【テント泊そろそろ引退か…北岳へ その2】 山バス情報123
いつも大抵一張りはいる「おしゃべりテント」もなかったようで、静かな夜。久々のテントですから、何度も夜中に目が覚めてしまうのは致し方ないところ。まぁ、あまりグッスリ眠れなくても、身体をじっと横たえていれば疲れは取れるので、起き出さずにじっと寝ていました。
3時過ぎ頃目が覚めた時、もう一眠りしたいとも思わなかったので、お隣のテントもごそごそしてきたし、早朝発にします。テント撤収に時間を食わないようにシュラフを畳んだりしておき、お湯を沸かして、お茶漬けと山菜ごはんを作ります。お茶漬けはそのまま食べてしまい、山菜ごはんはサブザックの中へ。アクエリアスの粉末で1Lのスポーツドリンクを作って、純水を500ml持ち、トイレに行ってから、サブザックの中身を点検し、4時15分頃ヘッドライトを頭に出発します。
地形図と昨日のチョイ偵察で、二俣まではトラバース道ですし、暗くても難しいことはありません。予想通り二俣に出て雪渓が見える頃にはヘッドランプも必要ないほどの明るさになり、左俣へ雪渓を通過する所も軽アイゼンを装着し無事通過に成功。
私が通過した時はガスもなくピンクの小旗の標識もあるので簡単に判りましたが、慣れていないと右俣の方へついつい引きこまれてしまうかも知れません(地形図とコンパスが使えれば間違うことはないでしょうが高山では使っている人には滅多に出会わないですね)。なお、通過はアイゼンだけでなくストックもあった方が良さそうでした。雪が融け続けている分、アイゼンが効きにくい感じです。
基本的にはエアリアにもある通り、雪渓でなく大樺沢の左岸を歩くように径がつけられていますが、八本歯に行くには都合三回雪渓を横断しないと行けません。うまく他人の足跡を盗んでいけばアイゼン無しでも登りは可能かも知れませんが、ずっと上の方でアイゼンもストックも無しで下ってくる人に会いました。う~ん、大丈夫だったのでしょうか。。。
お茶漬けだけで出てくると、空気の薄さも実感するし、フラフラした感じになります。2500m弱のあたりで、喉も渇いてきたので、山菜ごはん少々と水分を補給がてら小休止。雪渓で風も出てくると朝は寒いぐらい。また上を目指して歩いていきます。
最後の雪渓歩きは結構な急斜面を登っていきます。トレースを上手く使って滑らないように気をつけないといけません。上で待ってくれている下山者も見えて、ピッチを上げていきました。サブザックで登りにとってホント好かった。これがテント装備で下りだったりしたら…と思って来し方を振り返るとチョットぞっとします。
雪渓歩きを終え、待ってくださった方にお礼を言い、アイゼンを外して更に登っていくと沢から離れて尾根に上がるという地点に出たので再度小休止をとります。ここからは八本歯のコルまでキツイ梯子登りが続くのがわかっているからです。目の前のバットレスはまだこの時点ではきれいに見えていました。
休憩後、花の写真など撮りながらゆっくり登っていきます。私の場合、標高2700mというと空気が薄いことを身体が痛感する高さでして、ペースを上げずに抑え気味に登っていかないと苦しくなるのはわかっていますから、お花はペース抑制にはホントありがたい存在です(笑)。ツマトリソウにカラマツソウ、それにこれはナナカマド?
ツガザクラでしょうか…とてもかわいらしい。。。
と、そろそろ八本歯のコルかなと上を見上げると…ああ、もう、何でもう少し待ってくれないのと言いたくなるのですが自然現象だから仕方ない。北岳の山頂がガスに覆われ始めてます。
八本歯のコルに上がってみると…間ノ岳方面もガスに覆われているし、せっかく早く出てきて稜線風景を満喫したいと思っていたのに…もうっ! それでもまだこの時点では、
「今まで南アの稜線ではガスったことなしのゴン太様だ。大丈夫じきに晴れてくれるさ…」などと極めて脳天気なことを考えてました(笑)。
稜線ではお花楽しみつつ稜線歩きも楽しみ…の予定だったのですが、お花撮影に専念。
たくさん咲いてるイワカガミにハクサンイチゲ…ん?これはイワベンケイでしょうか。
ウスユキソウも咲いています。。。しかし天気の方がトホホです。ガスはどんどん濃くなるし、風もびゅうびゅうと強くなってきました。しかし皮肉にもボーコン沢の頭の右には富士山が美しいシルエットを見せていたりして…一方の北岳はガスがべっとり…ああ、もう(笑)。
それでも岩場に群生するキバナシャクナゲの美しさにうっとりしたりイワカガミを撮ったりしながら登っていきます。鳳凰三山の方はまだガスに覆われていないのですが、反対側の仙塩尾根の方から強風と共にガスがどんどん上がってくるのです。
風がとんでもなく強くなってきました。わ、ばかでかっ!と驚きながらミヤマオダマキにカメラを向けるも強風で花が揺れてピンぼけばかり。マトモな写真がなかなか撮れません。吊尾根の分岐あたりに来ると、もうそれはとんでもない強風で、岩陰に隠れてレインウエアを装着しながらも行くかどうかチョット迷ったぐらい(笑)。この時点で朝の7時。
冷静に考えてみれば、戻ってまたあの雪渓を下るよりは、北岳に行って草スベリで降りる方が安全なわけで…北岳へ直進!
強風の中、それでも「なんだこの緑色の薔薇みてえのは?」なんて感じでお花の写真を撮りながら少しずつ登っていきます。ハクサンイチゲの群落があったりして、ここ、ホント天気が好ければ楽しそうだよなぁなんて考えながら登りをこなせば、ついに「三等三角点白根岳」北岳山頂に到着です。ああ、来ちゃったという感じ(笑)。どう考えても富士山の次に標高の高い山という感じはないですね。もちろん展望はゼロなのですが、不思議なことに山頂はあまり風が強くない。
ということで、山頂でもしっかり山菜ごはんの残りを平らげて(笑)水分補給もして休憩。3年近くずっと標高2000m以上の場所に行ったことがなかったので少々心配だったのですが、幸い高山病の症状は全くなし。食欲もやたらあるし。頭もちっとも痛くないです。
ごはんを食べ終え、頂上の人も少なくなって、風も少し強くなってきたところで、仙塩尾根の方から相変わらずガスがたっぷり供給されているのを見ると、さすがに展望の最後の望みもあきらめるしかないと観念(笑)、下山することにします。
その3へ
| 固定リンク
コメント
ゴン太さん
北岳山頂の景色 ン年前にわたしの見たのと同じです
わたしは、このとき初めて高山病になり、食べられないし気分も悪く
もう2500m以上は無理だと思ったのでした
でも キタダケソウも、山頂からの大展望も見てみたいなあと思っていたら、
ゆっくり泊まながら歩けば大丈夫。といわれたので、いづれそのうち・・・。
投稿: ba_sobu | 2013.07.17 08:27
ba_sobuさん、こんばんは。コメントどうもありがとうございます。
北岳山頂の景色。今まで南アだけは稜線でガスに遭ったことがなかったので、今回は復活後初のテント山行だけに特に悔しかったです。でも、これって、「調子に乗ってなめたマネしたらあかんよ」っていう山の神様からの警告だったのかもしれません。 私ももう一度リベンジして、今度こそ美しい稜線風景を堪能したいと思っております。
高山病、なったことがないのです。たぶんですけど、私は夜行も使わないし、一日で2500m以上のところまで上がったこともないからだと思います。2000mあたりで一泊して身体を高度順応させてからなら、たいていの場合大丈夫と聞いています。白根御池小屋ってそういう人たち向けの山小屋&テン場でもあるみたいですよ。
キタダケソウは私も見付けられませんでした。終わってしまっていたかも知れないけれど、とても同じ様な姿をしたハクサンイチゲの中から見付けるような余裕はないほどのガスと強風でした(笑)。
投稿: ゴン太 | 2013.07.17 19:55