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2009.01.25

【鐘ヶ嶽北尾根から小雪舞う大山へ】 山バス情報95

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【山行日】 2009年1月24日(土)

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」
小田急線某駅  - 06:35 本厚木 (小田急線)

「バス」
本厚木駅 06:55 - 07:23 別所温泉入口 (神奈中バス 430円)

「歩行」
別所温泉入口バス停 07:40 - 09:15 鐘ヶ岳
鐘ヶ岳       09:25 - 10:25 見晴広場A
見晴らし広場A    10:35 - 11:55 893m地点の先
893       12:20 - 13:10 大山
大山        13:25 - 14:30 下社の下の四阿
東屋        14:40 - 15:15 大山ケーブルバス停

「バス」
大山ケーブル 15:22 - 15:45 伊勢原駅北口 (神奈中バス 300円)

「鉄道」
伊勢原 15:56 - 小田急線某駅 (小田急線)

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(山神隧道分岐を過ぎたあたりから鐘ヶ岳を振り返る)

大山に登るのも、もう十年ぶり。久々の再訪に、鐘ヶ岳はいつ登ったんだっけ…と、調べてみたら、なんと未踏でした(笑)。

冬と春の18きっぷシーズンの中間である1月末から3月初旬は毎年のように財政難。しかし、逆に言えばこの時期にしか行けない丹沢吸血鬼地帯(笑)を訪れるいい機会でもありますので、例によって松浦本でコース選定をし、今回は『バリエーションルートを楽しむ』39「鐘ヶ岳北尾根から大山」(120頁)をそっくりそのまま辿ってみることにしました。

今回のバリエーションルートですが、別所温泉から鐘ヶ岳までは地図読みのスキルがある程度必要なものの、鐘ヶ岳から先に関して言えば、特段の地形判断力は必要ではなく、むしろ大山への静かなルートであり、初歩的な地図読みの練習に好いのではないかと感じました。
注意点は778m峰。ここには以前あったという道標が現在は(私の見落としでなければ)撤去されています。この点、現況と松浦本と異なっていますので歩く予定の方はご留意ください。


朝一番の宮ヶ瀬行きバスは、こんなオフ・シーズンでも、ほぼ満席。それでもさすがに別所温泉入口で降りたのは私一人だけ。バス停のすぐそばにセブンイレブンがあって、ここでトイレを借り温かい飲み物を買って出発です。

別所温泉は興味があるのですが、ここにある日帰り入浴施設「別所の湯」は温泉ではないそうですね。その施設のすぐ先で松浦本記載通り「ゴミあきカン捨てないよう」の看板のある電柱(煤ヶ谷125)の右に伸びる薄暗い杉林の踏み跡を辿って登っていけば簡単に鐘ヶ嶽北尾根に乗ることが出来ます。

尾根上にも踏み跡があり、コンパスで念のため南であることを確認してから尾根を登っていきます。と、ここでくしゃみが三連発。え?まさか、とは思いましたが、どうやら早くも花粉症を発症したようです。そういえば前日は3月下旬並の気温でした。標高300mに満たない杉林では気の早い花粉が炸裂してしまったようで、結局この日は天気にも恵まれず、その後もむずむずする鼻をかみながらのしまりのない山行き(笑)となってしまいました。

420m峰(「福神山」の標識あり)までは尾根上の踏み跡を追えば何となく着いてしまう感じでした。福神山から先に進む際にコンパスで南をしっかり指して進むのが注意点ですが、良く見ると赤と黄色のテープに進むべき方向がマジック書きされています。10分ほどで山の神の祠に着きます。

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祠から正面ではなく右下に降りたところにある鹿柵の扉を通過し、鹿柵に沿って急登しますが、ここらへんは植林が育ってしまい少々歩きにくいところでした。福神山以外は道標らしいものもありませんので、特に尾根を末端近くから辿りたいということでなければ、素直に一般ルートで鐘ヶ岳に上がった方が好い気もします。傾斜が緩みマーキング通り尾根を詰めると鐘ヶ岳です。

鐘ヶ岳から山神隧道分岐までは一般登山道で左手に朝の光を浴びた相模湾がきれいに見えるなか、ゆっくりと高度を落とします。隧道分岐で広沢寺温泉への指導標を無視して、そのまま尾根にあるしっかりした踏み跡を上がっていくと、すぐに手製の指導標「大山,唐沢峠」が現れます。松浦本記載通り、以降ずっと「水源の森林 神奈川県」と書かれた白柱も何度となく現れます。

ここから先はエアリアには赤破線もありません。確かに尾根に馬鹿正直につけられただけの径ですが、藪も全くなく、少なくとも登りにとるぶんには、それほど難しいことはありません。地形図とコンパスを片手にこれからバリエーションルートを楽しんでみたいと考える方が入門にとるには好いコースなのではないかと思いました。何より静かで、この日も大山のすぐそば(不動尻と日向薬師の分岐)まで誰一人逢うことがありませんでした。

鹿柵沿いに進み急登をこなすと見晴広場Bに到着しますが、古い標識が地面に置かれているだけで、展望もあまりありません。少し先の見晴広場Aに放置されている標識には厚木市の名前も見られます。かつては登山道だったのでしょうが、手元にある20年以上前の古いガイドブックにも載っていませんから、登山道だったのはずいぶん昔のことなのでしょう。

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(まるで夕方…これでも午前10時半)

見晴広場Aからは遠く海に浮かぶ大島が見渡せましたが、もうこの頃には頭上に暗雲が垂れ込めていて写真を撮っても出来た写真はまるで夕方のようです。それでもまだ大山はしっかりと見え、これからあそこまで登るのかと思うとファイトが湧いてきます。


見晴広場Aからかなり下って鞍部は「すりばち広場」。 立派な指導標があって、弁天の森キャンプ場へここから降りることも出来るようです。その先の東屋にも立派な指導標があり、来た方向を鐘ヶ嶽、これから向かう方角を大山と記しています。

再び登り返して大沢分岐にはお手製の指導標があり、大山方面へ進みます。左手に大島、右手に丹沢三峰山を見ながらなおも登っていくと776mピークに到達。冒頭に述べたように指導標はありませんが、例の「水源の森林」の白柱に大山の方角が矢印で記されています。いちおうコンパスで方角を確認して西に向かう尾根を下ります。

軽いアップダウンのあと急登をこなすとやっと一般道(エアリアの唐沢峠からの赤実線)へ飛び出します。ちょうど指導標の裏に当たり、踏み跡には通せんぼのロープが張ってありました。登ってきた道は実際見た感じも一般道と間違いそうなほどのはっきりした踏み跡ですので、間違って入り込まないようにしているようです。

この一般道に入って登ってすぐのところに海が見渡せる場所がありましたので、大山山頂までとてももちそうにないと判断し昼食とします。
一般道に上がる直前からちらちらとは舞っていたのですが、小雪が降ってきました。どんよりとした曇り空で、期待していた日だまりハイクとは全然違いましたが、風がないのでそれほど寒さは感じずにのんびりとおにぎりを頬ばり、しょうが湯とカップスープを飲むとポカポカしてきました。

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(縦走路に入っても誰にも逢わない…)

昼食後山頂を目指し歩き始めるとすぐのところにベンチがあり、こちらで昼食としてもよかったと思いながら、寒々として誰の姿もない登山道を登っていきます。電線を通過し、丸太の階段のような道を背後を振り返りながら登り、辿ってきた尾根を見渡して、本当によくもあんな長い尾根を歩いたものだと我ながら感心します。

雪が少し激しくなりますが、一方で青空ものぞいたりして、山頂での展望も少し期待したのですが、残念ながら大山山頂からは自分の辿ってきた尾根はガスの中。その代わりというか、浅間山~高取山や日向薬師へ行く途上の尾根などは悔しいぐらいはっきりと見えて、伊勢原や秦野の市街が晴れているのがよくわかりました。

大山山頂からは、松浦本と同じ下社へ下山することにします。ここは実は長い間やっていなかった宿題だったのです。11年近く前、はじめて登山靴を履いて登ったのがこの大山だったのですが、蓑毛からヤビツ峠経由で登り、帰りは下社へ下山。しかし途中膝が痛くてたまらず、お恥ずかしい話ですが観念して下社からケーブルで降りてしまったのです。今回は下まで自分の足で降りてあのときの借りを返すつもりでした。

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(下社にて)

しかしながら、11年近く経った今、改めて歩いてみた感想は。。。やはりこの道は悪路としか言いようがありません。仮にも初心者が下りに使うべき道ではないと思いました。段差の大きい石の階段が続くこの道は登りにとっても、下りには使うべきでないでしょう。下社の下に東屋があったのでそこで休憩後、男坂を下ってみましたが、11年前、膝の痛い状態でこの道を下っていたらいったいどうなっていたことか、と思うほどの石段地獄。。。最後はさすがに膝が痛くなりかけましたが、何とか持ちこたえておみやげ物屋を通ってバス停へ。

11年前ケーブルを使わずにあの坂を下っていたら、イヤになって山など続けていなかっただろうか、それともやっぱり続けていたのだろうか…そんなことを考えながらバスに揺られ伊勢原駅へ。ホームでビールを飲み干してから小田急線に乗り込みました。

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2009.01.12

【身延線に乗って…白鳥山】

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(内房橋より白鳥山)

【山行日】 2009年1月11日(日)

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」
新宿  05:35 - 05:53 品川 (山手線)
品川  06:16 - 07:59 熱海 (東海道線)
熱海  08:05 - 08:45 富士 (東海道線)
富士  08:52 - 09:23 芝川 (身延線)

「歩行」
芝川駅  09:25 - 10:20 七面宮跡
七面宮跡 10:25 - 11:05 白鳥山(しらとりやま)
白鳥山  11:40 - 12:15 塩出 
塩出   12:15 - 13:05 芝川駅

「鉄道」
芝川  13:26 - 13:59 富士 (身延線)
富士  14:02 - 14:43 熱海 (東海道線)
熱海  14:50 - 16:27 品川 (東海道線)
品川  16:30 - 16:47 新宿 (山手線)

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(白鳥山山頂より富士山:大沢崩が判る)


18きっぷ、最終回。すでに最初の3回でモトは取っているのですが、やっぱり、せっかくですから最後ぐらいは思いっきり遠いところに行きたい…ということで、身延線沿線の山が候補にあがりました。

ただ、この日は国立駅周辺の改良工事のため早朝の中央線の便が使えない状態。それでは、と東海道線周りで久しぶりに宝永火口を眺めながらのアプローチです。三島駅あたりから見え始める富士山の姿は普段見慣れないせいもあって、やっぱり素晴らしいもの。。。富士山までの距離も近いので迫力があります。

東海道線で冷え切った身体も(笑)、身延線ではポカポカになり、富士山の姿も大沢崩れが見えだし…というあたりで芝川駅。下車して左手にしばらく歩き線路を越えると、「あ、あの山だな」と一目でわかるほど目立つのが白鳥山。いちおう山梨百名山ですが、今日の予定ルートは静岡側からのアプローチ。
山梨側(十島駅方面)に抜けることも出来るのですが、それはゴルフ場の中の舗装道路を行く味気ない道らしいので、今回も山村正光著『山梨県の山(旧版)』に従い、周回コースとします。

駅から20分ほどで富士川を渡る内房橋。このあたりに来ると白鳥山の全貌がすっかり姿を現します。山梨百名山の中では最も標高が低い山(567.7m)ですが、けっこう登りがいがありそうに見えます。

駅から30分弱で本城寺。白鳥山登山道の案内と標識があり、ここで身支度を調えていると地元の方々からいろいろと声をかけていただき、東京から来たというと皆びっくりしていました。

しっかりと整備された登山道。指導標もしつこいぐらいに頻繁にあり、植林の道をずっと登っていきます。やがて右手に七面宮跡へ上がる階段が現れ、これを見送って登山道を進んでいきますが、登山道が付け替えられている為、結局先ほど見た石段の上に出て、七面宮跡からは富士山が展望できるようになっています。その50m先に展望地とされる箇所がありますが、そちらは木が茂ってしまい現在では愛鷹の一部が見える程度です。

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(七面宮跡からの展望)

七面宮跡から40分ほどで山頂。さすがに2日前に降った雪がまだ残っていました。山頂からは富士山はもちろん、目の前に篠井山、その奥に安倍奥の山々更に右手には南アルプスも見えますが、残念ながらこの日の南アは頭部が雲に隠れているものが多く、頭部に関しては北岳がホンの一瞬姿を見せただけでした。

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(山頂からの展望:中央に篠井山、奥は安倍奥の山々)

植林だらけの山なので、やはり山頂は寒くて長居できず、早めのお昼御飯を済ませたら、下山にかかります。

コンパスを南方に向けると立派な木の段の道がありますが、これをずっとたどっていくのではなく、あくまで南尾根につけられた踏み跡を辿ります。ここらへんが理解っていないと、この南尾根から塩出に至る径は指導標やマーキングのたぐいは一切ありませんから、林道に引きこまれて全然違う場所へ出てしまいます。

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(南尾根に切り開かれた径:最初はこんな感じで踏み跡もしっかりしているが…)

林道を右手に分けて、ガイドブック通り南尾根に切り開かれた踏み跡に入ります。踏み跡自体は、全体にわりとしっかりした感じなのですが、ある程度藪山歩きに慣れていないと、「???」な箇所もあるでしょう。南から南東に方角を変え、しばらく行ったところ=踏み跡が怪しくなって傾斜が増すあたりでは、この日実際に引き返そうかどうしようか相談されているご夫婦にお会いしました。

この傾斜が急になって踏み跡が少々怪しげになるあたりには、テレビのブースタアンテナがあるので、あとはガイドブック通りこの電柱とつかず離れずに踏み跡を追って下ればじきに墓地の裏手に出ます。

墓地の裏手から表に出ると、地元の方が珍しそうに私たち(わたしと先のご夫婦)を眺めていましたから、この径を辿る人は今はあまりいないようです。取り付きにあたる部分にも現在では全く標識もマーキングもありませんので、逆コースで登りにとる方がむしろ難しいかも知れません。

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(無事、塩出の集落へ降り立った)

あとは県道を左手にずっと歩くとトンネルになり、このトンネルを抜けてすぐに信号があって、ここで朝来た道と合わさります。

身延線の鰍沢口~富士宮は非常に本数が少ないので、この日もあらかじめ上下線の時刻を調べておきましたが、13:26発の電車に余裕で間に合うとわかり、ゆっくりと朝来た道を歩いて、途中のコンビニで酒類など仕入れたりしながらのんびり芝川駅へ戻りました。

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2009.01.07

【いにしえの峠道を訪ねて…荒倉山】 山バス情報94

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(平川峠への登りで…)

【山行日】 2009年1月4日(日)

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」
新宿  05:18 - 06:13 高尾 (中央線各駅停車)
高尾  06:14 - 08:10 穴山 (中央線各駅停車)

「歩行」
穴山駅 08:20 - 08:55 穴山橋
穴山橋 09:00 - 10:05 平川峠
平川峠 10:15 - 11:10 荒倉山
荒倉山 11:35 - 12:05 平川峠
平川峠 12:15 - 12:30 小武川の河原(象の鼻)
象の鼻 12:40 - 14:10 円野上バス停 

「バス」
円野上 14:37 - 14:53 韮崎駅 (山交タウンコーチ 510円)

「鉄道」
韮崎  15:08 - 17:02 高尾 (中央線各駅停車)
高尾  17:08 - 18:02 新宿 (中央線快速電車)


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(つぶらの松=山頂手前の展望地より 八ヶ岳)

荒倉山と言っても、あまり馴染みがない山だと思います。エアリアでもちょうど南アルプス『甲斐駒・北岳』の右上端にギリギリ入らない…そんな中途半端なところに位置しているのです。

それでもこの山を訪れてみたいと思ったのは、現在のように御座石や青木鉱泉へバスが通っていなかった頃、途上にある平川峠(たいらかわとうげ)は鳳凰三山へ行く岳人が避けて通ることのできない峠だった、ということを知ったためです。

ですから私個人としては荒倉山というピークよりも、いにしえの峠道である平川峠の峠道に興味がありました。
穴山駅や韮崎駅は都心から鈍行で行っても片道2500円を超える場所。。。18きっぷのシーズンはこの峠を訪れるのに絶好の機会というわけです。

山梨県の山 (新・分県登山ガイド)』の旧版(山村正光著)では、平川峠の西半分がコースとしても紹介されているのですが、現在流通している新版の方では、「平川峠の小武川側の道はもはや定かではない」と書かれ、コースとしては紹介されていません。
平川峠のある尾根上に林道が走っている現在では、わざわざ峠を小武川側へ越える酔狂はほとんどいないでしょうし、歩く人が少なくなれば消えて廃道化となってしまうのが峠道の運命かもしれません。。。が、峠フェチの私としては、いにしえの峠道を何とかたどって峠越えをしてみたい…、そう思ってのチャレンジでした。

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(穴山駅近くより荒倉山:奥は鳳凰三山)

今回私は自分の家から一番早く乗れる中央線に乗って、穴山駅から歩きましたが、次の八王子発06:35の中央線で韮崎から08:38発 下教来石下 行きのバスに乗れば、ほぼ同じ時刻(9時頃)に穴山橋を出発できますから(私はちょうど橋の途中でバスに追い抜かれた:笑)、穴山駅から歩く必然性は特にありません。ただ、昔の登山者はおそらく穴山駅から歩いたのでは…とそんな妙なこだわりから穴山駅発としてみたのです。

穴山橋には、「平川峠・荒倉山」のおおきな茶色の標識があり、ここから登山道まで迷いようがないほど細かく頻繁に道標がついていて、これをたどって集落の中をいけばやがて龍珠院というお寺に至ります。

龍珠院のすぐ先で円池の道を右に分けてようやく登山道らしくなります。10分もしないところに、お目当ての「鳳凰山」の標識があり、祠を過ぎて落ち葉の登山道を登るようになります。昔ながらの登山道らしく、深く広く抉れていて、陽の差した趣ある明るい峠道を上りながら、キスリングに布のテントを詰め込んで登り降りした いにしえの登山者に思いを馳せます。昔ながらの峠道の傾斜というのは本当に身体にかかる負担が少なく、一級の芸術品。こればかりは現代人が真似して作ってみようと思ってもなかなか難しいでしょう。

途中八ヶ岳など望みながら、落ち葉を踏みならしていくと平川峠。しかし、未舗装とはいえ林道が尾根上を走っており、おまけに登山者の車が駐車してあったりして、とても往時の面影を探す気にはなりません。。。一気にしらっとした気分になってしまいました。

しかし、峠には行政の指導標の他に手製の道標もあって、こちらには小武川を指した木片も打ち付けられていて、これは何とかなるかも知れないと、期待を胸に、とりあえずは荒倉山を目指します。

林道の右手にすぐ登山道があって、こちらもほどよい傾斜で急坂は切り返して登るようになっていたりして、なかなか歩きやすい径です。でも残念ながら延伸した林道と再度交差してしまい、林道により分断されて付け替えた登山道の部分は若干歩きにくくなっていたりします。

地元の小中学生たちが作ったらしいユーモラスな標識をたどって登っていくと、やがて八ヶ岳がきれいに見える「つぶらの松」という場所が山頂の直前にあり、良く見れば、八ヶ岳の左手にはっきりと北アルプスが♪ 展望はまるで期待していなかっただけに、これにはちょっと感激。

山頂は、かつては展望どころか山名標識も何もなかったそうですが、今では立派な標識が複数あり、なんと富士山が展望できるようにその方向だけご丁寧に伐採してあります。甲斐駒や鳳凰の展望はもしかしたら…と思っていたのですが、やはり展望というと南アより富士山なのですかね。

11時過ぎと少し早いですが、誰もいなくなった静かな山頂で、せっかくですから富士山を眺めながらのお昼御飯にしました。

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注意:ここから先、峠を越えて小武川へ降りるのは、もはや一般道ではありません。よい子の皆さんは、こんなバカな真似はよして(笑)、円池(つぶらいけ)経由で龍珠院へ戻る周回コースを歩いてください。
高度差100mもない緩斜面を降りるだけですが、コンパスで自分の行くべき方向を指し示すスキル+廃道になりかけの峠道の特徴がわかっていないとこんな短い下降でも怪我をしかねませんので。。。

昼食後、来た道を戻り再び平川峠。ここでいちばんひっかかりやすいのは林道の左に見える小型車両なら通れそうなほどの幅広の道。こちらの道を少し辿れば判りますが、下るべき西方向には道形は一切見えず、この道は尾根をトラバースするように北へと向かっていくだけです。

古の峠道は、手製の道標の示すように、峠を背にして西方向に藪の中のあえかな窪みを辿っていきます。峠からの出だしは非常に判りにくいですが、西進して5分もしないうちに「あ、これだ!」とわかる昔ながらの峠道独特の抉れが現れ、峠道の道形がはっきりしてくると、↓のような往時の標識が見つかることと思います。登りで見た「鳳凰山」の標識とよく似ていますが、こちらの下りの標識は「鳳凰山登山道」と「登山道」の文字が消えずに残っています。

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標識が現れれば、道形はいっそうハッキリして、落ち葉のラッセルを楽しみながらジグザグに下ると、あっという間に真っ白い石が印象的な小武川の河原に降り立ちます。小武川のやや下流で水量の少ないところを徒渉。ガードレールの切れ目から車道へ上がります。

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(峠道、小武川側はこんな感じ…小武川の水面も見える)

小武川の徒渉は橋も飛び石もありませんから大雨の後などは危険でしょうし、徒渉するにしてもこの時期は靴を脱いで渡ると、とんでもなく冷たい水ですから覚悟してください(笑)。

車道に上がった後は、御座石鉱泉か青木鉱泉まで歩いて一晩泊めてもらいたいところですが、そんなお金はどこを探してもないですし、泊まってしまっては18切符のうまみもあまりありません(笑)から、反対方向へと向かいます。長い車道歩きですが、途中、両鉱泉の標識を何度も見ることが出来、なつかしいデコボコの車道歩きを交え、猿にも遭ったりしながら、20号線まで出て、暖かい陽差しの中、下教来石から来る韮崎行きのバスを待ちました。

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2009.01.02

【あったか♪ 元旦鋸山軽ハイキング】

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【山行日】 2009年1月1日(元旦)

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」
新宿  05:44 - 06:52 千葉 (総武線各駅停車)
千葉  06:57 - 08:25 保田 (内房線)

「歩行」
保田駅 08:40 - 09:50 林道口
林道口 09:55 - 10:40 鋸山三角点峰
三角点 10:45 - 11:05 鋸山展望台
展望台 11:25 - 12:15 浜金谷駅

「鉄道」
浜金谷 12:33 - 13:52 千葉 (内房線)
千葉  13:57 - 14:35 東京 (総武線快速電車)
東京  14:40 - 15:09 新宿 (山手線)

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(展望台から海の向こうに富士山と南ア ちと苦しいが…)


謹 賀 新 年
今年も宜しくお願いいたします

元旦は、私の場合特にすることもないし…ということで、毎年体調と天気さえ好ければ山に出掛けていますが、今年は思いのほか18きっぷの消化が進まず、どこにしようか悩んでいたのですが、そういえば、このサイトを始めてから一度も行っていない房総にお散歩がてら久しぶりにでかけてみようか…ということになりまして、選んだのがこの裏鋸山コースとも言える、鋸山の三角点を踏むコース。

多くの人は知らないだろうとは思いますが、ガイドブックに載っている鋸山ハイキングコースは、展望台の東にある329.5mの三角点峰を踏まずに地獄のぞきで恐い思いをして、スリル満点だったよ!と某寺に拝観料を納めて帰ってくるように紹介されているのですが、私としては個人的に山に登るためだけにお寺さんに拝観料を徴収されるのは愉快ではありませんし、すぐそばにある三角点を踏まないで帰ってくるのも少々物足りないものがあります。


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そこで選んだのがこのコース。鋸山の林道口まで林道をえいこら登り、尾根伝いに歩いて三角点を通過。そのあと鋸山の展望台で展望を楽しんだあと、お寺と反対側の観月台へ石切場経由で降りて浜金谷駅に向かうというものです。

千葉県の山 (新・分県登山ガイド)には、私が歩いた登りのコースが「鋸山・裏鋸山」と紹介されているコースに、山慣れた人向け、という感じで紹介されていますが、特に慣れていない方でもじゅうぶん歩けるぐらい、指導標もコースも整備されており、地形判断力や読図力も要りません。ただ、人は少なく、某お寺+観月台のコースに比べたら歩く距離も時間も長くなります。ちなみにこの日は尾根に上がる林道口の登山口までは登山客には会いませんでした。

林道口の登山口までは指導標もあり、林道の一本道ですから迷うこともないでしょう。さきの分県別登山ガイドでは保田駅から林道口まで2時間見積もっていますが、ゆっくり歩いても一時間半で着くはずです。

尾根にはいるとすぐに自然林に変わりますが、常緑樹が多いせいか、この季節でも緑のトンネルを抜けるようで、いまだにここだけ冬が来ていない感じです。朝の電車は冷え込みがきつかったのですが、このあたりではもう暑さを感じるほど。

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急な登りも木の段がしっかり組まれていて、過剰整備といってもいいぐらい整備されています。三角点までは道に迷う心配はまずありません。三角点峰からは展望がありますが、富士山は見えないのが残念。

三角点以降も緑のトンネルは続き、冬枯れという感じが全くないまま電波塔などのピークに寄りますが、現在では電波塔からは樹木に遮られて富士山はよく見えません。注意点は電波塔に立ち寄った際、巡視路を降りてしまわないように気をつけることです(電波塔に行っても展望はたいして好くないので寄らない方が好いかも…)。

やがて新展望台と言うところにいくと、さすがにここは大展望が広がっています。大島、富士、南ア、丹沢山塊などなど、海越しに見る展望もたまには好いものですね。

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元旦とはいえ、さすがに観光地だけあって、お昼が近づくにつれこの展望台に上がってくる人数も増え、早めのお昼を済ませた私は、早々に下山開始。あんまり早く降りるのもなんだしと石切場にも寄ってみましたが、それでも浜金谷には12時半前の到着。

浜金谷からは、隣に麗しき女性でもいたら(笑)フェリーに乗って帰るのも好い案なのですが、やはり18きっぷシーズンですし、ここは十数分後に来る内房線で帰ることにしました。

久々に訪れた房総の山、このあいだ北関東で寒風に吹かれた身には、食事中パーカーを脱いでいてもぽかぽかと暖かなのはありがたいことでした。たまにはこういう軽ハイキングも好いものだ、そんなことを考えながら、冬の陽を浴びてきらきらと光る海を眺めながら帰途につきました。

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