【展望も佳い藪山 扇山から滑沢山】 山バス情報92
【山行日】 2008年12月20日(土)
【使用公共交通機関の詳細】
「鉄道」
新宿 05:18 - 06:13 高尾 (中央線各駅停車)
高尾 06:14 - 07:23 塩山 (中央線各駅停車)
「バス」
塩山 07:37 - 07:50 塩山市民体育館 (甲州市営バス 300円)
「歩行」
塩山ふれあいの森総合公園(塩山市民体育館)
08:00 - 08:40 752m峰
752m峰 08:50 - 10:00 扇山
扇山 10:10 - 11:05 越道峠(こいどとうげ)
越道峠 11:15 - 12:20 1250m峰
1250m峰 12:45 - 13:55 坂脇峠
坂脇峠 14:00 - 15:20 笛吹の湯バス停
「バス」
笛吹の湯 15:27 - 16:12 山梨市駅 (山梨市営バス 500円)
「鉄道」
山梨市 16:26 - 17:43 高尾 (中央線各駅停車)
高尾 17:58 - 18:41 新宿 (中央特快)
ちょうど一年ほど前の小楢山のときにも乗った甲州市民バスの松里線(休日と年末年始運休)。このときの記事のコメント欄でも指摘しておいたように、このバス、塩山市民体育館という停留所で降りると、そこはもう滑沢山~扇山の尾根のほぼ末端ちかくです。
甲州市民バスは最近300円に値上げされたとはいえ、私のような単独屋の場合、やはりタクシーで行くよりは、はるかに割安。今回も例によって松浦本『静かなる尾根歩き』の逆コースをとることにより、タクシーを全く使わず、18きっぷを使って(笑)超格安の山行をしてきました。
ただし、今回のこのコースも、例によって指導標のたぐいは一切無く、マーキングもほとんどありません。松浦本では☆ひとつになっていますが、私が歩いてみた感じでは☆ふたつは必要(笑)な、適確な読図力と地形判断力が必要なコースですので、一般登山道以外歩いたことのない方は安易に入りこまない方が賢明です。
塩山ふれあいの森総合公園にはトイレの他、清涼飲料水の自販機などもあり、取り付きさえわかれば、一貫して登り基調になるとはいえ、こちらからのアプローチも悪くはありません。してその取り付きなのですが、「510mからの山腹道」というのがよくわからなかったため、私は目の前の尾根に適当に這い上がり、610m付近から尾根筋についたわずかな踏み跡をたどって752mへ到達しました。
752m地点から820m圏峰が三つ並ぶところまでも、まぁまぁの踏み跡がありますが、頼りないものです。820m圏峰が三つ並ぶあたりは雑木が美しく落ち葉ふかふかのところも多い、気持ちのよいところですが、登りにとったとき間違えやすいのは、やはり三つ目の820m圏峰を過ぎて810に向かうところでしょう。東に伸びる尾根に引きこまれやすいので、左手に注意して青ヒモのマーキングに従い磁北方向に伸びる尾根へ進みます。明るい落ち葉道で左手に地形図にもある貯水池が見えれば正解です。
やがて左手に大きく展望がひらける伐採地に出ます。目の前に堂々とした小楢山、右には乾徳山が印象的です。そして左手を見れば南アルプスがほぼ全山、白銀に輝いて、これには思わず頬がゆるみます(↑トップ写真)。
展望地をあとにして尾根を北東に辿り急登をこなすと扇山の静かな山頂。三角点と「扇山登頂記念」の小さな棒杭。このぐらいの慎ましい山名標識がよく似合う好ピークでしばし休憩。
扇山からいったん下って登り返したあと、次の鞍部に地形図に峠道が破線で記されているのですが、コレと判るような道は見つかりませんでした。次の960m圏峰では、富士山がよく見えて、このコースは藪山にしては展望のコースでもあるという気がします。
御料局三角点を過ぎ、赤い標石がある1002メートル峰は落ち葉ふかふかの気持ちのよいピーク。ここで少し休もうかとも考えたのですが、この先にあるという転げ落ちそうな急坂を無事下ってからにしようと、先に進みます。
防火帯となって道筋は明瞭ですが、松浦本記載通り、この急坂は、それこそ尾根がつながっているとはとても思えないほど真っ逆さまに下ります。地形図もちょうど継ぎ目に当たる部分なので判りにくいのですが、地形図の等高線の混み具合からは想像も付かないような角度で下ります。
無事下った鞍部の越道峠(こいどとうげ)は薄暗いので、少し登り返した陽の当たる場所で休憩をとりました。
このコース、ちょうど地形図の継ぎ目にあたるところが明確な防火帯となっているので、このあたりは地形判断力はさほど必要ではありませんが、送電鉄塔へ向かう際に微妙に送電線の巡視路が交差したりもしますので、防火帯をたどって行くようにした方が迷わずに済むと思います。
展望も楽しみながら、明るくひらけた防火帯の道を鉄塔までいくと、次の鉄塔への指標「一七七号へ至る」に従って進みます。お腹も減ってきたので、次の鉄塔には寄らず、薄暗い巻き道をとり、方角を北に変えて1250mのピークに立ちました。展望は樹の間からちらほらですが、きれいな青空の下、乾徳や小楢、南アの白い山塊を眺めながら、誰も来ない静かな頂での昼食は気分がよいものです。
1250m峰をあとにして次のピークに上がると再び送電線越しですが富士山が見えます。その次の豆粒のような1250m圏峰から東南に防火帯が下っていますが、これを右に分けて再び北に向かわないと、滑沢山へは行けません。ここらへんは的確な地形判断が出来ないと、マーキングもある防火帯への道に入りかねません。しつこいようですが、地形図とコンパス、それにこのふたつを扱うスキルが必要です。
尾根伝いに雑木のきれいな林を抜けていくとやがて滑沢山(1291.7m三角点峰)。三角点と小さな山名標がひとつ。展望は木々に遮られていますが、展望がない方がかえってその寂峰独特の好さが増すようにも感じます。
滑沢山を後に1290m圏峰が三つ続く箇所を経て大きく進路を東に変えるところ、ここが松浦本を逆コースに歩いたとき一番難しいところかも知れません。藪がちであるうえ、三つのピークがあまりはっきりせず、踏み跡は北西に延びる細長い尾根の方向にもついています。進路を変えて下るべき地点にはマーキングはひとつもありませんし、ひとつ手前のピークから東南東に延びる尾根は方向がよく似ています。遠くに見える坂脇峠を通る舗装道路の位置や尾根の落ち込み具合、そしてコンパスでの正確な計測などで1242へ向かう尾根を割り出す必要があります。
無事尾根をたどって1242へ最後の登りをこなした後は、ゆっくりと未舗装の林道に降りるまで尾根上の踏み跡を忠実に辿るだけ。未舗装の道から坂脇峠のある車道まではほんの1,2分です。
この日も山中では誰にも会わず、坂脇峠着は13:55。15時のバスに間に合うか微妙だったため、鈴庫山への登り口を確認せずに、小屋敷方面へ下ってしまいました。温泉もあるので時間つぶしもできるし16時にもバスがあるのだから慌てる必要もなかったのですが…。
小屋敷の集落はその名の名残とも思える古い廃屋などがあり、集落下部にはまだ住んでいる方もおられ、なかなか興味深い集落でした。
笛吹の湯にはバス発車の5分ほど前に到着できたので、温泉には寄らずにバスに揺られて山梨市駅へ向かうことに。。。その数分の間に、地元の方に温泉上がりに声をかけていただいたうえ、頂き物まで賜ってしまい、今回もまた表情がすっかり弛んで帰途についたのでした。。。
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コメント
こんにちは。
あのコースをバスのみで行ってしまうとはさすがゴン太さんですね。考えもつかなかったですよ。
自分もゴン太さんのコースで行ってみようかな。
笛吹の湯もしばらく入浴してないですし。
お休みは榛名へ出掛けてしまいました。烏帽子岳や鬢櫛山はまったく人に会わず静かな山でした。
読書に「群馬県の山」が出ている所をみると、ゴン太さんも次はやはり群馬方面ですかね~。
投稿: リブル | 2008.12.25 23:09
リブルさん、こんばんは~。コメントどうもありがとうございます。
火曜日は榛名だったのですね。ご推察の通り、その日は久々に上信電鉄に乗ろうと予定していたのですが、いろいろあって山に行けず、家で年賀状書いてました(笑)。
明日の土曜日もまた今年最後の土曜出勤で、こんなことでは18きっぷが未消化になるのではと心配しています。
滑沢山と扇山は、やはり松浦本の通り坂脇峠からの方がわかりやすいと思いますよ。ただし、この時期は坂脇峠までタクシーが上がれるかどうか、問い合わせてみた方がいいです(現時点では少なくとも小屋敷側からは上がれません)。
私のとったコースは、土曜か平日しか使えませんし、年末年始もダメです。この点さえ気をつければ、まぁかなり安上がりですよね。
あ、あと、この時期は、笛吹の湯からのバスは、山梨市営バスだけなのも要注意ですね。
投稿: ゴン太 | 2008.12.26 21:44
>坂脇峠までタクシーが上がれるかどうか
甲州市民バスの「玉宮線」で終点玉宮へ。
歩いて峠まで、1時間45分程度で着けます。
ちょっと参考まで。
投稿: もりたさとる | 2008.12.27 16:15
もりたさとるさん、こんばんは。
玉宮から歩かれましたか~。車道歩き、さすがに登りはキツイので、私は最近はあまりやりませんが…。鈴庫山へこちらからアプローチする際に、いちおう検討してみます(笑)。タクシーが坂脇峠に上がる際はたぶんこちら(玉宮経由)のルートなのでしょうが、塩山駅からいくらぐらいなのでしょうね。。。
投稿: ゴン太 | 2008.12.27 18:59