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2013.05.11

【吹切尾根から雁ヶ腹摺山 その2】 山バス情報119

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(金山峠へ登り返す…このあたりの新緑はきれい)


 固く踏みしめられた一般登山道を登っていくと、さっそく降りてくる登山者に会います。こんにちは~こんにちは~と挨拶を交わすも、向こうの目は、この人ヘンという感じです。大峠からのはずなのに、汗びっしょりで、鈴は鳴らすは、コンパスはぶら下げてるはで、きっとちょっと異様ないでたちに見えたのでしょう。
 
 ポケットに鈴とコンパスをしまい込んで緩やかな道を上がっていきます。それにしてもこの固さ、なんだか土の径ではないような、そんな足裏の感覚です。もう完全に雁ヶ腹摺といえばイコール大峠なのでしょうね。1600mを越えていますから、さすがにここは芽吹き前で新緑はまだですが、林相は良いので、もう少しすれば、このあたりも新緑が楽しめそうです。

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(雁ヶ腹摺山への最後の登り…林相はいいのだけれど、立ち枯れも多い)


 来た方向を「至 真木」と記した大月市の指導標がありました。昔は大峠まで登山道があって、みんなそれこそ真木から登ってきたのでしょうが、今は桑西から登るアホはいても、真木からはさすがにいないのではないかと思います。

 神奈備石の前で展望がひらけますが、残念ながら五百円札の富士山は雲の中。ゆるゆると草原のようなところを登っていくと、懐かしい雁ヶ腹摺山の山頂です。前回来たのは2003年の11月の三連休中日。もちろん、タクシーで大峠まで上がってです。ヤフオクで売りまくった不要品が結構いい値段になって、そのお金でタクシーを奮発。運転手さんが女性ドライバーだったのを10年近く経った今でもよく覚えています。当時で6490円。たぶん、一人で払ったタクシー代金としては、これが最高額だと思います。

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 頂上到着はお昼を少し過ぎた頃。 人がたくさんいるだろうと覚悟していたのですが、山頂は二人ほど。シートを広げてお昼ごはんの大休止にします。オニギリをむしゃむしゃやっていると、姥子山と記された指導標の方向から男性が登ってきました。。。


 そういえば… 朝、ハマイバ前行きのバスに乗車した時、バス停でハマイバ行きに乗らずにバスを待っていた登山者がいたのですが、それが彼でしょう。西奥山行きのバスで登ってきたのです。うーむ、えらい。これからどっちに下るのでしょうか、もしかして上和田まで頑張っちゃうとか…あるいは明日も休日だから、今日は湯ノ沢の避難小屋泊とか…、ちょっと聞いてみたい気もしましたが、目で挨拶して、下山にかかります。


 下山は前回同様、遅能戸へ。へとへとに疲れていたり、山頂着が遅くなってしまった時は大峠からてくてくと林道を歩いて桑西というエスケープも考えていたのですが、今日は天気も好いし、まだ足に余力は残っているので、遅能戸まで一般登山道を下ることにします。

 しかし、休憩中も悩んだのが遅能戸からのバスの便。。。土日祝祭日は13:59の次は17:09。どう考えても13:59には間に合いっこないし、ゆっくり歩いても17:09は逆に時間が余りすぎそう。。。計算では1時間前に着いてしまう勘定。で、金山鉱泉で日帰り入浴を頼んでみようと、、、そうすれは時間をもてあまして困ることもない。もし断られたら? そうしたら、仕方ないので、やけくそで大月駅まで歩き通して、片道バス山行*の新記録を更新するしかない(笑)。

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(遅能戸へ…下り始めはこんな感じ)


 下っていくと、またまた、このコースを登ってくる人たちに出会います。思わず、こんにちはではなくて、お疲れ様と言ってしまいました。そういえば、前回来た時は、大峠から楽をしたにもかかわらず、下っている途中で膝が痛くなってしまって、最後の方はつらかったのを思い出しますが、あのときと違って今回は山行間隔が空いていないので、まず大丈夫でしょう。

 姥子山の分岐を見て、姥子山に行って時間稼ぎをしようかとも考えたのですが、前回立ち寄っているので、今回は見送って、金山鉱泉で時間調整ということで、そのまま下っていきます。雨量計が現れ、更に下ると土止めの階段で林道に降り立ちます。野脇ノ峰の下の林道と続いている林道ですが、こちらは、舗装もまだです。林道から更に下って三頭山が見えるところで、少し足休め。

 一息ついたら、登り尾根を下って金山峠へ。こちらはカラマツが多く、あまり新緑が楽しめないのが残念なところですが、ミツバツツジがきれいに咲いていたりして、登りは樹木、下りはお花、といった感じです。

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 高度を落として、再び未舗装のやや荒れた林道に降り立ちます。奈良子へと続く林道です。百間干場とはなんなのでしょうか。私にはただの林道の一角にしか見えませんが、きちんと標識があります。林道から金山峠へは登っていきます。疲れた足にはちょっとしんどいですが、幸いこのあたりは新緑がきれいでちょうど見頃だったこともあって、まぁ、このくらいの登りなら…という感じで登っていきました。

 金山峠は14時過ぎの到着。やはりちょっと時間が余ってしまいそうで、ここから金山鉱泉に電話で問い合わせて、入浴不可なら、大岱山に寄って時間を稼ごうかと考え、携帯を取りだしたのですが…、何と電池切れ! ったく山中で事故ったらどうするつもりだよ…と苦笑しながら、お風呂はダメ元でいいやと、金山鉱泉へ直接下る径を選択しました。
 
 急な坂を下っていくと、5分も下らないうちにトラバース道がなんと完全崩壊! ええ?どうするよ? 高巻く?といってもズルズルの斜面でとても高巻けそうにないし、でもここを登ってきた人があれだけいるのだから、もっと簡単な方法があるはず…と下を見ると涸れ沢に踏み跡が…。少し戻ると、ああ皆ここを通ってきたんだとわかる足跡があり降りて涸れ沢を伝って進めば難なくしっかりした登山道に復帰。

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(トラバース道、完全に崩壊)


 その先は何度も何度も沢を渡り返していく道で、さきほどの崩壊地点は、雨後や雨の日で水量があったりしたらどう対処するのかな…とちょっと疑問符。。。幸い沢沿いの径は崩壊せずしっかりしていて、お花もネコノメやハシリドコロの咲き残りなど少し楽しめました。

 登山道が高巻き始め、登りになるとすぐに林道に飛び出します。あとは林道を下るだけか…とほっとしていると、今度はものすごい土砂崩れで、ガードレールが思い切りゆがんでいる始末。。。こちらはひょっとして大地震の影響でしょうか。。。


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(林道も土砂崩れで…)

 林道がしっかりした道になると、今度は何これというぐらい真っ赤っかなモミジ…。一瞬秋にタイムスリップしたみたいに赤い葉っぱを付けた樹があって、目を丸くしてしまいました。

 金山鉱泉山口館に着きました。写真を撮り、おそるおそる「こんにちは~」と声をかけ、日帰り入浴はできますかと訊いてみると、ああ、いいですよ、とのお言葉。助かった、これで巧い具合に時間が調節できます。入浴料は何と500円。やっぱり五百円札のモデルだから???でしょうか。とてもリーズナブルなお値段です。

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 お風呂はとても小さな檜造りのお風呂です。洗い場にはシャンプーやリンス、ボディソープも完備で、タオルに着替えだけ持っていけば十分です。お湯はちょっと熱めですが、かき回して温度を調節。特に匂いもなくぬるつきもないのですが入ってみると肌に優しい感じでした。あがった後がとても好い感じで、身体が芯から温まった感覚が続きます。

 時間も巧いこと調節でき、前回は気後れして入浴できるかどうか聞けず、入りたいな~と思いつつ、前を通り過ぎるだけだったのですが、今回は思い切って聞いてみて良かったです。というか、ここらへんが年をとって図々しくなったところなのだと思いました。

 鉱泉を後に、林道を下っていきます。このまま大月駅まで歩けてしまいそうな感じですが、遅能戸からのバスにも乗りたい…。前回来た時は、実はバスではなく、バス停で待っていたら地元の方に拾われて大月駅まで車で送っていただいたのです。このブログの創設以来ずっと変わっていないプロフィール写真は、その時撮ったもので、爾来このバスに乗りたいと思いつつずっと今日まで乗っていなかったのです。

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(鉱泉を後に遅能戸へ…今の時期なら林道歩きも楽しい)

 ゆっくり歩いて遅能戸にはバス発車の40分前に到着。バス停でずっとぼんやりしながらバスを待っていたら、降りてきて車で帰る人たちが結構いるのに気づきました。なんと車を持っていながら、大峠ではなく、遅能戸からピストンする人もいるのですね。もう大峠以外の登山道なんてこれから忘れ去られる運命にあるとばかり思っていたので、個人的にこれはとても嬉しいことでした。

 17時のバスには意外にも私以外に登山客がもう一人遅能戸から乗り、途中の浅利公民館からは、三人ほどのパーティーが乗車してきて、こんな狭い道を通るバスがひそかにハイカーに利用されていることを喜びながら、大月駅へと向かったのでした。



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  *片道バス山行…日帰りでバスは往路復路のいずれか一回だけ使用可。 タクシーもマイカーに拾ってもらうのも不可。 家を出たその日のうちに帰宅する。
 (この条件でまだ標高1800m以上の山に登ったことがないのです。)

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コメント

ゴン太さん、

金山ドーミから金山鉱泉へ下る道って一時は沢道を廃して尾根道に切り替えたはずなのに、いつの間にやらというか、やはり楽だからだと思うんですけど(笑)沢道が未だにメインのようですね。

ただ道の状態を見ると切り替えたのも頷けます。下りなら尾根道でも良いけど、登りだと沢道になっちゃいそうです。

今はまだ涼しいからお風呂入ってから歩けるけど、これから暑くなるとそれもしんどくなってきますね。でも・・・甲斐大和のバスがない頃は天目山温泉でお風呂に入ってから、よく歩いて帰ったことを思い出しました。

投稿: komado | 2013.05.14 22:06

 komadoさん、コメントどうもありがとうございます。

 そうですね、尾根コースはコースタイムで下りの場合25分ほど、登りで15分ほど長くなるので、沢コースが実質メインなのだと思います。
 確か私の記憶では、沢コースは峠(金山ドーミ)近くまで林道を無理矢理通そうとして、一時通行止めにしていたのではなかったかと思います。
 結果はご覧の通りで、無理に林道をブチ上げたりしなくて正解だったみたいですが…。

 雨の日や豪雨の後とかは、面倒でも尾根周りの方が(かえって早く着けるかも知れませんし)、安全だと思います。

 これからの季節は、おっしゃるとおりで、お風呂入ってサッパリしたら、炎天下を歩くのはまっぴら御免ですよね。 
 もう少し歩いた遅能戸寄りの河野園でも入浴できるようなので、そちらを選ぶのも良いかも(といってもそこも停留所まで20分ほど歩かないといけませんが:笑)

投稿: ゴン太 | 2013.05.14 22:47

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