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2013.04.30

【アカヤシオ姫に逢いに…矢岳北尾根 その2】

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(一般登山道で一番花付きが好かった樹 1100mあたり?)

 お昼ごはんを済ませて、下りに入ります。下ってみると、やはり先ほどの北尾根に比べ、こちらはエアリア赤破線とはいえ、一般登山道。踏み跡はしっかりしていて、ある程度山慣れた人であれば、下りにとってもそれほど難しく感じないと思います…というか、矢岳の場合、これ以外にいわゆる一般登山道は存在しないので選択の余地もないです。
 
 この登山道は、指導標の数こそ少ないものの、間違いやすい急所にはお手製の指導標があったりして、要所は押さえられています。大反山は植林の中の本当につまらない薄暗いピークにすぎませんから、大反山手前の鞍部でお手製の指導標に従って武州中川に下るぶんには長いけれど危険なところもない登山道だと思います。私のように偏執的に(笑)尾根の末端までたどる必要はないでしょう…が、実際は下ってしまったので、この記事には末端までレポします。いうまでもなく、尾根末端まで下ろうとすると地形図とコンパスを使わなければなりませんし、地形判断も必要な上、結構危険な箇所の通過もあります。


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(1060mあたり カタクリはまだ楽しめた)

 「浦山口→」という素っ気ない標識に従って、赤いマーキングのある尾根の踏み跡を降りていきます(これはもちろん武州中川に下る人も同じ)。下っていくとすぐにアカヤシオ姫。しかし、蕾、花、共に少なく、今年のアカヤシオは標高が上の方ほど凶作のようです。 標高1200m前後はしかしこれから葉っぱが出てくれば美しい新緑が楽しめそうな自然林。更に下ると、まぁまぁな花付のアカヤシオの樹があり、しゅんとした気持ちが少し慰められます。しかしまたすぐに極端に花付の悪き樹がお目見えしたりして、複雑な気分です。

 下り始めて40分ほど…1060mあたりでしょうか、伐採地の手前で、結構な数のカタクリ!  群落とまではいきませんが、これは思わぬプレゼント。登りの北尾根では標高が低いせいもあって花は見付かりませんでしたが、ここは沢山咲いていて、これで今日のアカヤシオの不作もなんとかカバーできた感があります。

 その先の大伐採地で下り始めてから1時間ほど経過していたので、一休み。目の前にこの前登ったばかりの大持・小持、そして武甲山…下にはダム湖「秩父さくら湖」の青緑色の湖水が見えて、お茶を飲みながらしばしぼんやり…。後から考えるとこのあたりが篠戸山(1040m)だったように思うのですが、山名を記した標識は見あたりませんでした。

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(大伐採地からの展望…武甲山・小持山・大持山)

 休憩後先に進むと、松浦本に記載通り、鳥獣保護区の赤い看板がありますが、倒れて地面に横たわっています。更にその先、松浦本でいう「コトガ沢の頭」962m地点では、降りてきた人が間違って東のフナイド尾根に入り込まないように、木で通せんぼをした上にお手製の指導標で北へ延びる尾根に左折するように指示しています。

 北へ向かい高度を落としていくと、地形図通り送電鉄塔をくぐり、送電線の巡視路らしく小さな木の階段もあったりして、770mの鞍部、クタシノクビレまで下ると、目の前にある大反山(853.7m)は結構な登り返しに見えて、可愛らしいミツバチの指導標↓に素直に従って武州中川駅へと下りたくなります(というより、素直に下るべき!)

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 せっかく来たのだからと、アホな私は大反山へ登り返しましたが、尾根の直登でジグザグもなく疲れた足には堪える登りです。やっと登り切ったピークはゲンナリするほどの暗い植林の中のピーク。山名標と三角点があるだけです。尚余談ですが、20世紀の分県別登山ガイド『埼玉県の山』では、この三角点ピークを若御子山として紹介していたりします。

 疲れた足を休めるべく853.7mピークで腰を下ろし、これからどちらへ降りるか検討します。時刻は14時15分。一般登山道を降りて武州中川駅へ15時35分発の直通に間に合わせるにはコースタイムから見てギリギリ。一方浦山口までの松浦本のコースタイムは1時間50分で、16時38分発の池袋行き直通電車には余裕がありそう…ということで、この時期は羊山公園芝桜組との衝突を避けるべく、直通電車に乗るのが鉄則ですから、松浦本通り、RFで尾根末端まで頑張って浦山口へと決定。

 ※毎度のことですみません。。。ここからは一般登山道ではなく地形図とコンパスでルートを割り出すバリエーションコースです。地形判断とRFが必要なコースになります。

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 大反山から下ると尾根が二手に分かれます。左がエアリア赤破線で先ほどの可愛らしい指導標の巻き道と合流しますが、ここは右手というか、真っ直ぐ倒木を超えて尾根をたどると祠があって↑その先が転げ落ちるほどの急斜面になっていますから、慎重に下っていきます。下りきると自然に北に延びる尾根に乗れて(このあたり新緑が綺麗)、その先の小ピークが現在は若御子山というらしく、プレートが三種類ぐらいあります。標高を思い切り間違えて訂正を喰らったプレートもあり、笑えます。 


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 若御子山を後に北東へ、すぐに左手のテープに従って、これまた先ほどよりすごい急下りをします。ロープもあったりして、ありがたく掴まらせてもらいながら下っていくと、ああ今度はヒトリシズカちゃんが沢山咲いています。大岩の左脇を通って更に下ると松浦本通り、本当にツバキの赤い花が敷き詰められた神社があって、思わず、ここまでの無事を感謝すると同時に、この先もどうか無事に下れますようにと祈り、更に下っていくと若御子峠。来た方向を指して「←若みこ山」の標識には「行くな」とか「行かない方がいい」とか落書きがしてあります(笑)。「国見の広場に至る」のビックリするほど立派な指導標が現れ、ここから国見の広場まではエアリア赤実線。

 樹が育って両神山は見えにくくなった「国見の広場」でお茶で一服入れてから、立派な階段を下りていきますが、右手に尾根をはずれる階段を見送り、また尾根通しに進んでいきます。ここからまた(短いですが)バリエーションルートです。

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(「国見の広場」より展望…両神山は樹の陰。正面は二子山?)

 送電鉄塔を越えて、その先の小ピークを越えると、また送電鉄塔があり、岩の崩落防止らしいワイヤーが張られたところを通り、なおも尾根の末端へと進むと、もうこれ以上進むとヤバイという地点に出ます。すぐ下に舗装道路が見え、尾根が舗装道路に向かって垂直に切れ落ちているので、無理に進めば死にます(笑)。
 
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(尾根末端近く…新緑も美しかった)

 松浦本では「最後は左寄りの石段で舗装道路に降りる」と書かれていますが、石段は見あたらず、代わりに送電線の巡視路らしいトラバース径が左手に見付かったので、これをたどっていくと案の定「奥秩父線2号に至る」の黄色のポールがあって、きれいに舗装道路に着地成功。念のため、尾根末端を見に舗装道路を右手に戻って見てみたところ、やっぱり無理に進んだら確実に転落という尾根の最末端部分でした。

 あとは舗装道路をたんたんと下って、浦山口の駅へ。駅到着は16時10分過ぎ。ビールはないので、駅前の自動販売機で久しぶりに炭酸飲料水を買い求め、喉を潤しながら池袋行きの直通電車を待ちました。


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2013.04.28

【アカヤシオ姫に逢いに…矢岳北尾根 その1】

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(熊倉山宗屋敷尾根をバックにアカヤシオ姫)

【山行日】 2013年04月27日(土)

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」
新宿  05:20 - 05:29 池袋  (JR山手線)
池袋  05:39 - 06:32 飯能  (西武池袋線準急)
飯能  06:34 - 07:19 西武秩父(西武秩父線)
御花畑 07:25 - 07:39 武州日野(秩父鉄道)

「歩行」
武州日野駅 07:45 - 08:40 北尾根取り付き
取り付き  08:45 - 10:00 820m地点
820地点 10:05 - 10:50 営林署ルート合流点
合流点   11:00 - 12:00 矢岳
矢岳    12:25 - 13:25 大伐採地
大伐採地  13:30 - 14:10 大反山
大反山   14:20 - 15:05 国見の広場
国見の広場 15:15 - 16:10 浦山口駅


「鉄道」
浦山口 16:38 - 18:33 池袋 (秩父鉄道&西武線直通急行)
池袋  18:39 - 18:45 新宿 (埼京線)


【地形図】 「秩父」 「武蔵日原」 


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(営林署コースとの合流点付近で…)



※この記事で登ったルート「矢岳北尾根」は、登山地図にはない尾根歩きルートで、一般登山道とは違います。登山口もなく、また、指導標だけでなく途中に矢岳に関する「標識」さえ一切ありません。地形図とコンパスで進むべき方向を割り出すスキルがあり、地形判断ができる方のみのコースです。また山頂にある警告通り、スキルがある方でもこの尾根を下るのは危険です。


 三年ぶりにアカヤシオ姫に逢いに秩父へ。。。今回は今まで登ったことのない矢岳に行ってみました。矢岳はエアリア登山地図などで遭難の多い山とされていますが、実際に歩いてみたところでは、それほどの悪場もないようで、遭難の大半は気象遭難や下りに難ルートを取っての道迷い遭難なのではとの印象を受けました。

 矢岳は、ただ、そのルート取りにちょっと悩む山です。松浦本『バリエーションハイキング』に掲載されている営林署からの登りルートは、西武秩父駅からタクシーを使うもので、私の考えでは、一人で高いタクシー代を払ってまで登りたいとは思いませんし、武州日野の駅から延々と林道を歩くのも気が進みません(それにあの尾根、相当な急傾斜です(笑))。
 同書では「明ヶ指のたまご水」も併せて紹介されており、このたまご水のすぐそばに矢岳から長々と伸びている北尾根があることに気づき、「たまご水」を見学がてら、北尾根を登って、下りは松浦本に記載のルートをたどって浦山口か、(時間や体力との兼ね合いでは)整備された武州中川へ降りるという計画で臨みました。

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(武州日野駅にて)

 さて、今回も比較的長時間のコースになりますので、朝できるだけ早いスタートにしたいところです。私の家から一番早い電車で西武秩父駅到着は7時19分。Yahoo!の路線検索では秩父鉄道の御花畑駅発三峰口駅行き07:25には乗り継げず、07:51の乗り継ぎとなっていますが、今までの乗り継ぎ経験では、6分あれば(急ぎ足で)乗り継げそうに思えます。ただし、秩父鉄道はパスモやスイカが使用できませんので、切符を買う必要があります。あらかじめ秩父鉄道の切符用に小銭300円をポケットに用意して乗り継ぎに挑戦。

 実験結果は、予想通りトイレなどに寄らなければ乗り継ぎ可能。武州日野駅を8時前のスタートです。なお、武州日野駅で熊倉山の白久ルート(谷津川林道コース)通行止めの表示がありました。まぁ、あのルートは一般ルートですがとてもいやらしいルートで、開通したとしてもお奨めできません。

 武州日野駅からたまご水までは前掲書の松浦本通りで特に付け加えることもないのですが、私は持小屋沢を渡ったところにある「たまご水1分」の指導標ところで、持小屋沢沿いにあるものと勘違いして時間を消費してしまいました(たまご水は安谷川沿いにあります)。

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(たまご水)

 結局、持小屋沢を渡ってから「たまご水」を見付けるまで10分もかかってしまい、こんなことで、ちゃんとRF出来るのだろうか、と先が思いやられます。そんなわけで、北尾根に取り付いたのは、駅を出てから1時間後。比較的傾斜が緩やかな左(持小屋沢寄)側(北東)から尾根に這い上がります。

 右自然林左植林の支尾根を登っていくと、585の手前で予想通り右から尾根が合わさり、やっと尾根道らしくなりますが、両側共に植林となってしまいます。585から15分ほどで大木の下に祠を見て、登下山の安全をお祈りしてから更に植林尾根を登っていきます。やがて右側が自然林となって、尾根が広がり、足もとにはカタクリの葉っぱが散見されるようになりますが、一枚葉がほとんどで花は見付かりません。もっともこの標高ではもう終わっているでしょう。

 やがて右側に熊倉の宗屋敷尾根がそびえてきて、傾斜が弛んできたところが820地点でしょう、山桜も咲いていて、ここで少し休んで水分補給。この調子なら矢岳に昼前は余裕だろうとこのときは調子こいていました(笑)。

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(820付近 新緑に山桜がきれい)

 820m地点を後に自然林が優勢となった尾根を登っていくと、尾根が痩せてきて、岩がちのアセビの尾根に…これはアカヤシオの雰囲気…と、1000mの手前で、この日初めてのアカヤシオ。しかし、そこは右側が完全に崩落したちょっと危ない箇所で、崩落した尾根にぶら下がったアカヤシオの樹ですから、とても近づいて写真を撮る勇気は出ません。崩落のお陰で熊倉山の宗屋敷尾根がばっちり見えています。

 更に進むと落花したアカヤシオ、と上を見上げれば花が一つ二つ。。。先ほどの樹に比べ随分花付が悪いです。うわこれってひょっとして大凶作?と呟きながら少し進むと今度はわりと花付の好い樹があって、少し頬がゆるみます。。。とまた非常に花付の悪い樹…。標高1000mあたりだとこんなものか、もう少し上に行けば…と気を取り直して急斜面を両手両足で登っていくと、大きな石を落石させてしまって…、でも誰もいないだろうから、「ゴメンねクマさん」とだけ呟いて更に登っていくと、ああ、イワウチワちゃん…写真を撮って更に登っていくとやがて後ろから咳払いが聞こえてきて…ぐぐ、マズイ…。

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(営林署尾根合流点付近にて…この日一番花付が好かった樹)

 営林署からの尾根(979からの尾根)を併せる頃になるとまたアカヤシオ姫がまぁまぁな花付きでお出迎え。。。979方面にも少し下って写真を撮りました。分岐点に戻ると先ほどの咳の主と思われる男性登山者が登って来られたので、落石を詫びがてら伺うとなんと私の一本後の電車で来られたそう。私は本当にノロマだなぁと思いつつ、ちょうどそのあたりに沢山咲いていたイワウチワを撮りながら休憩して、男性に先に行ってもらうことに。

 合流点から更に進むとイワウチワが沢山咲いていて、踏みつけないように気をつけなければならないぐらい。。。全部写真に撮っていたら先に進めないので、少しだけ撮影して先へ進んでいきます。ここから上ならアカヤシオ姫も結構見頃かも…との期待で登っていきますが、どれも花付の悪い樹ばかり。蕾を付けた樹もみましたが、蕾の数自体が少なすぎるので、GW後半ですとせっかく訪れてもあまり楽しめないのではないかと思います。

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(矢岳山頂直下…蕾もあるが…)

 矢岳山頂直下は、予想通り、岩がちの急傾斜。アカヤシオの咲く山の最後はどうしてどこもこう急なんでしょうか。頂上には「北尾根を下らないように」との埼玉県警のプレートがまだありますが、破損している上、字も消えてしまっており、警告の機能もこれではゼロに近く、ただのゴミとなりかけています。

 山頂到着は結局12時ほとんどジャストに近い時刻。途中で余裕をこきすぎました(笑)。時間も時間なので山頂でお昼ごはんにしました。
 


その2

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2013.04.17

【カタクリを見に…武川岳から大持山・小持山・高ワラビ尾根 その2】 山バス情報117

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(高ワラビ尾根920m付近で…こちらでもカタクリが楽しめた)

※いちおうお断りしておきます。 こちらの記事のルートは一般登山道と違い指導標一切無し&地形図とコンパスを使って地形を判断できる方のみのコースです。
さらに付け加えますと、バリエーションルートの下りは登りに比べ数段難しいものですので、経験者でも最初は登りにとって歩く方がよいと思います。

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(高ワラビ尾根伐採地より武甲山)

 武士平分岐を後に、高ワラビ尾根を更に先に進みます。松浦本『バリエーションルートを楽しむ』の通り、北ではなく北西に進路を取りますが、のっけからものすごい急下りです。「すぐの岩場は右を巻いて…」とありますが、巻いた後の急傾斜のスゴさといったら半端ではなくて、降りると言うよりずりおちていくといった方がいいぐらい。私も行政側の人間であれば、進入禁止にするだろうな、という感想です。いちおう踏み跡はジグザグ切ってくれていますが、グズグズで踏ん張りがほとんど効かないです。

 で、その次の小ピークからの下りも、松浦本通り、短いけれどやたらに急です。このあたりだともう1000m台なので、松浦本にも記載があるアカヤシオがひょっとして開花しているかもとの期待もあって、尾根末端挑戦に傾いたのですが、残念ながらどれもまだ蕾で、開花したものはひとつもありませんでした。日当たりも余り好くない場所のようでしたし、北西斜面と言うこともあるのでしょうか、標高だけで花の咲き具合は決まらないのではないかと思いました。

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(尾根が右に直角に曲がる地点では左手に入り込まないように倒木で通せんぼ)

 尾根に忠実に下っていきます。「1055の先で尾根は右に直角に曲がる」のところでは、間違って南西の尾根に入り込まないように倒木を数本使って通せんぼしています↑。右に直角に曲がった尾根に入るとすぐに左手に秩父さくら湖の青緑色の湖水が見えます。
 直角に曲がった尾根に入って十数分ほど、伐採地の手前にカタクリの花が群落とまでは言わないまでも結構な数咲いていてくれて、嬉しくて写真に収めます。伐採地からの武甲山、確かに堂々とした山容ですが、個人的には、小持山から見た姿の方が好きです。

 その先の岩尾根は松浦本通りワイヤーが放置されたままですが、更に先の850へと下って地形が多少広がっても解りにくいことはなく、尾根に忠実に下っていきます。785への登り返しあたりになると、だんだん疲れが出てきて、倒木が指導標に見えたり、ただの石が石仏に見えたりと、こりゃちょっとやばいなぁ、と感じます。こんなところに指導標なんてあるはずもないのに(笑)。

 785への登りで、あれ、あの色はもしかしてお姫様(アカヤシオ)?と思ったのですが、近づいてみるとミツバツツジ。しかも、785とばかり思っていたピークはその手前の偽ピークだったりして、このあたりは結構肉体的にも精神的にも厳しかったです。プロトレックの高度表示とも照合して、今度こそ間違いなく着いた785ピーク。武士平分岐から既に1時間以上経過していたので、ここで少しゆっくりします。

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(「お姫様」かと見間違えてしまった)

 松浦本記載のコースタイムですと、ここから30分ほどで三角点のある城山、城山から40分で県道に降りられる=一時間強でこの尾根下りも終わる計算ですが、松浦本のガイドによれば城山から先が結構難しそうな感じです。まだまだ、というより、ここから今まで以上に気を引き締めていかなければ、と肝に銘じて、水筒の水で喉を潤し、気合いを入れ直します。

 785ピークから城山は尾根をはずさないように気をつけていけば、特別難しいところはありません。左下に見える秩父さくら湖がさきほどより近くに見えるようになって、さぁ、また登り返しです。もうここら辺は、足が上がらなくなってきて、ホント間隔があいた後のロングコースはそれでなくても厳しいのに、下りのバリエーションルートとなるとメンタルの部分でも厳しいので、かなり消耗します。えぃ、くそ、これが今日最後の登りだ、がんばれゴン太!と自分で自分を励ましながら、なんとかかんとか三角点のある城山へ身体を運び上げました。

 城山には三角点の他は赤というか、赤茶色のプレートがあるだけ。。。しかし、考えてみれば、武士平分岐からここまで標識はゼロ、ちょっとだけホッと一息。

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 さて、最後の難しそうな箇所に、これから挑みます。三角点からまず北東方向に進むと尾根上になっているので、下っていくと、すぐといっていいところ左手(北方向)に深く抉れた落ち葉ズルズルの結構急な尾根が続いていきますので、転ばないようにこの急な尾根を降りていきます。この急な尾根を下りきると、傾斜が弛みほぼ平坦に近い北に延びる尾根に自然に乗れます。これが松浦本の言う「550メートルの北に細く突き出た尾根」で、ああ、難しいところを何とかクリアできたと一安心。あとは、尾根をたどって370メートルの鞍部まで尾根下りだから…と、やはり気が抜けていたのでしょう。すぐ先で(あとから考えればボーンヘッドと云っていいぐらいの)道間違いをおかしてしまいました。

 よい子の皆さんは、これを読んでいるはずはないので、悪い子の皆さんは、1/25000地形図「秩父」といういたずら道具をひっぱり出してきてください。高ワラビ尾根の末端部、城山(705.5三角点)のほぼ真北、550に細く突き出た尾根があります。この尾根をたどると、550から530にかけて左(北西)に曲がる感じになっていると思います。私が道間違いをしたのはちょうど530地点です。
 実際は530地点にいるのに、まだ550地点の先っちょにいるものだと思い込んでいた私は、「ここで左に曲がる」と呪文のように唱えながら、530から西へ延びる(というか落ちる)尾根に入り込もうとしたのです。

 実際踏み跡もありましたので、私と同じ勘違いをした人が他にもいたのかも知れませんが、幸いにも、わりと早く間違いに気づきました。地形図と照合してもあまりに急傾斜過ぎるし、10数メートル下ってみたところで、下の県道を走る車の音がヤケに大きくなったので、地形図とコンパスでにらめっこして、すぐに、「自分がどう間違ったのか」認識できました。

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(間違えて入り込みそうになった尾根 この梯子の残骸を見かけたらバツ「×」です)

 「あ~馬鹿だバカだ、ただでさえ疲れてるのに余計な体力を浪費しちゃって、ほんとアホ…」と実際声に出して(笑)呟きながら、登り返して、無事北北西に延びる尾根に乗って、疲れた足を引き摺りながら370mの鞍部へとぼとぼ下っていきます。。。

 鞍部に到着。「右下に壊れたトタン造りの小屋跡」??? はて、そんなものは見あたらないな… しかし良~く見ると、ああ、なるほど、この残骸か…というほどのトタンの破片が見付かりました。左手には赤テープが巻かれた木がありますが、踏み跡と言うほどのものもなく、まぁ足跡みたいなものはあるにはあります。しかし、その鞍部からすでに県道はすぐそこに見えているので、転ばないようにゆっくりと下っていくと階段があって、無事県道に降り立つことができました。
 
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(高ワラビ尾根末端の取り付きはここ)

 県道に降りたのは16時15分頃。あの橋を渡って、そこから15分で浦山口駅か…。この疲れ切った足で、16:38発の直通池袋行きに間に合うだろうか…、もう無事降りられたから次の電車でもいいか…、ああそれにしても疲れた。早くビール飲みてーっ! 歩くのめんどくさいなぁ…などと考えながら橋立橋をフラフラ歩いていると。後ろから聞き覚えのあるオルゴール!!!

 そうです、16時浦山大日堂発の「ぬくもり号」です。ピンク色の可愛いライトバンが目に映じた瞬間、もうほとんど反射的に右手を挙げていました。まるでタクシーでも拾うみたいに乗車。自由乗降の乗車ってひょっとして初めてかも…、と思いながら、開けてくれた扉から乗り込みます。先客がお一人でこの便の乗客は二人だけ。西武秩父駅入口で下車して帰途につきました。
 
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(秩父市営バスぬくもり号の後ろ姿)


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2013.04.14

【カタクリを見に…武川岳から大持山・小持山・高ワラビ尾根 その1】 山バス情報117

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【山行日】 2013年04月13日(土)

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」
新宿 05:35 - 05:43 池袋 (JR山手線)
池袋 06:00 - 06:55 飯能 (西武池袋線準急)

「バス」
飯能 07:10 - 08:07 名郷 (国際興業バス 790円)

「歩行」

名郷  08:15 - 09:05 天狗岩手前の露岩
露岩  09:15 - 10:25 武川岳
武川岳 10:35 - 12:05 大持山の先の小ピーク
大持山 12:25 - 12:50 小持山
小持山 12:55 - 13:25 武士平分岐
分岐  13:30 - 14:45 785
785 14:55 - 16:15 橋立橋

「バス」
橋立橋 16:15 - 16:30 西武秩父駅入口 (秩父市営バス 300円)

「鉄道」
西武秩父 16:51 - 18:32 池袋 (西武線急行)
池袋   18:42 - 18:48 新宿 (湘南新宿ライン)

【地形図】 「秩父」 「武蔵日原」 「正丸峠」 「原市場」

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(小持山山頂で…)


 いろいろありまして、三週間以上山へ行けませんでした。で、三週間ぶりの山行きは、やはりカタクリの花が目当てです。
 カタクリだけだったら、まぁ、武川岳でなくても好いのですが、リンク先のサイト情報などでは、場所によってはもうアカヤシオが咲き始めている!とのこと。そんなわけで、アカヤシオの下見偵察も兼ねて、5年前と同じく朝一番の飯能駅発湯ノ沢行きバスで武川岳に登り、今回は妻坂峠経由で大持・小持山へと足を伸ばしてみることにしました。

 オマエのやたらと長いレポはいいから、さっさと花の情報だけ寄こせよ(笑)、という方のために、先に結論だけ言いますと、カタクリはちょうど見頃かピーク過ぎぐらいだったと思います。
 でアカヤシオの方ですが、大持~小持山稜線は、ここのところの寒さもあってか、ほとんどが蕾未満(芽は出ています)でした。ただ、稜線よりも標高が高い小持山頂上付近のアカヤシオは陽当たりが良いせいでしょうか、蕾も見られましたので、(今後の気温変化にもよりますが)開花は次の週末あたりかもしれませんが、咲き揃うのはもう少し先ではないかなと思いました。ちなみに大持~小持山稜線ではこの日名残雪がポツポツですが見受けられました。

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(大持山~小持山稜線で…名残雪)

 7時10分発の湯ノ沢行きバスは、国際興業が撤退する意向を示している路線で、毎年ハイシーズンでも乗客は10人未満ということが多かったのですが、この日はハイカーが20人以上はいたでしょう、席はほぼ埋まり、この調子で利用者が増えて撤退撤回か延期となることを願うばかりです。一番バスが捕まえられない人でも、二番バスの名郷行き(07:40発)は、ほとんどの人が利用可能だと思いますので、皆さん是非ご利用をご検討下さい。

 名郷で全員を降ろして湯ノ沢に向かったバスを見送って、柔軟体操とトイレを済ませて出発。武川岳への径は五年前と同じく天狗岩経由です。鶯の啼くなか、民家の路地を通り抜け道標に従い尾根に乗って植林帯を登っていきます。五年前のレポでも書きましたが、登山道はやはり一部付け替えられていて、今回最初の休憩場所にした露岩のあたりまで上がってみてわかったのですが、昔の尾根筋の登山道の東側に林道が上がってきていて、どうもただの林道ではなく石灰岩の採掘場となったような雰囲気がありました。武川岳が今後どのぐらい削られるのかわかりませんが、第二の武甲山になってしまうのでは…と少し哀しい気分になりました。

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(730付近まで上がってきた林道 石灰採掘でなければいいが…)


 上がってくる最中、後ろから声や鈴の音が聞こえていたので、天狗岩手前の露岩ピークで休憩して、後ろから来た人が先に行ったのを見計らって、カタクリ探索です。探すほどのこともなく簡単にカタクリは見付かって、今回一番数が多かったのはこの天狗岩手前の露岩付近でした。群落といってもいいくらいこのあたりはカタクリが咲いています。あんまり咲きすぎて数株は踏みつけられているほどで、悲しいような嬉しいような複雑な気分。

 天狗岩は今回も男坂を登って高度を稼ぎ、右手に伊豆が岳が見えてくるとまもなく、山伏峠からの径を併せて前武川岳。一旦下って登り返せば武川岳山頂です。時間はまだ十時半ですが、少しお腹も空いたのでオニギリをひとつだけ。

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(天狗岩付近で…なんて言う名前のスミレ?でしょうか)


 さて、今日は前回と違ってロングコース予定。オニギリひとつとテルモスのお茶で少し休憩したら妻坂峠へ。。。少し下った大岩のところに今回も数株のカタクリが見付かりましたが、武川岳から大持山の稜線は、今や気をつけていれば見付かるケド…という程度です。 
 妻坂峠への転げ落ちそうな急下りのあとの大持山への登り返し…。ここを頑張って大持山へお昼前に到着したいと、私にしては結構早めのペースで登り降り…。しかし、最近マトモに歩いていないこともあって、大持への登りはもうへろへろ。腹は減るし、足は疲れるしで、大持山の手前の肩で昼飯にしようと思っていたものの、ここは展望も良いので大勢の登山者が休憩中。フラフラしながら大持山頂上はほぼ素通り。少し先の小ピークで大休止としました。

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(大持山へ…稜線の新緑はまだ)

 お湯を沸かしてお昼ごはんを食べながら、この先の進路を思案。とりあえず大持山までは予定通りの時間で歩けたので、ここから小持山へ向かい、戻らずに高ワラビ尾根を下ることにしました。小持山へ13時に着ければ、エアリアコースタイム通りのんびり歩いても、武士平には16時の秩父市営バス「ぬくもり号」に十分間に合うように降りられるだろうとの目算です。

 昼食後、アカヤシオの木を下見しながら小持山へ向かいます。奥多摩では先週末1000mのあたりでもう咲いているとの情報だったので、ここでもひとつふたつはあの可憐な色の花弁にお目にかかれるだろうと、三年前の記憶を頼りに、アカヤシオの木を見て回ったのですが、開花したものはひとつもなく、蕾も見付からないという情況。芽は出ていますが、どれも蕾といえそうなふくらみは持たず、1000mと1200mでこうも違うものかと思いながら歩いていくと、ところどころ雪の降った跡も見られました。。。

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(アカヤシオはまだだけれど、アセビは見頃でした)


 ところが、小持山山頂に到達してみると、そこには深紅の蕾をつけた木が見付かり(二番目の写真)、標高が高くなっても微妙に陽の当たり具合で違いが出るものだと妙に感心するやら不思議に思うやら…。しかし、来週は観劇の予定もあって、ちょっと山には出掛けられそうもないので、ひとつぐらい花開いてくれていても良かったのにとちょっと心残りな気分で山頂を後に。

 さて、10年ぶりの高ワラビ尾根。記憶では、地形図には現れないアップダウンが結構あって、実際に歩くと思ったより消耗する、という印象でした。武士平の分岐まで手もとのエアリアだと1時間強のコースタイム。しかし尾根末端まで歩いた松浦本の記録ではなんと30分。いや~、いくらなんでも30分はないでしょう、と呟きながら武甲山方面にちょっと下ったところにある高ワラビ尾根に入ります。

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(小持山より武甲山を望む こちらからみると実に雄大な姿)

 歩いてみると、記憶通り、アップダウンがあって、ご丁寧に尾根上にそって踏み跡があるので、巻き径のような気の利いたものもなくて、ほらね~、この調子じゃ、いくらなんでも30分は無理でしょうに…と歩いていくと、なんと、30分で武士平分岐に到着(笑)。
 
 うーむ、これはちょっと逆に困ってしまいました。というのも、秩父市営バス「ぬくもり号」は、浦山大日堂発14時の次が16時。時刻は13時半前で、どう考えても14時の便には間に合わないし、のんびり歩いて下っても16時の便が来るまでは時間が余りすぎてしまいそう…。

 武士平分岐には、左(南)武士平、来た方向(東)小持山、そして、高ワラビ尾根末端方向(西)は「山道進入禁止」とあります。もちろん、地形図とコンパス、松浦本の高ワラビ尾根下降記事のコピーは持ってきていますし、高ワラビ尾根下降の記事は直前にも何度も読み返して要所は頭に入っています。しかし、ここまでのロングコースで体力の消耗もあるし、登りにならともかく下りにバリハイルートはまだ早すぎるという自重もあり、少し悩みました。

 結論は、日足がだいぶ延びた今の時期だし、風もなく好天の山日和で見通しもきく。途中で間違いに気づいて戻ったりしたとしても、日のあるうちに里に下るのは可能、思い切って末端まで挑戦してみよう、という判断でした。

 ※このあとは、よい子の皆さんは真似しないで、素直に武士平か茶平に下って欲しいので別記事にします。



その2

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