【季節限定バスで美ヶ原散策】 山バス情報183
(アルプス展望コースの清々しい稜線漫歩)
【山行日】 2022年08月11日 (山の日)
【使用公共交通機関の詳細】
「鉄道」
八王子 06:35 - 10:17 松本 (JR中央線篠ノ井線各駅停車)
「バス」
松本バスターミナル 10:35 - 12:00 山本小屋 (朝日観光の表示:実質アルピコ 2500円)
「歩行」
山本小屋バス停 12:05 - 12:10 美しの道思い出の路
美しの道思い出の路 12:30 -
(アルプス展望コース経由)
- 14:00 王ヶ頭
王ヶ頭 15:10 - 15:22 王ヶ鼻
王ヶ鼻 15:25 - 15:50 美ヶ原自然保護センター
「バス」
美ヶ原自然保護センター 16:30 - 17:58 松本駅アルプス口 (第一観光 1000円)
「鉄道」
松本 18:43 - 21:27 大月 (JR篠ノ井線中央線各駅停車)
大月 21:31 - 中央線某駅 (JR中央特快東京行)
(15時半、王ヶ鼻からも槍が見えていた)
車さえ持っていればいつでも行ける美ヶ原。しかし持っていないハイカーが日帰りで訪れるチャンスはごくわずかの期間のみです。そして、その期間は東京など首都圏在住だと、もっと少なくなってしまいます。
というのも、検索で簡単に見つかる美ヶ原行きのバスは、美ヶ原観光協会でも宣伝している松本駅アルプス口と美ヶ原自然保護センターを結ぶ1000円のバスですが、この朝の便(08:15発)に乗るのは首都圏在住だと、まず無理です。
私のところから高尾発の始発の中央線で行っても松本到着は8:32。あと20分出発時間を遅らせてくれたら乗れるのですが、残念ながら、ここ数年このダイヤは変更されておらず、たぶん来年も無理な気がします。
ただ、このバスのほかに、もっと期間限定な松本駅発美ヶ原高原美術館行きのバス というのがあって、これなら首都圏在住の方はほぼ捕まえることができます。毎夏、海の日の連休からお盆あたりまでという超限定ですが、ただ、このバスが山本小屋に着くのは12:00になってしまいます。そして運賃は2500円! 前述の自然保護センター行きのバスのなんと二倍以上のお値段です(苦笑)。
まぁ、確かにタクシーで行くよりは、はるかに安いわけではありますし、こちらは三城や扉峠も経由してくれますので、ありがたい路線ではあるのですが、到着時刻とお値段と、そして期間の短さが、はい…。
ま、そんな事情ではありますが、一度は訪れてみたい場所ですし、私のように山に復帰をするのが夏になってしまった場合の足慣らしには、まぁまぁ良いコースでありますから、18きっぷで電車賃を大幅に節約できることもありまして、決行と相成りました。
乗り換えなしとはいえ、さすがに4時間近くも鈍行に乗っているとおしりが痛くなってしまいますが、松本駅で降りて18分という、ちょうど良い乗り継ぎ時間の美ヶ原高原美術館行きのバス。。。ターミナルに行ってみると、想像以上に巨大なバスが待機していて(五十人は楽に乗れると思います)、びっくり。なるほどこれなら予約不要なわけだと納得です。
(行きのバスは乗り心地良い大型バス)
バスは、乗り心地よく、ゆっくりと走ってくれます。ただ、降車ブザーはなく、降車バス停にすべて停車し、降車客がいないことを確認の上、発車するという、ちょっと変わった運行形式です。バスターミナルで料金を払って乗車券を受け取るという精算方式ですので、交通系ICカードのリーダーもありません。
途中下車は三城荘前で一名降りた登山客がいただけで、一時間半ほど揺られて山本小屋バス停。しかし、昔のガイドブックや登山地図にあるように山本小屋の前まで運んでくれるのではなく、その手前の屈曲点で降ろされますので、山本小屋まではバイクや車の行き交う車道を歩くことになります。
(車道脇に咲くマツムシソウ)
車道にも結構お花が咲いていて、もうマツムシソウが咲いているなどと、観察しながらの歩きですが、やはり交通量の多い車道歩きは快いものではありませんね。ソフトクリーム屋がある「美しの道思いでの路」というところにベンチがあいていたので、ベンチ代としてソフトクリームを購入して、ここでお昼ご飯にしました。観光客や車の騒音がうるさいですが、蓼科山を眺められる場所でしたので、まぁ、よしとしましょう。ここは観光地ですから。。。
食事が終わったら、「ふる里館」と書かれた建物の前を通って、砂利道を山本小屋の方へ向かいます。ガスもなく、青空に秋のような雲が浮かび、右手の牧柵越しに牛を見ながら歩いて行きます。山本小屋前には美ヶ原高原ホテルの表示とともに、ジンギスカン(一人前1200円)やフランクフルト、天然きのこ汁、鹿汁!? などのメニューも掲げられていて、コンビニおにぎりを用意しなくてもおなかを空かせて困ることはありません(笑)。
(鹿汁って(笑)?)
山本小屋を過ぎると、少しずつですが登山ルックの人も見かけるようになり、今度は左手に遠くまで広がる牧場を見ながらの砂利道歩きになります。右手に「美しの塔」のモニュメントが出てきたあたりから先は観光客も少しずつ減ってきて、行き交う人と挨拶するようになります。
(おなじみの美ヶ原の放牧風景)
塩クレ場。。。天気も良いので、ここで、いったん茶臼山方面への道に入っていき、茶臼山へは行かずにアルプス展望コースを目指すのがポイントです。少し遠回りになりますが、道は登山道っぽくなってきて、アルプス展望コースに入ると、本当に素晴らしい展望の中、稜線歩きを楽しめます。
(槍から乗鞍までずっと見えていた)
上空の雲は相変わらず刷毛で掃いたような秋雲で、陽差しと涼風の絶妙にバランスされた気候のもと、本当に気持ちの良い高原歩きです。
ああ、今日は美ヶ原に来て本当に良かった…、そう感じながら、槍の穂先から乗鞍岳まで視認できる北アルプスの長大な山並みを眺めながら、遠くアンテナ群がそびえ立つ王ヶ頭に向かいます。
展望も好いのですが、足もとのお花だってなかなか楽しめます。
ヤマハハコ、コウリンカ、ツリガネニンジン、ウメバチソウ、マツムシソウにアキノキリンソウ、シモツケソウ…。ヤナギランは見落としかもしれませんが、見られませんでしたが、顔ぶれは晩夏から秋のものに変わっていて、お山の方はもう秋の気配です。
(ヤマハハコ咲き始め)
暑さにやられて(?)ぐったりとなったコオニユリを見たら、いよいよ王ヶ頭への最後の登りです。
ハイカーには興ざめのおびただしいアンテナ群ですが、アマチュア無線家にとっては、どこら辺がサービスエリアになっているのかな、と少し興味もあります。山頂ではすでに先客が無線運用中。私も少し無線遊びで時間をつぶして行こうと、周波数がかぶらないようにご挨拶だけして、離れたところで、休憩がてら無線運用しました。
(王ヶ頭山頂では無線の先客も…)
例のSOTA山岳アワードの頂(サミット)で、先ほどの先客さんとの交信を除いた4局と交信できたので、バスの時間を理由にQRT(閉局)し、撤収します。本当は時間がもう少しあったのですが、さすがに15時を過ぎると上空の雲が怪しい色になってきたのと、もうひとつのピーク、王ヶ鼻にも行ってみたかったためです。
15時半近くでしたが、もう誰もいないかもと思っていた王ヶ鼻には結構たくさんの人がまだいました。本当に展望が良いところで、ここでもまだ槍の穂先が見えていました。王ヶ頭よりもこちら王ヶ鼻の方が普通のハイカーにとっては好ましい場所なのではないでしょうか。
王ヶ鼻から来た道を戻り、王ヶ頭との中間点近くで左に伸びる自然保護センターへの砂利道を行きます。途中で王ヶ頭にあった立派なホテルの送迎バスを見かけました。一般車両は入って来れませんが、関係車両は入って来られるのですね。しばらく歩くと王ヶ頭からの直接登山道との合流地点にいたり、ここには関係車両以外入って来られないように柵があります。
(ホテルの送迎バスには結構な数のお客さんが乗ってました)
自然保護センターに着いたのは16時10分前。 カフェのような店もあって、ここでビールにありつけると思ったのですが、残念ながら、本日は営業終了との表示。自然保護センターを見学したりしていましたが、外の方が涼しいので、出てみたら、バスがやってきました。
バスは20分前にやってきたのですが、尾瀬のバスの経験で、もう慌てる必要もないと余裕でいたところが、列をなして乗り込む乗客数にびっくり。慌てて乗車して席を確保しましたが、ぬわんと、バスの定員を上回る乗客がいることが判明。。。
(このバスが満席になって…)
運転手さんが、慌てて携帯で連絡して、積み残し分をタクシーで運ぶ事態に。。。やりとりを直接聞いたわけではないのですが、運転手さんに1000円渡して、残りの方たちはタクシーに無料で乗れるという手筈のようでした。
コレを見ていた私は結構ビビりました。タクシーが上がってくるまで1時間は待つはず…。それから降りたとして、松本駅は何時??? そうです、あの木曽駒ヶ岳のように終電に乗り遅れてしまうと言う悪夢…。いや、今となっては笑い話ですが、私が積み残し組だったとしたら、結構不安な気持ちになっていましたよ~。松本発の鈍行の最終は19:35。あずさの最終は20時。おそらく鈍行にも間に合ったとは思うのですが、実際、当事者だったら、道中かなり不安にかられていたことは間違いないと思います。
幸い、定刻(17:45)より遅れたものの、18時前に松本駅に到着でき、ゆっくりビールを傾けながら松本駅ビルで夕食もとれました。。。
そうそう、この帰りのバスですけど、今となっては珍しい、灰皿付きのシートでした(笑)。そして、道路事情もあるかと思いますが、結構揺れましたね。行きのバスとは大違いでした(バスの外側の写真は撮りましたが、動揺したせいか、あの灰皿シートの写真を撮る心の余裕がありませんでした)。。。
車内禁煙とはどこにも書かれていませんでしたが、たばこは吸えないと思います(笑)。そして、このバスも降車ボタンはなく、発車する前に、運転手さんが「美ヶ原温泉で降りる人?」「浅間温泉で降りる人?」と聞いて、乗客が、小学生のように手を上げて答えるだけ。。。
手を上げた人のいなかった美ヶ原温泉は素通りして松本駅へ。。。 (尚、このバスは、バスターミナルのあるお城口ではなく、アルプス口が降車場所になっています。)こちらも交通系ICカードのリーダーは無く、降りるときに運転手さんに1000円札を渡して精算です。
松本駅:3分前にお隣のホームから出た空席だらけのあずさを見送って、発車した鈍行の大月行きは3両編成。前回乗ったときも思ったのですが、こういうお盆連休の初日とか最終日、18きっぷの最終日とか(笑)6両編成にしてくれたら…というのは無理なお願いでしょうか。。。
大月でガラガラの10両編成の車両に乗り換えて、雨の降りしきる中、中央特快に乗りながらちょっと思ったのは、行きのマスクはいいけれど、帰りのマスクはやだな~ということ。せっかく山で体の空気を入れ換えてリフレッシュできたのに、その感触が阻害されてしまっている感じがしてなりませんでした。コロナ禍以前の山の帰り道のようには開放感に浸れないもどかしさ…。
もうそろそろ、(マスクを外して)お酒飲んで眠りこけたっていいじゃん…、そんなことを考えながら帰途につきました。
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コメント
ゴン太さん、こんにちは。
あのバスに乗られましたか。アルピコがないと日帰りは難しいですね。前はきちんとアルピコ交通のバスでしたけど、委託に変わったみたいですね。
帰りのあのバス、やはり定員を超える事が結構あるみたいです。自分の時はタクシー二台も呼んでいたようです。早めに着かないと危ないです。
でも、美ヶ原はホントに涼しいし、お花も多いので、夏に一度は行きたいですね。
投稿: リブル | 2022.08.15 21:34
ゴン太さん、こんにちは。
ゴン太さんのコメントに松本云々の記載があったので、「美ヶ原かなぁ」と想像していたところでした。
バスのお話、興味深く拝読しました。
実は昨夏に松本に立ち寄った時に、松本在住の友人と車で自然保護センターから王ヶ鼻、王ヶ頭と歩きました。王ヶ頭南面の巻道などで予想以上にいろいろな花を見ることができたので、「バスでのアプローチはどうだろう?」と検討していましたが、今年は残念ながら行けなかったです。(確かバスもお盆までだったような記憶が?)
松本からの復路の各停は、ゴン太さんの意見に同感です。小生も乗ってみて初めて気がついたのですが、松本〜茅野は通勤通学など結構乗客は多くて、松本で弁当とビールを買って車内で・・という雰囲気ではありませんでした。
投稿: AKIO | 2022.08.16 08:40
ゴン太さんこんにちは~
なんと!素敵なバスが!期間限定?と調べてみたら明日までですか・・・仕事でした、ちーん。
もうひとつの間に合わないバスの情報は知っていましたが、間に合わないから、とその後全く調べもしなかったら・・・あーあ。
どのみちこの期間は帰省していたので無理でしたが、
来年は(覚えているかな)ぜひ利用してみたいと思います。
私は冬しか行ったことがなくて、王ヶ鼻まだなんです。
このバスは往路のバス停まで戻らずに、王ヶ鼻の近くで乗車できるのが良いですね。さすがゴン太さん。
これなら短い時間を有効に使えますね。
18きっぷ使って行ける最高の日帰り山歩きではないですか♪
良い情報を教えていただき ありがとうございました。
投稿: cyu2 | 2022.08.16 17:04
リブルさん、こんばんは。コメントどうもありがとうございます。
これしかない、今しかない、ということで、乗ってきました。おっしゃるとおりで、行きのバスの運転手さんは、アルピコの委託だという旨をアナウンスしてから出発していきました。
帰りのバスがあんなことになったのは、好天予報と、山の日、ということで、この日かだけかと思ったのですが、そうですか、以前にも何度もあった事例なのですね。。。
タクシー二台というのは同じで、あとから来た乗客を発見して、もう一度電話をかけ直して、二台目を呼んでいました。二台目に私が回されていたら、かなり青くなっていたことでしょう(笑)。
以前は上田も含め、たくさんあった美ヶ原のバスですが、こうなってくると、バス存続のためにも、来年も再訪しないといけないですね。
投稿: ゴン太 | 2022.08.16 22:02
AKIOさん、こんばんは。コメントどうもありがとうございます。
やはりばれていましたか(笑)。なんと、アルプス口に降りてバスターミナルを探したという信じられない大ボケをやって、6日はこのバスに乗り損ね、あまりの暑さに松本観光もせず、鈍行でとんぼ返りしてきました。
おっしゃるとおり、王ヶ頭南面のお花は捨てたものではないですよね。美ヶ原は俗化したと言われてますが、ガスで展望が得られなくても、あのお花を見て歩くだけでも行く価値あるなぁ~と感じました。
そんなわけで、霧ヶ峰に行くような感じで、来年もまた行ってみようかな~という気になってきました。
松本からの上り鈍行電車は、休日でも、この時期は結構混むのですよ。インバウンズの方たちが私と同じように18きっぷで、ずっと乗り倒しているんです(笑)。
この列車のすぐ前の富士見行きとかは、3両というのは頷けるのですが、大月までという長距離の場合は6両にしてほしいなぁ…と、すれ違う下りの小淵沢行きとか松本行きが6両でガラガラなのを目にしてしまうと、余計そう思ってしまうのです。。。
投稿: ゴン太 | 2022.08.16 22:21
cyu2さん、こんばんは。コメントどうもありがとうございます。
私もcyu2さんのように泊まりがけで行ってみたいなぁ…なんて思っていたのですけれど、お気軽な足慣らしにはちょうどいいと言うこともあって出かけてきました。
美術館行きのバスは今日までです。明日会社を休んで行ったりしないでくださいね(笑)。もう少し早く行って来る予定だったのですが、上のコメントにあるような信じがたいボーンヘッドをやってしまって、報告もほぼ運行終了という頃になってしまったのです。
申し訳ありませんでした。m(__)m
でも、ここまできれいに晴れて、しかも涼しい空気の中、日帰りで美ヶ原を楽しめたのは、その大間抜けなミステイクのおかげだったのかもしれません(笑)。
おっしゃるとおり、往路のバス停に戻らず、王ヶ鼻からすぐの自然保護センターで帰りはバスに乗れますから、そこは、すごく好いんですよ! 帰宅の時間がかなり遅くなっちゃいますけれど…。
来年、是非出かけてみてください。上のお二人もおっしゃっているとおりで、美ヶ原のお花は、いろいろな種類が楽しめて、かなりイイですよ。
投稿: ゴン太 | 2022.08.16 22:40