【躑躅巡礼路 足尾赤倉山から半月山 その2】 山バス情報99
昼食後、笹の中を北へ伸びる尾根へ。松浦さんたちは左前方の小高いピークをトラバースされたとのことですが、私はピークに上がり直角に曲がって尾根通しで歩いてみました。このあたりは笹原がずっと続いて気持ちのよい場所ですが、踏み跡は薄く、錯綜していますから、踏み跡に引き摺られることなく、しっかり地形図と照合して進む必要があります。
稜線上には、ときどき思い出した様に赤テープが散見されたりしますが、この赤テープ、悲しくなるほど意味のない場所にあって(笑)、肝心の場所にはほとんど付いていない困った代物です。この日は晴れていましたので、気持ちのいい草原歩きでしたが、ガスが多いときなど、このあたりの平坦地は逆にかなり難しいと思います。
山頂から15分ほどのところに、またシロヤシオが咲いていました。笹原の径はなおも続いて、見晴らしよく、右手にはこの先の1511ピーク直下まで伸びている林道も見えています。途中バンビの亡骸が尾根上にあってちょっと吃驚。しかし、気持ちの好い笹原の稜線歩きは続いて、赤倉山に上がるまでの急登を思えば、ここはまるで天国の様です。
1445への登りもそのあとの1514への登りも、周囲の伸びやかな雰囲気に助けられて、1514では少し休んでこれから向かうガレ場の見える1511ピークを確認、北東へ向かいます。
1511ピーク直下は地形図の破線路を潰して出来た林道が走っていて、1511へ向かう取り付きらしいものもなさそうなので、適当に斜面を這い上がって尾根に乗りました。
1511あたりは笹原に立木が枯れているせいで、展望がよく、ここから見る皇海山はじつに立派な姿で、袈裟丸がその稜線の端にその存在を隠してしまうほどです。皇海山は深田百名山で、これまであまり登りたいとも思っていなかったのですが、これを見るとやはりいつの日か登りたい、という気持ちになってしまいました。
1511からほとんど踏み跡もない笹原を降りていくと、林道にバイクで来ている人がいてこちらを怪訝そうな目で見ています(笑)。さらに下から登ってくる人がいて、これには驚きました。平日でこんなコースでしたから、半月峠までは誰にも逢わないだろうと思っていたのですが、お話ししてみると、半月山の駐車場から眺めていたら気持ちよさそうな稜線だったので、ちょっと足を伸ばしてみたとのこと。何処から来たのかと聞かれ、間藤(まとう)の駅からずっと歩いて来たと言っても、「マト?」と不思議そうな顔をしていたのは、まぁ無理もないことでしょう。
尾根通しに下っていくと、すぐに巻き径と合流し、ここからはしっかりした踏み跡になります。1504は破線路よりずっと右下を捲き、ほぼ平坦でのんびり歩けます。トウゴクミツバツツジでしょうか、濃い紫色のツツジの蕾とヤマツツジの蕾を見掛けました。
峠の向こうに白根山でしょう、頂稜に雪を纏った山塊が見え、やがて右上に駐車場の柵が見えてきます。と、ここでアカヤシオの咲き残りを発見。カメラに収めようとしますが急斜面に咲いている為、巧くいきません。ああ、シロヤシオには早すぎ、アカヤシオには遅すぎでちょっと中途半端な時期に来てしまったナァと心内でぼやいていると、半月山の頂上付近にお姫様の可憐なピンク色が見えるではありませんか。
今日は半月峠までの予定で来ましたし、今から頂上に登るのは時間的にどうかとも思いましたが、ちょうど、駐車場に上がるらしき踏み跡が分岐しているのが見つかったので、これは日の長いこの時期だし、行くしかないと、とりあえず駐車場に上がると、咲いています、上の方に明らかにアカヤシオです。もう登ることに決めて、つらい急登をこなしました。ときどき背後の自分の辿ってきた尾根を振り返り見ながら、よくもまあ、あんな尾根を歩いてきたものだと感心。
駐車場がどんどん小さくなって、アカヤシオのピンクがはっきりしてきて、本当に今日は仕事を休んで来て好かった、そんなことを思いながら、腹がぐうぐう鳴ってるのも構わず上へ上へと進みます。頂上付近、1750mの高所だけあって、アカヤシオは蕾も少しある状態でちょうど見頃。最後のフィナーレ近くで、お姫様の素敵な姿に会えて感無量でした。
山頂に着いたのは15時半近く。こんなことは秋冬では絶対にできないこと。三角点に軽くタッチ、水分補給をして一息ついたところで、下山です。途中展望台があって、ここからの景色は泣けるほどよかったのですが、あまり長居も出来ず、半月峠へ急斜面を下ります。途中もアカヤシオが咲いていて、にこにこ顔で半月峠。
半月峠からはよく整備された登山道を狸窪(むじなくぼ)へ。中禅寺湖からのバスは20時過ぎまでありますし、狸窪から先は舗装道なので、あわてずゆっくり下ります。下っていく最中にも北面の恩恵でしょうか、アカヤシオの咲き残りに出会えてゴキゲンで無事に狸窪へ到着。
狸窪からは湖岸道路をのんびり歩きます。中禅寺湖の向こうに男体山が大きく、釣り人が腰まで浸かって釣り糸を垂らし、なんとものどかな雰囲気。頬に当たる風は冷たくまるで秋風のようで、週末と違い人の少ない夕刻の中禅寺湖はちょっと物寂しい感じでした。
イタリア大使館別荘記念公園を抜け、各国大使館の避暑地が続くこのあたり、標高1300m近くあり、今日も夕方は少し肌寒いぐらいで、たまに会う人はみな秋の様な装いです。私も上着を着ることにしてバス通りを目指しました。
中善寺温泉のひとつ湯元寄りにある立木観音入口バス停では17時14分のバスが行ったばかり。次の40分まで時間があるので、すぐそばにある閉店間際のお土産物やさんに駆け込んでビールを購入。中善寺温泉バス停まで僅かな登りなのに、酔ってだるさの残る足では、もうまるで歩く気力も失くして、硫黄の匂い漂うバス停に座り込んで日光駅行きのバスを待ちました。
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コメント
ゴン太さん、私のブログへのコメント有難うございます。
四色のツツジを一度に見られるなんて羨ましい!
実は私もその日、初めは半月山あたりのアカヤシオを狙っていたのです!!
中禅寺湖畔から半月峠に登るつもりだったのですが、アカヤシオが咲いているか確信がなかったところに、イタリア大使館記念公園あたりでシャクナゲを見てしまったので、これはもしかしたらシャクナゲが良いのではないかと、急遽、予定を変更してしまったわけです。
シャクナゲもいいけど、やはりアカヤシオの魅力は格別ですね。
去年は何度も見たのに、今年は見損なってしまいました。
投稿: たぬきせんべい | 2009.05.19 21:03
ゴン太師匠、こんにちは。
今度はなんと足尾側からの半月山ですか!!!
まさに脱帽です。
行ってみたいとは思ったものの、バスに乗れないのがネックで計画倒れでした。タクシーはそれなりにしますしね。ちょっと背中押されたかも...。(^^;
半月山のあたりのアカヤシオは今年もいいみたいですね。去年、楽しかった記憶が思い出されます。シロヤシオも良かったようで、やはり日光の山ですね。
皇海山、ぜひ、庚申山経由でどうぞ。
山深い感じがたまりません。
日光白根山と結んでみたい山ですが、一般登山者には、おそらく無理ですよね。
投稿: リブル | 2009.05.19 23:21
たぬきせんべいさん、こんにちは。
北関東ですと、なかなかマイナールートの情報がみつからないのですが、たぬきせんべいさんのところでヒットすることが多く、これからもしばしば参考にさせていただくことになると思います。
この日はアカヤシオの咲き残りが少し見られるかな、というぐらいの気持ちでしたので、これだけ豊富にいろいろな種類が見られたのは、嬉しい誤算でした。
シャクナゲ、綺麗に撮れていますね。毎年シャクナゲ目当て山行の計画を立ててはいるのですが、どれも泊まりがけのものばかりで、実行に移さずにここ数年過ごしてしまっています。
アカヤシオはやはりツツジ科の中では白眉ですね。このお花だけはストーカーのように追いかけてしまいます。もっとも日帰りばかりですが…。
また、こちら方面でニアミスすることを楽しみにしております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
投稿: ゴン太 | 2009.05.20 19:25
リブル大師匠、こちらこそお世話になっております。
足尾赤倉山から半月山は少し前に興味を持っていたのですが、もりのふうさんに背中を押されました(笑)。
タクシーは、金額がかなりいきそうですよね。でも、もしよかったら相乗りお声掛けください、実は私、社山の南尾根も狙ってますから(笑)。
もっともこのコース、取り付きがちょっと難しいですが、それさえクリアできれば、間藤から歩いたって、リブルさんの足なら赤倉に12時前、半月山に3時前は楽勝だと思います。赤倉から先は本当に楽しい稜線歩きが楽しめますから、ガスのなさそうな時を狙ってください。
皇海山は、庚申山から行くしかなさそうですが、どうもその前に高所恐怖症の私にとって大関門=鋸山が問題になりそうですネ。あの山、どこからアプローチしても巻けないのですよね~(笑)。
日光白根と繋げるのはテントしかないですから、普通は無理ですね。私ももう少し若くてバイタリティが残ってれば挑戦するのでしょうケド…。
投稿: ゴン太 | 2009.05.20 19:38
ゴン太さん、こんばんは~。
油断してチェックを怠っていたら…行かれたのですね。
よかったでしょう?(笑)
でもシロヤシオまで見られるとは知りませんでした。
(咲いてないと、どの木がシロなのかわからないもので)
躑躅三昧でよかったですね~。
もし花がなくても私としてはタイプなコースというか、峠みちって旅っぽくて好きなんですけど、あのコースはさらに展望もよくて静かでたまらんのです。
秋の快晴の日なんかも逆コースでいいかもしれませんね。もっとも赤倉山からどうやって下りるか…(ギョエッ)。
社山の南稜は2回下っていますが、下りはじめる時に他の登山者に「どこに行くんだ?視線」を浴びます(笑)。あと、転ばないでくださいね。まみれます。何かに(笑)。
投稿: もりのふう | 2009.05.20 22:17
もりのふうさん、背中を押してくれて、どうもありがとうございました♪
歩きながら、よくぞ、こんな素敵な山をお奨めしてくれたものだ、と感謝感激雨あられでしたよ。
とっても良かったです、ホントに。
シロヤシオの木ですが、私、アカヤシオは木だけじゃ未だなかなかわからないのですが、シロは木だけでも結構わかるようになりました。今度咲いている木を良く観察くださいまし。。。シロヤシオの木って、なんていうか、年寄りだけどやたら元気なジジイの肌みたいな(笑)木でけっこう特徴あるのですよ。
確かに、あの笹原だけで、ツツジが無くてもじゅうぶん魅力的な径ですよね。秋の快晴に逆コース、確かに惹かれます~。ただ私も赤倉山から先は一度登りにとったからって、下る自信はないですよ。半年ぐらいすると、結構忘れちゃいますしね。
社山の南尾根、二度も? ってことはそれぐらい魅力的なのかしらん…。確かにあそこは尾根の末端まで間藤駅からかなりあるし、下りで歩く方がいいかもしれませんね。ちょっと下りでプラン練ってみます。
転ぶとまみれるのは、たぶん、あれね。葡萄みたいなやつ(笑)。
最後になりましたが、好いアドバイス本当にどうもありがとうございました。こんな素敵な山歩きが出来たのも、もりのふうさんの一言があったからです。また、気が向いたときで好いので、遊びにいらしてください。
投稿: ゴン太 | 2009.05.21 19:29
ゴン太さん、はじめまして。いつも読ませていただいてます。
ゴン太さんのレポは山の雰囲気をとってもよく伝えてくれるので参考になります。
赤倉山も参考にしていただきました。このレポ無かったら赤倉山には多分行くことも無かったと思います。
「静かなる尾根歩き」の大平山松木尾根から社山南尾根の偵察の意味も含めてだったんですけど赤倉山だけでも十分に魅力的でした。
これからも楽しく読ませていただきます、そして参考にさせて下さい。
投稿: 大岳 | 2009.05.24 11:29
大岳さん、はじめまして(ひょっとしてFYAMAの大岳さん? もし勘違いでしたら御免なさい)。
赤倉山、行かれたのですね。
地図で見ても魅力的で、実際行っても素敵な山って、なかなかないですよね。私にとって赤倉山はそんな数少ない山のひとつで、今回の山行はこれからもずっと印象に残りそうです。
こんなたまにしか更新のないサイトでも、誰かのお役に立っていると聞くと、あぁ、続けていて良かったなと思うもので、大岳さんのコメントはとても嬉しかったです。
大平山と社山の南尾根は私も興味があります。あとあそこらへんでは中倉山なども…。
期待に添える様なレポをアップ出来るか、自信ありませんが、今後もお時間のあるときで結構ですのでお山のお話お聞かせください。またのお越しをお待ちしております♪
投稿: ゴン太 | 2009.05.24 17:37
ゴン太さん、こんばんわ。
>ひょっとしてFYAMAの大岳さん?
覚えててくれたんですか、嬉しいな。
FYAMAが無くなってからは、もっぱら読むばかりでした。
これからもよろしく。
何処かの山で出合えることを楽しみにしてます。
投稿: 大岳 | 2009.05.24 22:17
大岳さん、
やっぱりそうでしたか。
よかった、思い切って聞いてみて。。。
もし違っていたら…とも思ったのですが、山域も山域だし、こんな山だし(笑)ということもあって、お聞きしてみたのです。
FYAMAではたいへんお世話になりました。こちらこそ、これからも宜しくお願いいたします。
ほんと、何処かのお山でお会いできることを楽しみにしております。
またそのうち遊びにいらしてください。
投稿: ゴン太 | 2009.05.25 19:04