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2010.04.18

芝居にうつつを抜かしてます…

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(東銀座 歌舞伎座 2010/03/27 )

前回更新から、もうすぐ3カ月…。今年の花粉が軽かったのは花粉症でない皆様もご存知のこと。桃の花ももう終わろうというのに、この間いったい何をしていたのか、ということを、いい加減ご報告しなければ、ということで、山とは全く関係のないお話です。

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(大阪 日本橋 国立文楽劇場 2010/04/03 )

ことの初めは、昨夏足を怪我して山へ行けなかった頃、近所の図書館でふと手にした、『文楽の研究 (岩波文庫)』という一冊の文庫本。

歌舞伎もお能も見たことあるけど、そういえば文楽(人形浄瑠璃)は一度も観たこと無いなぁ…。 まぁどうせ読みゃあしないだろうけれど、とりあえずタダだし(笑)借りてみようか、ということで借りて帰ったのです。

岩波文庫、というとやたらに難解なイメージがありますが、芝居のことなどほとんど知らない私でも、この本は意外に読めてしまって、続編の『続・文楽の研究 (岩波文庫)』も、今度はブックオフで購入して読んでしまいました。

文楽というのは、著者の三宅周太郎さんが執筆していた当時は、世襲というものはほぼゼロの世界で、歌舞伎のように親が役者なら子供はどんな大根(ダイコ)も舞台に立てるようなものとは本質的に違うのだということを述べておられて、彼ら文楽に携わる人びとの、その素晴らしい芸に比してあまりに少ない収入のことも、この本で初めて知りました。

本を読み終わり、入門書『あらすじで読む名作文楽50 (ほたるの本)』なども買って、とりあえず、一度文楽なるものを見に行ってみたくなり、ネットでチケットのことを調べてみると、文楽は本場大阪よりも東京の方がチケットが入手し難いのですね。実際そのとき発売開始からだいぶ日にちが経過していて9月のチケットは完売状態だったのですが、しばらくして何気なしにもう一度チケットサイトを覗いてみたら、平日ですが中央十列目のかなり佳い席が取れたのです。演目は『伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)』と「今頃は半七さん、どこにどうしてござろうぞ」で有名な『艶容女舞衣(はですがたおんなまいぎぬ)』。。。休みをとって観に行ったのですが、これが凄く好かったのです。

そして、11月、大阪まで近松の『心中天網島(しんじゅうてんのあみじま)』をついモノのはずみで観に行ってしまって(実はなぜか関西、ポンポン山は、この観劇のついでに歩いてきたのです)、これがまた竹本住大夫さんの浄瑠璃と人形遣い吉田簑助さんの小春が絶品。ノックアウト状態でした。

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(半年間で観劇した文楽のチケット)

それでも、昨年(2009年)中は、文楽だけでしたので、他の週末は天気と体調が好ければ、山に出掛ける時間がありました。

ところがです、年が明けて(2010年)一月になって、職場の気の合う友人に、ふとその「最近文楽を観るようになって」という話をしたのがはじまりで、やがて四月で建て替えになる歌舞伎座に話が移っていきました。
もうしばらく(三年間も)観ることが出来なくなる歌舞伎座の、せめて「幕見」(=普通の観劇と違い、三階いちばん後ろの席=混んでいれば立ち見で一幕だけ観る)ぐらいはしておこうと、仕事の帰りに木挽町(東銀座)なんぞに寄ってしまったのが間違いの始まりでした。

歌舞伎って、上にも書いたとおり、親が役者なら…ってこともあって、正直なところあまり期待していなかったのですが、この幕見がとてもよかった。歌舞伎って、文楽と違って、大向こうさん、という声かける人がいて、その声と、舞台の絢爛豪華さとで、すっかり魅せられてしまいました。

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(歌舞伎のチケット:このほかに幕見もしてる:笑)

昔、若い頃に友人に歌舞伎座に勤めていた人がおりまして、その人の招待で無料で当時大人気だった坂東玉三郎さんの『本朝廿四孝』を観たことがあるのですが、この二月に観た玉三郎さんの『籠釣瓶』八ッ橋での艶やかさといったら二十五年近く経った今でも言葉にならないほど素晴らしいモノでした。 
そして、何度か観に行くうちに今度は中村魁春さんという役者さんがとても気に入ってしまって、もうこれで歌舞伎の方も完全に抜け出せなくなってしまったのです。

職場のその友人も歌舞伎を見に行くようになり、彼もすっかりはまってしまったようで、私に古本屋で入手した歌舞伎の元本をコピーしてくれたり、暇なときに芝居談義に花が咲いてしまったりで、二人して深みにはまって行ってしまったのでした(笑)。そんなわけでこの3カ月ほどは週末は毎週のように東銀座や国立劇場付近に出没していたというわけです。

とりあえず、今月で木挽町の歌舞伎座は閉場。来月から3年かけて建て替えに入る関係で、この一年毎月の如く演ってきた「歌舞伎座さよなら公演」ももうまもなく終わりますので、関西に歌舞伎まで見に行ったりしない限り(笑)は、私の歌舞伎狂いも少しは落ち着くと思うのですが、来月は文楽が2回週末に予定入っていますし、これはたぶん狂うことはないと思うのですが(笑)、先日は千駄ヶ谷の国立能楽堂にまで行ったりしている状態で、すぐに飽きてしまうかどうかも含めこの先どうなるのか、今のところ皆目見当がつかない状態です。

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ともあれ、私(ゴン太)は、体調を崩すこともなく、今のところ元気にしております。
爺クサイ趣味ですし、山とはあまりに無関係なオハナシなので、アップするかどうか迷っていたのですが、遭難や体調不良などのご心配をおかけしているようではあまりに申し訳ないな、とこのような駄文を連ねた次第でございます。

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コメント

そうでしたか、そうでしたか。

はまっちゃいましたね。

投稿: タカ | 2010.04.19 13:43

高尚な趣味にハマッチャイましたね。

投稿: タカ | 2010.04.19 13:46

タカさん、こんばんは~。

ずっと沈黙してばかりですみませんでした。
おっしゃるとおり、すっかりはまってしまったようです。

ただ、決して「高尚な趣味」なんかじゃぁ、ないんですよ。私も見始める前は、そういうイメージ持っていたのですが、何度か通うと、話の内容は、実は、庶民的な視点に立ったお話ばかりだってことに気がつきます。
中には幻想的な物語もあるようですが、私は演目の中でも「世話物」と呼ばれる庶民の哀話が好きなんです。

ちょっと前まで、芝居狂いで身上潰したりする莫迦な男の話がよくありましたけど、自分がこうなってみると、あれ、すごくよくわかる気がします。潰すほどの身上持ってませんけど(笑)。

投稿: ゴン太 | 2010.04.19 19:49

歌舞伎、文楽、その次は狂言かな?

タカは芸能、特に古典芸能には全く縁のない
人間ですが、友人に活動弁士をやっているのが
います。

投稿: タカ | 2010.04.20 07:36

タカさん、こんばんは~。

狂言、観てみましたが(最後の写真がそのチケット)、こちらは、見物の私の方がまずかったのでしょう、あまり入り込めない感じでしたから、能・狂言方面はとりあえず、大丈夫そうです(笑)。

で、活動弁士って…、あの無声映画の語り部ですよね? 今、無声映画ってあまりやっていないでしょうから、もちろん、弁士だけでは、とても食べてはいけないでしょうけど、それにしても、あれは凄い話芸が必要でしょう。 しゃべりすぎてもいけないし、説明不足でもダメ、的確なことば選びをしつつ、咬まないようにしないとって。ほとんど名人芸の世界。そんな方がタカさんの知り合いにいるのですか、いや、これは、ほんと驚きました。

投稿: ゴン太 | 2010.04.20 21:13

ゴン太さん こんばんは
その節はお世話になりました。私のブログもあとひと月ほどで1周年です。
よちよちですが、なんとかめげずに続けられました。
ほんとうにありがとうございました。
ところで、
爺クサイっていったら盆栽かなあ、なんて思ってましたが(盆栽もなかなか芸術的で素晴らしいです)、
古典芸能だったんですね!素敵な趣味に出会いましたね~。
文楽、私も見たい見たいと思いながら、まだ一度も見たことがありません。
これを機会に…。

投稿: pallet | 2010.04.23 22:41

palletさん、こんばんは~。

もうあれから一年になるのですね。あのときはあまりお役に立てなかったように記憶していますが、ブログ、私も始めたときは、いつまで続くだろうか、一年どころか半年も続かないかも、と不安でした。

でも、山に行った自分の思い出を書き留めることで、「一粒で二度美味しい」を味わっているうちに、少しずついろいろな方からコメントなどもいただけるようになって、ブログは不思議な魔力がありますよね。私ももう少し、きちんと更新しないといけません(笑)。

盆栽は、爺クサイと書いたので、あるいはそう思われているかな、なんてちょっと思っていたのですが、やっぱりお庭のあるお家に住んでいないと難しいですから(笑)。。。

文楽、いつか機会があれば、一度足をお運びくださいまし。東京のチケット、特に週末土日に取るのは難しいですが、来月国立小劇場でかかる文楽は、平日ならまだチケットに余裕があるようです。
演目によっては、眠くなっちゃうかも知れないですけれど(笑)、最初は、お人形さんの美しさを楽しむだけでも好いのではないかと思います。

投稿: ゴン太 | 2010.04.24 19:29

大変ご無沙汰しております。こちらでは初めまして。
ふと思いついて覗きに来たらさよなら公演の写真。
十六年はひと昔、夢だ、夢だ。です。

投稿: 猫オバ | 2010.04.25 08:05

猫オバさん、ようこそおいでくださいました。こちらこそ、ご無沙汰しておりました。
メールで一度くらいご挨拶しようかと思っていたのですが、無精でついつい先延ばししてて…申し訳ありませんでした

最後にお会いしてから、そういえばもう十六年ぐらい経ちますかね(笑)…って、いや、その熊谷陣屋ですけどね、これが魁春さんが藤の方ってことで十一日の日曜日に観てきたのですが、素晴らしい舞台でした。

魁春さんだけじゃなくって、吉右衛門さんの熊谷、藤十郎さんの相模…、弥陀六に富十郎さんとか、もう最後だからってこれでもかってばかりの物凄いキャストで、役者が揃うと、最近見始めたばかりの私でもわかるぐらいとんでもなく素晴らしい舞台になっちゃってます。

昨日は土曜出勤だったので、明日の月曜はお休みをもらって、建て替え前最後の歌舞伎座に行く予定です。なんと一部と二部のダブルヘッダー(笑)、もちろん、三階ですけど、まさに病膏肓に入るって感じです。

投稿: ゴン太 | 2010.04.25 14:17

ゴン太さん、こんにちは。

更新が随分されていなかったのでちょっと心配しておりました。もう一つの趣味とはこのことだったのですね。

ようやく達沢山あたりに行くことができました。
確かに旭山のあたりは藪っぽいですね。でも、楽しい稜線でした。ゴン太さんが好むのもよく分かったような気がします。

投稿: リブル | 2010.04.25 20:54

リブルさん、おはようございます。

すみません、ずっと更新して無くて…、やはりいろいろな方々にご心配おかけしていたのですね。本当に申し訳ありませんでした。

いちおう、ツイッターなども登録して、今後は余計な心配をおかけしないようにと考えておりますが、私の携帯、古いせいか、どうも携帯からツイートできず苦戦しています(笑)。

http://twitter.com/fyama_gonta

達沢山西尾根を歩かれたのですね。私も先週は風邪と花粉にやられていなければ、行こうかと考えていたのですが、やはり今週ですと、寒い今年の春とはいえ、さすがに桃の花は終わってしまっていましたか。

旭山周辺の藪は年々濃くなっている気がします。降りたところに温泉もあるし、整備すれば歩く人も増えていいのに、と毎年歩く度に思いますが、あそこら辺の山は、エアリアにも載っていないので、行政側も手を着けたくないのでしょうね。

投稿: ゴン太 | 2010.04.26 08:50

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