【テント泊そろそろ引退か…北岳へ その3】 山バス情報123
頂上は真っ白けなうえ、頂上には肩の小屋方面を指す指導標もないようなので、念のためコンパスで尾根の方向(北)を定めて下っていきます。すぐに両俣小屋への分岐。更に進むと、またまたたくさん咲いているキバナシャクナゲやミヤマシオガマ?
しつこいようだけれど、このガスと風さえなければ、かなり楽しいはずの径。不満を抱えながらずっと歩いていけば、肩の小屋です。標高3000mの山小屋。昨日ここまで頑張っていれば、早朝佳い景色が見られたかも知れないと少し残念に思うけれど、まぁ私の実力ではやはり白根御池までだったよな、と思い直します。
ちょっと雨も降ってきたので、皆さん小屋前のベンチで雨支度。時間がこんなに早くなければ、肩の小屋でちょっと食べるものでも…というところですが、朝のお忙しい時間だしとベンチで休憩後さらに稜線を下っていくと、いくつかテントが張ってあります。やっぱ一日でここまでテント運び上げるの大変だよなぁ…と張ってあるテントを見て、また自分の実力を思い知らされます。
肩の小屋から10分ほどで左手に美しい曲線を描く尾根とその間の扇状地が見えてきます。小太郎尾根です。この扇状地と尾根は私の心を激しく揺さぶりました(笑)。小太郎尾根は一目惚れ。今度天気の好い時に来られたら是非とも往復してみたいです。こういう曲線にはわたしゃホント弱い。往復2時間か…時間的には今からでも可能だな…とちょっと気持ちが動いたほどです。
小太郎尾根から振り返ると、ホンマ嫌味かいな?と難癖をつけたくなるほど、しつこく富士のシルエットが見えてます(笑)。どうしてあんなガスガスの山頂から1時間もかからないところで富士山が見えちゃうんでしょう。きっと最も複雑な気持ちで眺めた富士山としてずっと記憶に残ることでしょう。もちろん北岳は依然として濃~いガスの中です。
雨もやみ、霧もなくなってきたので、小太郎尾根分岐でレインウエアを脱いで、草スベリ方面へ下っていきます。風も収まり、ここはホント、ミヤマキンバイやミヤマキンポウゲ?のお花畑が素晴らしいですね。イワカガミも咲いているし、ぜんまい?も。キバナノコマノツメもお目にかかれて、時間を忘れてゆっくり下っていきました。途中何度か北岳を望める地点がありましたが、いずれもぶ厚い雲にべっとりと覆われていて、頂上でいくら粘っても結局無駄だったんだなと妙な安心(笑)をしながら白根御池へ戻りました。
テントに戻ったのは09:40頃。帰りのバスは最終16:40なので今日中に帰れることは間違いないけれど…広河原までの下りのコースタイムは二時間弱と計算して、さっさとテントを片付けて下りれば12:45発の甲府行きに間に合いそう…ということで、早速テントを撤収。30分ほどで片付いて、トイレに行ってから出発したのが10:20。うまくいけば広河原山荘でコインシャワーする時間もあるかな、シャワー時間無くてもバスに間に合えば帰っちゃおう、一泊だけだから少々臭いかもしれないけど我慢してもらいましょ、どうせ帰りも鈍行だし(笑)、などと考えながら下り始めます。
トラバース道は、まぁ、ほとんど何の問題もなかったのですが、昨日の急登終了地点は、すなわち急降下の開始点なわけで、ここからが大変でした。言い訳すれば、連休初日で上がってくる登山者がとても多かったことや、下りなので登り優先で無条件に道を譲ってたことなどありますが、結果として広河原までコースタイム以上の2時間5分かかってしまいました。
原因のひとつは…下っていく最中、なんと膝が笑い始めちゃったのです。登りの団体とか待っている最中もプルプルプルプル(笑)。そういえば、お腹空いてきたしなぁ、と気づきましたが、お昼ごはん食べてる時間はないし、まだ11時だし。あと1時間チョイだろうからと、あまり休憩もせずに下っていきます。登り優先で待つ時間を休憩時間と見なせばいいぐらい登ってくる人がたくさんいますし…。
そのうち雨も降ってきて、登ってくる人はどんどん増えて、さすが三連休初日とは思いましたけど、これだけ集中するとは…。こんな天気の中よくみんな登ってくるなぁと妙な感心をしていたのですが、あとで考えてみたら、北に前線が停滞したままだから、みんなこっち(南ア)に転進してきたのでしょうね。
昨日登ったばかりの径なので、勝手はわかっていますが、相変わらず膝は笑いっぱなし。そしてそして…もうあと200mも下りれば…というあたりで、何と今度は左膝の裏が痛み出してしまったのです!これにはちょっとビックリというかショックでした。山歩き自体は今年再開したばかりとはいえ、ここ数ヵ月間は結構ロングの日帰り山行もこなして歩いていたし…。「マジかよ、おい」という感じでギアをローに入れてチンタラ下り。
膝が笑っている間は「今日は荷物重いし」と軽く考えていたのですが、泣き出した時はさすがに「ああ、ホントもう身体がいうこと聞かなくなる年齢になったんだ」とかなり深刻な気分でした。本当にテントはやめにしなければ…悲しいけど、無理して事故起こしたら元も子もないし…。
広河原山荘ではコインシャワーが故障中で、時間もなかったし、自動販売機の缶ビールで〆にしました。ベンチでビール飲みながら思いました。。。
天気が崩れてくれて私にはある意味ラッキーだったのかも…。だって天気快晴が続いて、あのまま調子こいて農鳥小屋まで行っていたら、まず間違いなくその先の大門沢下降で膝がぶっ壊れて、日曜の下山はできなかったでしょうし、大門沢小屋まで下ることさえ果たして出来たかどうか…。そう考えると、やはり徐々にステップアップすることの大切さもしみじみと感じたのでした。
幸い膝の痛みは、それほどひどくならず、駅の階段もゆっくり下ればなんとかなりました。家に帰る途中、ものすごい蒸し暑さで、今日の朝の7時に日本第二位の高峰に自分がいたのだとは、どうにもなかなか信じられませんでした。
しかし、次の日もそのまた次の日も、ものすごい筋肉痛。階段を下りるのも痛くて、しみじみ思いました。。。おれ、本当に、ジジイになっちゃったんだなって…(笑)。
完
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