
時刻は11:20。お昼はどうしようか、新道峠にはこれといったものもなかったし(すぐに大ありと気づきます:笑)、確か新道峠の少し先に展望地点があったので、あそこで…と腰を上げて新道峠に降りてみると…。
ああ、なんということでしょう。これはちょっとやりすぎでは…、というふうに感じてしまうのは年老いた登山者目線だからでしょうか。。。なんと、舗装道が上がってきてこんな展望台が…、少し先にも、もう一つダメ押しの展望台が…。
これは唖然としてしまいましたが、もうできてしまったものだし仕方ないやと、やけくそで、背後にあるベンチも空いているしと、ここでちょうど正午ということで、この真新しい展望台とその前にドカンとそびえて見える富士山を眺めながら複雑な気持ちでおにぎりをほおばりました。
短いお昼休憩を終え、黒岳に向かうと、朝バスでご一緒だったご夫婦が新道峠の先の従来からある展望地点でお食事中。これがあれば十分じゃんという気持もありますが、まぁ、新道峠を観光地化するのなら、あの程度の規模のものが要るのかな、というあきらめに似た気持ちもありました。
相変わらずハルゼミは蝉時雨のまま疲れも知らずに泣き続け、稜線の樹木は本当に美しい自然林で吹く風もこの上ない。しかし、新道峠から先も地面の花はほぼゼロ。10年前に来たときは六月の末だったけれど、ここでグンナイフウロやヤマオダマキが二週間後に咲くとはとても思えない径の様子です。
(すずらん峠の先にあるこの標識が、何か皮肉のように見えてしまった…)
20年前に来たとき、既にほころび始めていたのでしょうが、10年前に半壊、そして今はほぼ全滅、と言って大袈裟ではないと思います。もうこの時期に御坂を歩く楽しみはないかも知れない…、訪れるのなら新緑や紅葉の方が楽しめるのでは、そんなことを考えながら、地面ばかり見ていたせいでしょうか、降りてくる登山者に、もう少しよ頑張って、と励まされて、御坂黒岳山頂。。。
山頂自体は、いつものとおり、三角点タッチと山梨百名山標柱撮影だけで素通りして、南稜にある展望地点へ。時刻は13時過ぎ。ここで再度水分補給をしつつ、少しだけ雲がかかった富士山を眺めながらのんびり…というのはウソで、周囲にいる登山者がいなくなるのを見計らって、南稜下山を開始しました。「そっち違いますよ」と言われるのもありますが、エアリア赤実線なので、他の登山者にこっちに行ってみようかという気にさせるのもいやだったのです。
(南稜ではかろうじてこんな花が地面に…)
ところが、少し進むともう少し先にある展望地点で登山者が休憩中。挨拶だけしてコンパスを振りながら、南下していきます。しかし、径は考えていたよりもずっと明瞭。踏み跡を追っていけば、特に地形判断を要するようなこともなく、急傾斜にはロープが設置されており、時折、大丈夫、この径で合ってますよ、という感じで「広瀬→」の緑色の標識が現れます。
(あと、こんな花も…)
急傾斜部分は、確かに、山慣れていないと、ちょっときつく感じますし、凍結や雨天時などは下りにとるのはやめておいた方が好いでしょうが、とにかく明瞭な踏み跡で藪もありません。急傾斜な分、鹿通りも少ない?せいか、少しだけ地面にお花が咲いているのに気づきました。
広瀬と三つ峠登山口(「←御坂トンネル」と表示されています)の分岐は、指導標があるわけではないですが、1554の小ピークを越したあと左手に注意して歩いていれば、気づくと思います。ただ、この程度の標識で赤実線はちょっとなぁ…とも思います。その先の径も沢を左岸に渡るところに倒木があって間違いやすいということを除けば、土留めもある非常に明瞭な登山道です。
最後も、確かに橋が崩落していたりはしましたが、登山口に到着してみれば、あんな昔と今では随分状況は変化しているだろうけれど、あのとき「どうして径が見つからなかったのか」その理由が全然判らないというのが感想(苦笑)。
通りに出た瞬間、河口湖行きのバスが目の前を通過。手を振りましたが気づいてもらえなかったようでした。時刻は15時前、調べておいた14時のバスは14:24通過で、30分以上も遅れているの?とバス停の時刻表を見ると河口湖行きのバスは14:43と書かれています。10分ほどの遅れだったようですが、もう逃してしまったものは仕方がありません。
次のバスは16:02。バス停そばに旦坐喫茶『風乃栖』というのがあり、さすがに一時間も交通の激しいバス停あたりで時間をつぶすのもしんどいので、メニューはお茶だけで500円也ということで、入ってみることに。。。
これが、実に当たりで、自家栽培で作ったハーブティーというのを注文したのですが、本当においしい。そして、ここの奥様と1時間という時間を退屈することなく四方山話。気がつくともうすぐバスの時間ということで、下山直後のビール飲みてぇ…状態もこの会話とおいしいお茶で雲散霧消です。
バスは外国人の観光客で大混雑。河口湖駅からは、高速バスで…と考えていたのですが、売り場には外国人観光客が長蛇の列を作っていて、ああでもないこうでもないと押し問答で、列は解消されないまま。。。あきらめて入線している17:01発の各駅停車大月行きに乗り込んで帰途につきました。
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コメント
ゴン太さん、こんにちは。
御坂の詳細レポを楽しませていただきました。
本当に地面に花がないのは寂しいですね。
グンナイフウロもヤマオダマキも駄目ですか。
以前はクサタチバナも多かったですよね。
これでは、おそらくレンゲショウマも駄目でしょうね。御坂は交通費をかけても行く値打ちがあったのですが、ツインテラスのためには行けないですね。(苦笑)
2年前の6月にすずらん群生地から黒岳を往復した時に、「稜線の花はどうかなぁ」と思っていましたが、状況が良くわかりました。
「どうして径が見つからなかったのか」その理由が全然判らない・・・・・というのは、小生もよく経験していますが、そこが山歩きの面白さの一つかもしれません。
投稿: AKIO | 2023.06.26 13:08
AKIOさん、こんばんは。コメントどうもありがとうございます。
AKIOさんから頂いたコメントで、二週連続で御坂に行ったのが、ついこのあいだのことのように思い出されるだけに、徹底的についばまれた様子に唖然としながら黒岳まで歩いていきました。
ツツジの当たり年らしく、サラサドウダンもヤマツツジもたわわだったのが、余計気に障るといったら言い過ぎでしょうか、とにかくあまり楽しめなかったというのが正直な感想です。お花のことは忘れて、新緑や紅葉を楽しむのにはまだまだ捨てがたいものがあるかもしれない稜線ではあるのですが。結構交通費がかかりますから、そこまでしてこの時期行くのは、今後はためらうでしょう。新藤峠も変わり果ててしまいましたし。。。
おっしゃる通り、あの道に限らず、山歩きでは、どうして気づかなかったのだろう、ということはままありますよね。本当に、山歩きの面白さに、ある意味気づかされました。
山は逃げない、けれども、花やバスは逃げてしまう、ということも今回しみじみと感じました。
投稿: ゴン太 | 2023.06.26 21:52
ゴン太さん、
御坂主稜、ずいぶんと変わってしまいましたねえ。
お花がないのは想像できてましたけど、あの展望台はああいう風になっていたのですね。お花をまともに見られるのはもう三ツ峠岳なのかも知れません。
そうそう(南稜ではかろうじてこんな花が地面に…)のお花はクサタチバナです。かつてはこの時期、この花が御坂主稜を真っ白に染めていたのです。
投稿: komado | 2023.06.29 00:16
komadoさん、こんばんは。コメントどうもありがとうございます。
このブログを始めて間もないころに、komadoさんに、御坂と芦川村のことを教えていただいて、お気に入りの山域になった、あそこらへんが、こうまで変わってしまうとは、私は当時想像できませんでしたが、当時から、komadoさんは、シカの食害のことを危惧されていたのを今でもよく覚えています。
三つ峠も、このぶんだと、いつまでもってくれるものか、少々心配になります。
お花の名前教えてくださりありがとうございます。そうそう、最新のエアリア買ってみて驚いたのですが、なんと今は南稜の烏帽子岩の方にも、そして、北稜にも破線ですが赤い線が入っています(ただ、さすがに鬼ヶ岳北側の破線は消えていますね)。
掲示板の方でもご指摘いただいたように、ブナをはじめとする樹々は健在なので、これからは紅葉。新緑の時期に楽しみの対象をシフトするしかなさそうです。
投稿: ゴン太 | 2023.06.30 22:44