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2017.12.28

【浅間山を見に…鼻曲山~留夫山】 山バス情報164

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(小天狗から浅間山:残念ながら樹が育ってしまって、スッキリとは見えない)

【山行日】 2017年12月23日(祝)

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」
八高線某駅  - 05:25 高麗川 (JR八高線)
高麗川 05:29 - 06:50 高崎  (JR八高線)
高崎  06:58 - 07:31 横川  (JR信越本線)

「バス」
横川駅  08:10 - 08:40 軽井沢駅 (JRバス関東 510円)
軽井沢駅 09:10 - 09:30 長日向  (草軽交通 540円)

「歩行」
長日向   09:40 - 10:20 1351の先の林道
林道交差点 10:25 - 11:00 小天狗(鼻曲山 標石点)
小天狗   11:40 - 12:40 留夫山(とめぶやま)1590.8三角点
留夫山   12:50 - 13:45 旧中山道分岐(旧碓氷峠)
旧碓氷峠   14:05 - 15:00 旧軽井沢バス停

「バス」
旧軽井沢  15:00 - 15:05 軽井沢駅 (シャトルバス 150円)
軽井沢駅  15:35 - 16:05 横川駅  (JRバス関東 510円)

「鉄道」
横川  16:30 - 17:02 高崎  (JR信越本線)
高崎  17:07 - 18:49 高麗川 (JR八高線)
高麗川 19:00 - 八高線某駅   (JR八高線)

【地形図】 「軽井沢」


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(横川駅からのタクシー料金目安 : この日は駅前には常駐してませんでした)

 前回の山行きで王城山からの浅間山の展望が今ひとつ消化不良だったこともありまして、浅間の展望が良さそうなところに行きたいな、と考えていました。黒斑山浅間隠山は行ったことがありますし、18きっぷとバスで日帰りは難しいところです。鼻曲山も横川駅からタクシーで霧積温泉まで上がらないと行けないし…と思っていたのですが、ガイドブックで、長日向からの乙女コースが時間もかからずに登れるうえにバスは通年で走っていてくれることを知って、このコースなら留夫山への南下縦走も碓氷峠から軽井沢へ下りれば、日の短いこの季節でもなんとかなりそうと実行に移してみることにしました。

 いつもどおり、朝一番の八高線で高崎に出て、高崎では横川行きにすぐに乗換え。今日はだるま弁当は無しです。18きっぷでは初めて乗る横川行きの信越本線、車両はずっとがらがらでした。横川駅は7時半過ぎの到着で釜飯売場にはもちろん、改札に駅員も居ない状態です(笑)。まぁ、おぎのや が営業時間外なのは予想は出来ていたことなので、お昼ごはんは自宅近くのコンビニで調達済みです。

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(横川駅 7時半 : おぎのや も開いていないし、駅員もいない)

 しかし、軽井沢行きJRバスの始発までは40分近くあり、寒さが身に沁みます。幸いこの日は比較的暖かく風もありませんでしたので、駅の陽当たりの好いベンチでメロンパンなど口にしてなんとか時間を潰せましたが、駅には待合室もありませんので、寒い時期は、高崎で時間を潰して(それこそ弁当でも仕入れて)次の08:03着(高崎07:30発)で来る方が賢明です。

 軽井沢行きのJRバスは、運賃510円ですが、18きっぷはもちろん、ICカードも使えません(運賃は前払いです)。大型のトイレ付きバスで、私が乗り込んだときは、数人だけの乗車で、こんな大きなバスはもったいないなと思っていたのですが、08:03着からの乗り継ぎ乗客は非常に多くて、座席はほぼ埋まってしまいました。

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 軽井沢では草軽交通の草津温泉行きバスまで、また半時間ほど待たなければなりませんが、軽井沢駅はさすが新幹線の駅舎だけあって(笑)、駅に暖かい待合室もあってバス待ちの時間も苦になりません。

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(軽井沢駅には暖かい待合室がある)

 草津温泉行きのバスは、既に冬のダイヤになっていましたが、09:10発は急行ではないため、長日向で途中下車可能です(次の10:10発は急行バスの為、途中下車不可)。これまた大型の車両で、席はこの時期でも半分ほどは埋まっていました。なお、このバスももちろんICカード使用不可です(料金は後払い)。

 山の格好をしたのは私だけでしたので、当然、長日向のアナウンスでボタンを押すのも下車するのも私だけです。降りた停留所のすぐそばに一見登山道入口のような林道がありますが、近くにある注意書きのように、更に草津方面に70mほど進んだところに登山道の入口にあたる林道があります(ふれあいの郷入口)。

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 林道というか、別荘地の未舗装道路をずっと歩いて行くわけなのですが、これがゲートを越えた先でも、車が通れるような道幅と傾斜がずっと続きます。しかもよくある林道のようにジグザグを切って蛇行したりせず、ほぼ真っ直ぐに伸びていく道なのです。ガイドブックで読んではいましたが、あまりに長いこと幅広の道が続くので、途中で「これは径を間違えたかな…」と思ってしまうほどでした。

 結局、これは地形図「軽井沢」の1351の先で林道と交差する地点まで続いていて、この林道と交差した後からようやく登山道らしい幅の狭い径となり、さらにその先で鼻曲峠へ行く径との分岐までは、傾斜もあまり増しません。

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(1351の先の林道交差点)

 私はこの林道との交差地点ですでに1時間近く経過していたことや、この先の高度差が約300mであることや、ここまでの道のりから、この先ろくな休憩場所も無さそうとの判断で、風情はないけれども陽当たりの好いこの場所でティータイムとしましたが、後から考えてみても、この判断は間違ってはいなかったように思います。

 鼻曲峠との分岐には、ちょっと判りにくい通行止めの表示がありましたが、通常、径が崩れていて危険なのは巻き道の方が圧倒的に多いので、ここは峠道が通行止めと判断して、鼻曲山へ直登する方の径を選びました。

 鼻曲山へ直登する径はさすがに傾斜が増してきて、息が上がりますが、雑木の森で林相はすこぶる好く、歩いていて気持ちの好い径です。高度が上がるにつれ丈の低い笹道となって陽差しもたっぷりになってきます。背後の浅間山に雲がかかっているのが気がかりですが、高度計を見るともう山頂までそれほど時間はかからないと判り、焦らずじっくり登っていきます。

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 周囲の展望が開けてくると間もなく、来た方向を長日向とする指導標が現れ、標石点のある場所に出ますが、ここには何の標識も無く、高度計の表示は山頂と思われる高度を指してはいるものの、余りに何も無いので、本当にここが小天狗(鼻曲山西峰)なのかどうか自信が持てなくなります(笑)。

 時刻は11時。浅間山が見えてはいますが、ガイドブックで見たほどに遮るものなしには見えていなかったため、余計不安になって(笑)、笹道に伸びる踏み跡があったので辿ってみると、やはり予想通り二度上峠への径でした。

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(小天狗には長日向を指す指導標の他は判読不能な二度上峠方面の道しるべがあるだけ)

 先ほどの標石点に戻ってみると、男性が一人いらしたので聞いてみると、こちらが小天狗とのこと。大天狗はあまり展望は佳くないとのことでしたので、こちらでお昼ごはんに。。。すると「富士山が見えていますよ」と言われびっくり。今日は浅間にばかり気をとられて、富士山はノーマーク(笑)、教えていただかなかったら絶対気づかずにいたことでしょう。


 お昼ごはんを食べ終えても、しばらく浅間の頭上の雲がとれないかなと期待して待ってみたのですが、やはり無理そう…。陽当たりは抜群に好かったものの、この季節これ以上の長居は難しく、腰を上げて大天狗方面に行ってみます。

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(大天狗も明るい山頂だが、浅間の眺めはよくない)

 大天狗には「鼻曲山1654m」の標識が建っていて、浅間の眺めはよくないものの、こちらの方が山頂の雰囲気があります。山頂からほんの少し戻るような感じで、「霧積温泉」と書かれた指導標の方向へ向かいます。ここから南下して鼻曲峠を経て留夫山へと向かうわけですが、霧積温泉との分岐でもある鼻曲峠は、先ほどの乙女コースの通行止め表示が暗示していた通り、乙女コースへの峠道は半ば廃道化した状態のようで、指導標も霧積温泉や鼻曲山、留夫山を指すものはあっても、長日向を指すものはありませんでしたし、長日向へのかつての峠道らしい踏み跡も、よほどよく探さないと見つからない状態でした。

 で、この峠でどうしても目が行ってしまうのが、角落山の姿でしょう。私も名前だけは聞いて知っていたのですが、これほどけったいな形をしているとは知りませんでした(笑)。前回の王城山でも丸岩に目を奪われましたが、こちらは、なんとか是非いちど登りに来てみたいとの思いを抱かせるほど。

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(中央が角落山)


 
 峠からすぐに登り返すピークがありますが、これはもちろん留夫山ではなくて手前の金山。小ピークから笹道を軽快に下っていき、前方かなり遠くに留夫山が見えてきます。下れば下るほどその姿は大きく壁のように立ちふさがる感じで、近づいていくとアレを登り返すのかとやや気が滅入る感じもします。

 下りきったところの右手には地形図にもあるように、幅広の林道が上がって来ているのが見て取れますが、何故か木の枝で通せんぼのようにしてあります。ちょっと複雑に枝分かれしている林道なので安易に下ってきて欲しくないと言うことなのでしょうか。。。しかしいざというときにはエスケープルートに使えそうな感触です。

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(前方に留夫山が見えてくる)

 鞍部から登り返していくと、北面ということもあって、薄雪が残雪として残っています。尾根通しに登っていくと、踏み跡は動物のものばかり。様々な形、大きさの足跡があって、これはひょっとして…という感じのものもありましたが、多くは小動物のものです。

 実際この日、山頂(小天狗)で会った男性以外は旧碓氷峠まで人間に会うことはなく、自分の足音以外聞こえる音もない、実に静かな山歩きでした。プーさんはもう冬眠では…とも思ったのですが、人の気配がほとんど無いので、用心のため途中から鈴を出して歩くことに。。。

 それほど絞られたという感じもなく、じりじりと高みを目指していけば留夫山に到着。三角点と山名標があるだけの静かな山頂で、小天狗からちょうど1時間が経過していたこともあって、ティータイムにします。

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 ひと息入れたら、一ノ字山方面へ更に南下です。いちおう尾根が分岐しているのでコンパスで確認しながらの下りですが、青テープが目印にもなっていて、間違えて南東尾根に入り込むこともないでしょう。。。としばらく下った先で、突然ガサガサと音がして、目の前を黒っぽい動物が横切り、思わず「わ」と声が出てしまいましたが、可愛らしいカモシカくんでした。たぶんまだ子供なんじゃないかと思います。どこで見掛けても同じですが、逃げ去るくせにしばらくは、離れたところからこちらの方をじっと見つめています。

 ふう、やっぱり鈴をつけないと…とポケットを探ってみたのですが、どこにも無し。たぶん、留夫山でザックに仕舞ったんだろうと、そのまま落ち葉をガサゴソいわせながら下っていきますが、やっぱりちょっと不安で、やや急ぎ足で下っていくことにしました。

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 右手に樹林越しですが、ずっと浅間山が見えていて、ほぼ平坦に近いぐらいの尾根歩き。浅間は先ほどまで頭にくっついていた雲がとれたようで、どこかでひょっこり姿を見せてくれないかな…と空しい期待を少し持ったのですが、やはり無理な相談でした。

 小天狗でさえ、伸びた樹林を払うこともしないままですし、登山道を示す指導標もほとんどがもう判読不明な古いものばかりで、行政は信州も上州もこの山に手を入れる気はないというのが、この日歩いてみて一番強く感じたことでした。しかし、これはこれで佳いのかもしれません。近郊の山がどこも富士を見せるためにバサバサと惜しげもなく樹を切り倒しているのに少なからず疑問や失望を感じている私としてはむしろ好ましいことのようにさえ感じました。

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(こんな感じの平坦な径がずっと続くが、途中で転けてしまったりもした)


 浅間のことばかり気にしていたせいか、一ノ字山の三角点は気づかずに通り過ぎてしまったようで、径がクイッと左(東)に向きを変えたと思ったら間もなくで峠に登ってきた四輪駆動車が見えて、すとんと旧碓氷峠(旧中山道分岐点)に着いてしまいました。 

 時刻は14時前。予想より随分早く峠に着いてしまったので、横川駅まで旧中山道を通って…とも思ったのですが、エアリアを引っ張り出してみると、駅まではあと4時間近くとコースタイムには出ています。さすがに4時間はかからないかも知れないけれど、今は一年中で一番日が短いとき。日没を気にしながらあと3時間ばかり歩くのも…ということで、予定通り、軽井沢へ。

 ガイドブックには、「あとは見晴台遊歩道を通って旧軽井沢のメインストリートへ出るばかり」とあったのですが、その見晴台遊歩道というのがよくわからず、車道をウロウロしていると、「旧中山道碓氷峠道跡」という看板が見つかったので、その脇から下っていき、「かもん坂 中山道」という古ぼけた道しるべをたよりに土の径を下ってみました。

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 この小径、手が入っているのかいないのか…。倒木がそのまま放置されているかと思うと、補助のロープが張られていたりして、わりとすぐに普通の林道に飛び出して、そのまま林道を辿っていくと、左手から見晴台遊歩道が合わさりました(笑)。

 で、その遊歩道を辿っていくと県道133に合流。なお、この県道はシーズン中はバスが走るようで、ビニールを被ったバス停が見つかりました。

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                  (バス停が見つかった)


 
 つるや旅館が見えてくると旧市街らしくなり、こんな寒い季節にこんなに!というくらい観光客がたくさんいます。ほとんどが若いカップルで、みなラブラブという感じで手をつないで歩いています。そんな中を年寄りハイカーが単独行で無粋に歩くのですから、恥ずかしい恥ずかしい(笑)。

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 観光案内所や、美味しそうな地酒専門店などもあったのですが、一人で入っていくのも気後れしてしまい。「そういや、明日はイヴか!」どうりでカップルの目が皆トロンとしてるわけだと気づき、きゃー恥ずかしい、という感じで旧市街を競歩のような早歩きで歩いて行くと、ちょうど旧軽井沢のバス停にバスが停まっているのに気づき、考える間もなく飛び乗って軽井沢駅へ。

 軽井沢の駅では、横川行きのバスまで半時間ほど時間があったので、あまり流行っていない感じの土産物屋で地ビールを二本買って、朝も利用した暖かい駅の待合室でゴクゴクとやって、今日一日の山行きを振り返ります。

 横川駅へのバスは、やはり利用客が結構います。軽井沢へは各地から高速バスがたくさん走っているので、横川・軽井沢線なんて、寂れきっているのだとばかり思っていたのですが、こんな真冬でも利用客はかなりの数いるのですね。

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 横川駅では、ベンチで釜飯を掻き込んでいるお兄さんが一人いたので、おぎのやのおばちゃんに、「まだ釜飯あるのですか?」と訊いてみたのですが、残念、たった今売り切れ、とのことで、峠フェチの私としては、昔大月でさんざん喰った釜飯と味はたいして違わないだろうとは思いつつも、久しぶりにあのどっしりした容器を手にしてみたかったなぁ…と少しだけ心残りで帰途についたのでした。

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2017.12.17

【18きっぷで再起動…王城山】 

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(唐笠松手前の林道より…王城山の二峰に見えるが、『ぐんま百名山』によれば支尾根)

【山行日】 2017年12月10日 (日)

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」

八高線某駅  - 05:25 高麗川 (JR八高線)
高麗川 05:29 - 06:50 高崎  (JR八高線)
高崎  07:26 - 08:49 長野原草津口 (JR吾妻線)

「歩行」
長野原草津口駅 08:55 - 10:00 登山口
登山口     10:05 - 11:05 王城山奥宮
王城山     12:20 - 13:30 道の駅
道の駅     14:00 - 14:20 川原湯温泉駅

「鉄道」
川原湯温泉   14:58 - 16:18 高崎  (JR吾妻線)
高崎      16:26 - 17:05 熊谷  (JR高崎線 快速アーバン上野行き)
熊谷      17:09 - 18:07 赤羽  (JR高崎線)
赤羽      18:11 - 18:25 新宿  (JR埼京線)
新宿      18:32 - 19:19 八王子 (JR中央線 快速高尾行き)
八王子     19:25 - 八高線某駅   (JR八高線)

【地形図】 「長野原」(必要部分のみダウンロード)

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(王城山山頂より浅間山を望む)

 風邪をひいたり、歯の治療で思わぬ出費に見舞われたりといろいろ理由はあったのですが、それにしても、山に行く気持ちが今ひとつ盛り上がりに欠けていました。歯の治療のせいで大好きな笹一も見送ったあたりからボルテージが一気に下降してしまって…。いけませんねぇ、またいじけの虫が居座ってしまったという感じ(笑)でした。

 何とか打破すべく、18きっぷを端緒に再び山に通おう、ということで、一ヶ月も間が空いてしまった為、軽くて遠いところにある山へ行くことにしました。

 王城山はいちおう「ぐんま百名山」ですがエアリアには何処にも載っておらず、地形図「長野原」とガイドブック『ぐんま百名山』『群馬の山歩き130選』(上毛新聞社)あたりが頼りなのですが、ご存知の通り、八ッ場(やんば)ダムの建設により、あのあたりはJR吾妻線の線路の位置や国道の位置が随分変わってしまっています。地形図「長野原」は、どこの書店に行っても見つからなかったので、ネットで今回必要な部分だけダウンロード&印刷して持参しました。

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(新しく敷設されたJR吾妻線の高架線の線路)

 念のため言っておきますが、線路の位置がかなり大きく変わってしまっている↑ので、大半のガイドブックの地図や説明を読んでも、登山口に着くまで迷うこと必至ですので、最新の地図と、できればグーグルマップの合成写真などで登山口までのアプローチを予習しておいた方が好いです。

 予定では、『ぐんま百名山』(2007年発行)欄外記載のように弁天橋の先で左手の旧線路をまたぐ林道に上がって行くつもりでしたが、なんとご覧のように歩行者も含め全面通行止めの表示。実際遠くから見ても、真新しい白い壁のようなものがあって、とても向こう側へは行けそうもありません。おとなしくそのまま旧国道を東進して行きます。

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(奥に見える旧線路の向こうは白い壁が屹立して通行不可)

 幸いというか、この旧国道の吾妻川を挟んだ向かい側(南側)に新しく立派なバイパス(=新しい国道)ができあがっているので、旧国道は全く交通がなく道の真ん中を歩いても大丈夫なのですが、これでどうやら今回の山行きが「もろに」ピストンというこになりそうで、ガックリしながら林の集落を目指します。

 王城山神社からの道もあるようなので、国道を東進しながらも左手にずっと注意を払っていましたが、旧線路のガード下も全面通行止めの表示。なんとかこの昔の線路の北側に行かないことには王城山には登れないわけで、ここを断念した場合のサブプランは用意してこなかったので少々焦りを覚えます。

 ただ、考えてみれば林の集落に住んでいる人がいる限りはどこかしら線路の向こうに行くルートは残されているはずと更に進めば、例の新しいバイパスが遥か数十メートル頭上を高架で横切っているのが見え、愕然とします(笑)。

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(頭上遥か上をバイパスが…)

 周囲はダム建設の途上で、埋蔵文化財発掘調査などの車両がありますが、日曜のためか全く人影は見当たりません。この辺りは近い将来ダムの底に埋没するはずで、住民は移転してしまっており、居合わせた村人に道を尋ねるという方法もほぼ絶望的です。

 しかし、ありました。多くのガイドブックで紹介されている林集落へ上がる道だけが、全面通行止めを免れていて、「地元車両優先(林地区安全協議会)」との立て札もある車道をえっちらおっちら上がって線路を渡れば間もなくで林集落です。

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(線路を渡る)

 登り切ったところは先ほどのバイパスからの道がジョイントされて、非常に交通量が多い通りに交差します。通りの向こう側へ北進すれば「ミコシロ自動車」なる自動車整備会社を右手に見て、王城山神社の指導標にやっと巡り会えました。

 指導標に従って、左折すると、『群馬の山歩き130選』(平成11年版)記載の小さな商店、床屋が左手に見えてきて、そのしばらく先に目印の消防団車庫が現れて、なんとか山行きは出来そうとホッと一安心です。

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 消防団車庫から指導標に従い王城山を目指しますが、実はこのまま指導標通りに行くと、5合目の唐笠松までほぼ舗装道路歩きとなってしまいます。ガイドブックに載っているような農道の先の雑木林は歩けずかなり退屈な道のりでした。

 途中の王城山神社からの道と合流する手前、右手に上がれそうな雑木の尾根が見つかりますが、ここを見送ってしまった結果、唐笠松まで舗装道路を歩くことになってしまいました。しょうがないので帰りは王城山神社へ降りてカタクリの湯でも入って帰ろうかと考えながら、唐笠松から王城山へのよく整備された登山道を上がっていきます。

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(来た道を押手沢とする指導標:王城山神社の道はまだあるようだった)

 自然林百パーセントの雑木林の径で、さすがにもう葉は残っておらず、紅葉は楽しめませんが、明るく雰囲気のよい道のりになります。6合目の炮碌岩で直進する踏み跡に「高間山→」の表示がありますが、とりあえず王城山を目指し左折。

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 静かな雑木林↑を登っていけば8合目の中棚尾根で展望が得られ、ひと登りで三角点のある王城山山頂になります。山頂は展望が佳く、まず目に入るのは白根山。もう少し手前に大きく見えるかと期待していたのですが、結構遠くにある感じがします。

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(白根山)

 左手には久しぶりに見る浅間山。しかし浅間山は浅間隠山から北へ延びる長大な尾根、ちょうど管峰あたりに左側が隠された格好になっていて、やや欲求不満が残る感じの見え方です。

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(管峰のあたりに浅間山の左側が隠されてしまっている…)


 もう少し先の奥宮がある10合目に行けばスッキリ見えるのかと思って、そのまま一旦下って登り返してみたのですが、立木に邪魔されて、むしろ見えにくく、管峰に隠されている状況も改善されませんでした。

 時刻は11時過ぎ、ここで少し早めのお昼にしようかと、腰を下ろそうとしたら、またなってしまった呼吸困難。。。
幸い誰も来ない静かな山頂で、陽差しもたっぷりだったので、しばらく横になって回復を待ったのですが、今回はちょっと時間がかかってしまって、王城山で往生(?)などとくだらない洒落にもならないようなことを考えながら心細い思いでした。

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 30分以上かかって何とか収まってくれたので、高崎駅で購入しただるま弁当を広げてもぐもぐ…。時間と体力に余裕があれば、高間山まで足を伸ばして、ぐんま百名山をもうひとつゲットとも考えていたのですが、この身体の状態では些か不安も残るため、食事を終えたらノンビリ元の道を帰ることにしました。

 奥宮と山頂の鞍部で右手に山頂を巻く道もありますが、もういちど浅間山を眺めておきたかったので、三角点へと登り返します。
 
 上州に来ると浅間の雄姿を眺めるのが楽しみですが、空気の澄んだこの季節は冠雪した浅間山が本当に美しい。早起きして出掛けてきてよかったと思える瞬間です。

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 山頂を後に往路を戻ってきたのですが、ここから舗装道歩きとなる唐笠松で祠にお参りに行くと、予想通り尾根上には踏み跡が…。たぶんすぐに朝来た舗装道路に降りてしまうのだろうなと思いつつ、たどってみると、これが意外な結果に♪

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(祠から尾根通しの笹の踏み跡に踏み込んでみると…)

 径は雑木の森の中をずっと尾根上にたどっていき、ところどころロープが張られたり、木の階段が現れたりで、わかりやすく楽しい道のりです。

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                    (落ち葉ふかふかの尾根径にロープが…)


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(階段が…)


 地形図を見ながら、そろそろ、ここで右折(南下)しないとという地点でも右折せずに南東に延びる尾根沿いにロープや階段が現れ、最後は東の尾根に入り込んで地形図の「文」=長野原小学校の裏手に繋がる林道に綺麗に着地することになりました。

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(そして最後は林道に降り立つ)


  
 大通りに出て小学校の正門前を通過したのが、川原湯温泉駅からちょうど列車が出る時刻の13:23。川原湯温泉の日帰り温泉施設「王湯」は駅から徒歩15分と『ぐんまの源泉パスポート』などのガイドブックにありますが、Googleマップで調べれば判るように、とても徒歩15分では行けません(直線距離では1kmでも歩く距離は2km弱:直線距離で測って徒歩の所要時間を出すのはホントやめてもらいたいものです。)。バスも走ってはおらず、往復の時間を考慮すると、次の14:58発まではカラスの行水も難しいですし、何より徒歩で交通量の多いトンネルを行きも帰りも通るのは億劫な感じがしていました。

 幸い駅へ行く途中に「道の駅」があったので、寄ってみると、ビールも売っているし、足湯もあって、ここで時間を潰してから川原湯温泉駅へ行けば好いかなと。しかし足湯はかなりの熱さですね。特に道路側のお湯は熱くて1分も浸かっていられないほどです。

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(道の駅 足湯もある)

 地元ビールもそれほどのお味ではなく、もう一本という気にもなれず(笑)、ノンビリ大橋を歩いて駅へ向かうことに…。駅前には何もないのだろうな、という予想はほぼアタリで、駅前(?)に民家風の小さなカフェ(禁煙だそうですので喫茶店ではない?)があるぐらいです。

 駅舎はさすがに真新しく、扉の中は寒風を防いでくれてはいますが、手元の温度計の表示は摂氏10度。ただ、トイレはヒーターが入っていて、暖かいです(笑)。しばらくベンチで時間を潰してから18きっぷを見せて、改札を通り、ホームへ。

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(駅構内のベンチのそばに掲示された付近の案内図:ここにも王湯は徒歩15分と書かれている…)

 小野上温泉にでも寄っていけばと考えていたのですが、来た電車は既に席がほぼ埋まる混雑ぶり。幸い席にありつくことが出来たため、そのまま高崎まで乗車。明日が日曜ならともかく、月曜=出勤ですし、まっすぐ帰ることに。。。

 行きは新型車両で、吾妻線の車両はもうすべて新型に入れ替わったのかと思っていたのですが、帰りの電車は旧型の電車でドアは手で開け閉め。もうしばらくすると、この車両にもお目にかかれなくなるのかも知れません。

 高崎からの八高線は16時台が児玉止まりという最悪の連絡で、久々に快速で新宿回りの帰宅。熊谷で新宿回りに乗り換えたつもりが、これも上野回りで、なんだよもう!と思ったりもしましたが、連絡する中央線への乗り換えは予定通りに成功して、朝、八高線の駅まで乗った自転車を回収するため、中央線某駅では降車せずに八王子から八高線の川越行きに乗り換えて帰宅しました。

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