【石仏に会いに…近ヶ坂峠から高川山・むすび山】
【山行日】 2019年02月03日 (日)
【使用公共交通機関の詳細】
「鉄道」
八王子 06:35 - 07:19 大月 (JR中央線各駅停車 松本行)
大月 07:26 - 07:41 都留市 (富士急行 河口湖行)
「歩行」
都留市駅 07:45 - 08:15 近ヶ坂入口バス停
バス停 08:20 - 09:20 近ヶ坂峠
近ヶ坂峠 09:35 - 10:40 羽根子山
羽根子山 11:10 - 11:50 高川山
高川山 11:55 - 13:15 天神峠
天神峠 13:25 - 14:20 むすび山
むすび山 14:30 - 14:55 大月駅
「鉄道」
大月 15:21 - 中央線某駅 (JR中央線 快速東京行)
【地形図】 「都留」 「大月」
高川山は、一昨年の秋に訪れているのですが、そのとき、ちょっと気になったのが近ヶ坂峠を指すお手製の道しるべで、よくよく松浦本『バリエーションハイキング』を見てみれば、近ヶ坂峠は素敵な石仏の写真入りで紹介されています。
私も是非この仏様にお目にかかりたいと、出掛けることにしました。この日は前日の好天予報や、当日夜からの雨予報などもあったせいか、ハイシーズンは混む八王子始発の松本行きもガラガラ。大月での乗り換えも富士急が既に入線しているのでスムーズ。富士急行線も席には十分すぎるぐらいの余裕がありました。
近ヶ坂峠は初狩駅からもあがれるようですが、紹介されているのが富士急側だったことや、歩いても近ヶ坂温泉バス停(現在は近ヶ坂入口バス停と名称が変更されています)まで30分ほどということで、宝鉱山行きの朝のバス便がなくなってから久しく訪れていないこちら側のアプローチに惹かれ、都留市駅から歩きます。
都留市駅から歩いて山に登るのは、考えてみたら初めてのことで、駅を出て歩き始めるやいなや新しく出来たばかりの温泉施設「より道の湯」や、都留アルプスの標識、歩いている間にコンビニが二軒もあるなど、いろいろ役立つ発見があり、バスが無いからと言って、そちら側のアプローチを完全に捨ててしまうのはもったいないことだと考えながら歩きました。
しかししかし、この時期8時前の都留市ってホント寒いっ!ですね。「凍てつく」というのはこういう寒さを言うのでしょう。陽差しは十分あるのに手足が凍り付きそうなぐらい冷たくなって、手袋無しだと本当に指先の感覚がなくなってしまい、耐えきれず、歩きながら手袋を取り出しました。
近ヶ坂入口バス停は、ちょうど30分ほどで到着。注意点は金井入口の先のセブンイレブンの辺りから左手にバイパスが現れますが、そちらではなく旧道を歩いて下さい。バスは未だに旧道の方を走っており、近ヶ坂入口のバス停留所も旧道側にあります。
目の前にデンと見える三つ峠を見ながらバス停前でストレッチをしてから、北へ伸びる里道を山側へ上がっていきます。松浦本にある五つの石塔のすぐ左に左手を指して「←近ヶ坂往還」の標識も見つかります。
簡単に言ってしまえば、そこから先は林道が尽きて山径になるまで、林道を道なりに歩いて行けば良いのですが、538mへの山径を左後方に分ける地点(A点)や、右手に丸木橋がある地点(B点)などはしっかり確認していきました。
左手に建物を見て山径になってからは、踏み跡はしっかりしておらず、慣れていないと少し難しいかも知れません。私は松浦本のコピーも持参していましたし、前日ここを下ったと思われるお二人組のハイカーの足跡が雪にクッキリと残されていましたのでラクでしたが、何もないと、左沢(涸沢)に進み、小さな石積みを見るまでが少し判りにくいかもしれません。
正しく進めるとすぐに、右手に来た方角を指して「都留市駅方面→」のお手製の標識↓が見つかり、あとは昔からある峠道独特の剔れた径を歩いて行けば好く、あまり難しく考えなければ逆に簡単かも知れません。
ただ、「ん?」と思うのはほんの短い区間なのですが、その部分は違う斜面に踏み跡も見つかるので、そこを上がっていかないよう、少々注意しないといけません。
凹地になってからは、笹はありますが、我慢するほどではなく、今ではD点に立派な指導標もありびっくりします。私はそのまま昔ながらの峠道と思われる凹地を進みましたが、ここは峠が近づいてくる手前の雰囲気が本当に佳いですね。たどり着いた近ヶ坂峠は「久しぶりに峠らしい峠に来たな~」と思わせる素晴らしい峠。峠フェチのゴン太くんは大満足でした♪
で、石仏ですが、峠から30mと松浦本には書かれていましたが、もう少し距離がある感じ。30mほどのところには「石仏この先1分」の標識もあり、お二方はちょうど峠を少し下に見おろす感じの場所に佇まれておいででした。
石仏に手を合わせてからもう一度峠へ戻り、そこでテルモスのお茶でのんびりと休憩しました。9時半を過ぎれば、この高度でじっと座っていても寒さを感じることはなく、いつまでも憩っていたいところでしたが、夜からとはいえ、天気が崩れる予報でしたから、15分ほどで腰を上げ、指導標の「鍵掛峠→」と記された尾根へ上がっていきます。
ここからは大月市と都留市の境に当たる尾根を歩いて行くだけですので難しいところはまったくありません。左に目立つ鋭鋒は鶴ヶ鳥屋でしょうか。あの山へ尾根づたいに逆へ進んで登ってみるのはどうだろう…と考えながら歩いて行くと「鍵掛峠」の標識が現れますが、ここは鍵掛峠ではないと思います。後方に富士山が姿を見せ、更に登りをこなすと、前回鍵掛峠から羽根子山へ向かう途中に見かけた通せんぼの箇所に行き当たりました。
ここから先は前回とまったく同じ行程です。違うのは稜線上に雪が散見されるのと、昨秋の台風で倒れた木が少し目立ったことぐらいでしょうか。今日も富士山は綺麗に姿を見せてくれ、羽根子山には11時前の到着で、時刻までほぼ同じです。
今から小休止後に高川山へ行けば、混雑は必至でしょうから、早めのお昼を羽根子山で食べてしまうことにしました。富士山の端麗な姿を眺めながら、暖かい陽差しを浴びてゆっくりと…と思っていたのですが、お湯を沸かし始めて間もなくでガサゴソと突然動いた動物にびっくりして、水を300mlほど、こぼしてしまいました。
動物は、幸いシカでしたので、そのままお昼をゆっくり平らげました。そういえば、途中に鹿だろうな…という足跡が雪面にあったのだから、想定していれば、慌ててお湯をこぼしたりせずに済んだのに…と少々反省。
30分ほどかけてゆっくり食事をしてから、羽根子山南尾根の入口も確認。前回はミストレースだとばかり思っていたのですが、そうではなくてバリハイルートの一つなのですね。天候が早めに崩れそうなら、ここから南尾根を下ることも予定に入れていましたが、富士山も綺麗に見えていますし、上空は雲ひとつない好天。このまま高川山へと向かうことにしました。
(急斜面を下から撮ったところ:ロープはあるが凍結したらとても危険な下り)
しかし、この羽根子山から一旦高川山との鞍部に下る道は、この時期ちょっと危険です。ロープもあるのですが、この傾斜で北斜面では、登りにとっても下りはやめておくべき…との感想でした。慎重に下って鞍部に下りますが、その先は予想通り多くの登山者に踏まれて凍結しかかった滑りやすい登りです。
滑りやすい登りを登り始めてすぐに、富士山が再び顔を見せたのですが、これが笠雲を頭に乗せているのにはびっくり。富士山の笠雲なんて、山で見るのは随分久しぶりです。
高川山のメインコースに入れば、こんな季節でも人が多く、山頂は予想通りの人出で、家族連れのファミリーハイクの姿も見られます。それでも、座れる岩を見つけたので、水分補給だけさせてもらって、富士の笠雲もだいぶ広がりを見せたのを背に5分ほどで下山開始。
ここからは1年3ヶ月前に歩いているので、何の問題もないと思ったのですが、下り始めて10分ほどにある↓この地点。直進が行き止まり表示で右折が田野倉駅。地形図をちゃんと確認すれば、なるほど むすび山(大月駅)へ行くのも右折なのだな、と簡単に判りますが、このあいだ歩いたばかりだからとロクに確認しなかった私は、一瞬 むすび山へのルートが通行不可になったのかと勘違いしてしまいました。
この指導標が都留市のものであることから、大月駅方面もこちらとは書けない行政側の事情がのみこめて、そこでやおら地形図を取り出してみれば、ここは田野倉と記された急坂を下ってそのまま東へと伸びる尾根に乗るのだと了解しましたが、ついこの間歩いたばかりと油断して地形図もロクに見ずに歩くことの愚かさというか恐ろしさを再認識しました。
しかし、この時期だと、この最初の急下りは、ちょっといやらしい下りになりますね。凍結していればアイゼンですが、凍結せずに滑りやすいという土質で、岩がち。アイゼンを履くわけにもいかず、かなり慎重に下る必要がありました。急下りが終わってしまえば、両サイドがうっすら雪化粧した美林の尾根歩きなうえに、そこから先は二人組の美女にも出逢えて(笑)、すこぶる快適だったのですが。。。
高度を下げていって天神峠近くまで下りきれば、雪もほとんど消えた冬枯れ径となります。高川山から1時間以上経過していましたし、この先はむすび山まであまり好い休憩場所も無かったと記憶していましたので、峠の花咲側に座って、みかん休憩としました。
峠から登り返して10分ほどの地点に「峰山585m」の表示。地形図の584ピークのことでしょうか。。。ちなみに、その先にあるふたつの三角点にはどちらも何の標識も付けられていませんでした。
sanpoさん命名の「おはぎ岩」↑を過ぎ、なかなか着かないな~と思いながら、進んでいくとやっとむすび山手前の「奥むすび山」と記された地点。ここからの富士山は前回同様、影も形もなくなっていて、かろうじて笠雲の残骸のようなもので、あの辺りなのだろうと推測できる状態です。
奥むすび山まで来れば、むすび山は5分ほど。見覚えのあるベンチと少し荒れた感じの山頂。今回は誰もいませんでしたので、大月防空監視哨跡の前のベンチで、最後に残しておいた水をすべて飲み干して水分補給。冬場に1.5Lの水はなかなか使い切らないものですが、今回は山に水を飲ませてしまったこともあり(笑)、下山直前とは言え、すべて飲みきってしまいました。
あとは、滑りやすいとはいえ、短い区間をジグザグ切りながら、民家の前に降り立つだけ。やはり泥で滑りやすかったですが、転ぶこともなく無事舗装道路に着地して、そこからは滑る心配もない舗装道路を大月駅までのんびり歩いて、15:21発のガラガラの中央線快速東京行きで乗換無しの帰宅。
高川山は往復3時間もあれば登って来られる山ですが、今日のように工夫すれば、静かな尾根歩きを堪能でき、7時間ほどの歩きごたえのあるコースも組めるので、またコースを代えて登りに来たいと思いながら家路につきました。
| 固定リンク
コメント
ゴン太さん、こんばんは。
近ヶ坂峠〜高川山〜大月とは、高川山を満喫でしたね。今の季節に相応しい歩きを楽しまれたことと思います。しばらくご無沙汰していますが、小生も近ヶ坂峠の佇まいや高川山からむすび山への尾根筋は大好きです。
「より道の湯」という温泉施設が出来ているのは、知りませんでした。一度立ち寄ってみたい気もします。どんな湯か知りませんが、少し強気な料金設定のようですね。
投稿: AKIO | 2019.02.11 22:21
AKIOさん、こんばんは。コメントどうもありがとうございます。
AKIOさんも近ヶ坂峠の佇まいやむすび山への稜線がお気に入りと聞いて嬉しくなりました。ああいう雰囲気のところって、近場で気軽に日帰りできるところでは、ありそうで、実際は余りないですよね。
高川山に7時間もかけるなんて…と言う人もいるかも知れませんが、私にとっては贅沢かつ充実した山歩きが出来たので、本当に満足でした。
より道の湯は、おっしゃる通り、料金がやや高めですね。ただ、お風呂の評判自体は悪くなさそうなので、980円なら試しに一度行ってみようかな…と考えています。
おそらくですが富士急行線の発車時刻10分前に靴の紐を結べば、余裕で電車に間に合うはずですので、寒い季節など目の前で電車が行ってしまったりしたら、たぶんフラフラと入ってしまう(笑)と思います。
投稿: ゴン太 | 2019.02.12 20:02