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2008.12.29

【上信電鉄に乗って…四ツ又山から鹿岳】 山バス情報93 タクシー情報15 

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(四ツ又山より鹿岳)


【山行日】 2008年12月28日(日)

【使用公共交通機関などの詳細】

「鉄道」
新宿  05:19 - 05:28 池袋  (山手線)
池袋  05:39 - 05:47 赤羽  (埼京線)
赤羽  05:54 - 07:27 高崎  (高崎線)
高崎  07:33 - 08:37 下仁田 (上信電鉄 1080円)

「タクシー」
下仁田駅 08:40 - 08:50 小沢橋 (1880円)

「歩行」
小沢橋   09:00 - 10:40  四ツ又山
四つ又山  10:50 - 11:25 マメガタ峠
マメガタ峠 11:30 - 12:20 鹿岳一ノ岳
一の岳   12:40 - 13:00 鹿岳二ノ岳
鹿岳    13:15 - 14:30 車道
車道    14:50 - 16:10 小沢橋

「バス」
小沢橋  16:24 - 16:40 下仁田駅 (南牧乗合バス 200円)

「鉄道」
下仁田 16:45 - 17:44 高崎 (上信電鉄 1080円)
高崎  17:58 - 19:32 赤羽 (高崎線)
赤羽  19:38 - 19:53 新宿 (埼京線)

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(鹿岳より妙義山を望む)

上信電鉄に乗って西上州に行くのは1年8カ月ぶり。西上州から足が遠のいたのは、やはり、雨沢~観能方面の朝の南牧バスが一時間遅れになって、さらに役場前止まりになってしまったことが大きいですね。

そんな悪条件下でも、どうしても登ってみたいと思っていたのは、西上州のどこから見ても一番目立つ岩峰=鹿岳(かなたけ)です。鹿岳だけなら、09:50発のバスでもなんとかなりそうですが、四ツ又山と繋げて歩く場合、陽の短い今の時期に私の鈍足では暗くなる前に降りてこられるかどうか自信がありません。そこで、早朝の高崎線に乗ってタクシーを奮発することにしました。

下仁田駅でトイレを済ませてからタクシーに乗ると、早い早い!あっという間に小沢橋に着きますが、料金は1880円。バス代の十倍近くです。野々上の登山口は小沢橋を渡って右折したあと美容院を左折した道のずっと奥になります。最奥の集落までかなり坂を上がりますので、タクシーの場合、ここまで上がってもらった方が好かったかも知れません。

最奥の民家でご主人に呼び止められちょっとした頼まれごとを…。そして登山道の様子を教えてもらいます(実はこれが役に立ちました)。西上州はマイカー登山が主流なので、どうしても周回ルート以外は荒廃気味になってしまい、野野上や下郷(宮室バス停からのルート=現在役場の方で通行止め扱い)のような周回に向かないルートは整備もおろそかになりがちです。

野々上登山道はエアリアや登山ガイドの地図ですと不動滝で右岸(左手)の尾根に上がって尾根伝いに行くように見えますが、実際は、意外にも滝の手前で左岸(右)に沢を渡るのです。そして指導標も全くないまま踏み跡を追い、竹林を抜け尾根に上がると、そこには大天狗峠までにあるたったひとつの道標(みちしるべ:指導標とは言えない)があって、尾根を外れて左(西)の巻き道を行くように書いてあります。尾根上にはマーキングなどもありますが、これに引きこまれず、ややザレ気味のトラバース道をずうっとくねくねと進むと大天狗峠に着きます。

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(大天狗峠までで唯一のみちしるべ:尾根を外れて左手のトラバース道を行く)

私はこの日、取り付きでまごついたり、勘違いして沢を渡らずに左手の尾根に取り付く薄い踏み跡を追ってしまったりしたので、小沢橋から四ツ又山まで1時間40分もかかってしまいましたが、無駄なアップダウンをほぼ完全に排したこのコース、順調にいけば、ゆっくり歩いても小沢橋バス停から四ツ又山まで1時間半かからないと思います。

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(四ツ又山への登りで…)

耳がちぎれそうなほどの寒風吹き荒ぶ大天狗峠から雑木の美しい登山道を登っていけばマメガタ峠との分岐を分けてわずかで三角点のある四ツ又山山頂。
このあたりは春になればアカヤシオなどツツジが楽しみな場所ですが、今の時期はやはり展望。残念ながら浅間は雲に隠れていましたが、妙義の奇峰、そしてなによりもこれから登る鹿岳(かなたけ)が目の前に遮るもの無く聳えているのが見えます。

エアリアには四ツ又山の三角点から更に北に向かって登山道が延びているように描かれていますが、実際は『アルペンガイド 奥日光・足尾・西上州』の地図のように、いったん来た径を戻って残り三つのピークに続く径があり、ロープなども適所にあって、遠くから見てギザギザに見える四つのピークを危険無く通過できるようになっています。

4つのピークをこなしたあと、マメガタ峠へはもったいないほど高度を下げてしまいます。四ツ又山からマメガタ峠のコースタイムはエアリアで一時間となっていますが、35分ほどで通過。プロトレックの高度計は695mを指していました。峠には指導標がありますが、マメガタ峠の標識はありませんでした。

峠から鹿岳の一ノ岳まで高度差は300m以上。一ノ岳でお昼にしようと登りはじめますが、お腹が空いてなかなか歩が進まず、一ノ岳と二ノ岳の基部から一ノ岳まで上がるときはちょっぴり恐かったりで(笑)、マメガタ峠~一ノ岳はコースタイムオーバーの50分かかって到着。ここでお昼ごはんにします。

お昼御飯を食べ終える頃、単独の男性が登ってきたので、展望のことなどすこしお話。その後、二ノ岳に向かいます。二ノ岳では一ノ岳からは見えなかった浅間山が姿を現し、感激です。朝は雲に隠れていましたが、今はもう山頂から吹き上げる噴煙まで視認できます。ここは一級の展望地で、雲に隠れた赤城や谷川などを除くと、榛名、妙義、などなど、ここから見ることの出来るほとんどの山々が遮るもの無くきれいに見えて、ゴキゲンでした。

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二ノ岳から南西方向にも踏み跡がありましたが、指導標通り北北西に延びる「木々岩峠・高原」方面への踏み跡に入り下山開始。尾根通しに20分ほど歩くと「高原 二ノ岳」の指導標のある小ピークで尾根を外れて急傾斜の滑りやすい径を下ります。ここもやはり周回ルートには使われにくい経路ですが、すぐに植林帯に入ってやがて重機が通れるほどの幅広の作業道になります。

あとは作業道をのんびり下るだけ…と思いきや、この作業道、上部は間伐された杉の木がそこらじゅうで道をふさいでおり、分岐も沢山あって登りにとったら経路はまったく判らない状態。ひょっとして自分がどこかで道を間違えたかとも思ったのですが、ある程度降りると杉の間伐材は無くなり、下部の方で「木々岩下登山道杉の木伐採中につき危険、登山できません 12月10日から12月30日まで」との表示。しかし、車道に降りてみると登山不可の表示はどこを探してもありません。車道から表示のあるところまで30分はかかるでしょうから、マイナーコースとはいえ、これは登ってきた人がいたら、ちょっと酷だなぁと思いました。

車道に降りてからは、バスまで時間が十分すぎるほどあると判ったので、少し小腹を満たしてから、非常にゆっくりとしたペースで、途中、地元の人と立ち話をしたり、古民家を写真に収めたりしながら、小沢橋までの車道歩きを楽しみました。おそらく真面目に歩けば一時間ほどでじゅうぶん着くと思います。

小沢橋には酒屋もあるので、お酒やビールを仕入れてバスを待ちます。やってきたバスは前回乗ったときと同じ様なライトバン形のもの。もちろん乗客は私一人。南牧の山のお話など聞かせていただきながら、温かい車内でゆったりとし、下仁田駅に到着。行きと同じ上信電鉄で帰途につきました。

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2008.12.21

【展望も佳い藪山 扇山から滑沢山】 山バス情報92

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(扇山手前の展望地点より南ア)

【山行日】 2008年12月20日(土)

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」
新宿  05:18 - 06:13 高尾 (中央線各駅停車)
高尾  06:14 - 07:23 塩山 (中央線各駅停車)

「バス」
塩山  07:37 - 07:50 塩山市民体育館 (甲州市営バス 300円)

「歩行」
塩山ふれあいの森総合公園(塩山市民体育館) 
  08:00 - 08:40 752m峰
752m峰  08:50 - 10:00 扇山
扇山   10:10 - 11:05 越道峠(こいどとうげ)
越道峠  11:15 - 12:20 1250m峰
1250m峰 12:45 - 13:55 坂脇峠 
坂脇峠  14:00 - 15:20 笛吹の湯バス停

「バス」
笛吹の湯 15:27 - 16:12 山梨市駅 (山梨市営バス 500円)

「鉄道」
山梨市 16:26 - 17:43 高尾 (中央線各駅停車)
高尾  17:58 - 18:41 新宿 (中央特快)

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(960m圏峰より)


ちょうど一年ほど前の小楢山のときにも乗った甲州市民バス松里線(休日と年末年始運休)。このときの記事のコメント欄でも指摘しておいたように、このバス、塩山市民体育館という停留所で降りると、そこはもう滑沢山~扇山の尾根のほぼ末端ちかくです。

甲州市民バスは最近300円に値上げされたとはいえ、私のような単独屋の場合、やはりタクシーで行くよりは、はるかに割安。今回も例によって松浦本『静かなる尾根歩き』の逆コースをとることにより、タクシーを全く使わず、18きっぷを使って(笑)超格安の山行をしてきました。

ただし、今回のこのコースも、例によって指導標のたぐいは一切無く、マーキングもほとんどありません。松浦本では☆ひとつになっていますが、私が歩いてみた感じでは☆ふたつは必要(笑)な、適確な読図力と地形判断力が必要なコースですので、一般登山道以外歩いたことのない方は安易に入りこまない方が賢明です。

塩山ふれあいの森総合公園にはトイレの他、清涼飲料水の自販機などもあり、取り付きさえわかれば、一貫して登り基調になるとはいえ、こちらからのアプローチも悪くはありません。してその取り付きなのですが、「510mからの山腹道」というのがよくわからなかったため、私は目の前の尾根に適当に這い上がり、610m付近から尾根筋についたわずかな踏み跡をたどって752mへ到達しました。

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(820m圏峰が三つ並ぶあたり…落ち葉ふかふか)

752m地点から820m圏峰が三つ並ぶところまでも、まぁまぁの踏み跡がありますが、頼りないものです。820m圏峰が三つ並ぶあたりは雑木が美しく落ち葉ふかふかのところも多い、気持ちのよいところですが、登りにとったとき間違えやすいのは、やはり三つ目の820m圏峰を過ぎて810に向かうところでしょう。東に伸びる尾根に引きこまれやすいので、左手に注意して青ヒモのマーキングに従い磁北方向に伸びる尾根へ進みます。明るい落ち葉道で左手に地形図にもある貯水池が見えれば正解です。

やがて左手に大きく展望がひらける伐採地に出ます。目の前に堂々とした小楢山、右には乾徳山が印象的です。そして左手を見れば南アルプスがほぼ全山、白銀に輝いて、これには思わず頬がゆるみます(↑トップ写真)。

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(展望地から乾徳山と烏ノ尾根)

展望地をあとにして尾根を北東に辿り急登をこなすと扇山の静かな山頂。三角点と「扇山登頂記念」の小さな棒杭。このぐらいの慎ましい山名標識がよく似合う好ピークでしばし休憩。

扇山からいったん下って登り返したあと、次の鞍部に地形図に峠道が破線で記されているのですが、コレと判るような道は見つかりませんでした。次の960m圏峰では、富士山がよく見えて、このコースは藪山にしては展望のコースでもあるという気がします。

御料局三角点を過ぎ、赤い標石がある1002メートル峰は落ち葉ふかふかの気持ちのよいピーク。ここで少し休もうかとも考えたのですが、この先にあるという転げ落ちそうな急坂を無事下ってからにしようと、先に進みます。

防火帯となって道筋は明瞭ですが、松浦本記載通り、この急坂は、それこそ尾根がつながっているとはとても思えないほど真っ逆さまに下ります。地形図もちょうど継ぎ目に当たる部分なので判りにくいのですが、地形図の等高線の混み具合からは想像も付かないような角度で下ります。
無事下った鞍部の越道峠(こいどとうげ)は薄暗いので、少し登り返した陽の当たる場所で休憩をとりました。

このコース、ちょうど地形図の継ぎ目にあたるところが明確な防火帯となっているので、このあたりは地形判断力はさほど必要ではありませんが、送電鉄塔へ向かう際に微妙に送電線の巡視路が交差したりもしますので、防火帯をたどって行くようにした方が迷わずに済むと思います。

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(防火帯を送電鉄塔へと辿る…)

展望も楽しみながら、明るくひらけた防火帯の道を鉄塔までいくと、次の鉄塔への指標「一七七号へ至る」に従って進みます。お腹も減ってきたので、次の鉄塔には寄らず、薄暗い巻き道をとり、方角を北に変えて1250mのピークに立ちました。展望は樹の間からちらほらですが、きれいな青空の下、乾徳や小楢、南アの白い山塊を眺めながら、誰も来ない静かな頂での昼食は気分がよいものです。

1250m峰をあとにして次のピークに上がると再び送電線越しですが富士山が見えます。その次の豆粒のような1250m圏峰から東南に防火帯が下っていますが、これを右に分けて再び北に向かわないと、滑沢山へは行けません。ここらへんは的確な地形判断が出来ないと、マーキングもある防火帯への道に入りかねません。しつこいようですが、地形図とコンパス、それにこのふたつを扱うスキルが必要です。


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(滑沢山への登りで…)

尾根伝いに雑木のきれいな林を抜けていくとやがて滑沢山(1291.7m三角点峰)。三角点と小さな山名標がひとつ。展望は木々に遮られていますが、展望がない方がかえってその寂峰独特の好さが増すようにも感じます。

滑沢山を後に1290m圏峰が三つ続く箇所を経て大きく進路を東に変えるところ、ここが松浦本を逆コースに歩いたとき一番難しいところかも知れません。藪がちであるうえ、三つのピークがあまりはっきりせず、踏み跡は北西に延びる細長い尾根の方向にもついています。進路を変えて下るべき地点にはマーキングはひとつもありませんし、ひとつ手前のピークから東南東に延びる尾根は方向がよく似ています。遠くに見える坂脇峠を通る舗装道路の位置や尾根の落ち込み具合、そしてコンパスでの正確な計測などで1242へ向かう尾根を割り出す必要があります。

無事尾根をたどって1242へ最後の登りをこなした後は、ゆっくりと未舗装の林道に降りるまで尾根上の踏み跡を忠実に辿るだけ。未舗装の道から坂脇峠のある車道まではほんの1,2分です。

この日も山中では誰にも会わず、坂脇峠着は13:55。15時のバスに間に合うか微妙だったため、鈴庫山への登り口を確認せずに、小屋敷方面へ下ってしまいました。温泉もあるので時間つぶしもできるし16時にもバスがあるのだから慌てる必要もなかったのですが…。

小屋敷の集落はその名の名残とも思える古い廃屋などがあり、集落下部にはまだ住んでいる方もおられ、なかなか興味深い集落でした。

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(小屋敷最奥の土塀民家)

笛吹の湯にはバス発車の5分ほど前に到着できたので、温泉には寄らずにバスに揺られて山梨市駅へ向かうことに。。。その数分の間に、地元の方に温泉上がりに声をかけていただいたうえ、頂き物まで賜ってしまい、今回もまた表情がすっかり弛んで帰途についたのでした。。。

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2008.12.09

【笹尾根…大垣外から小棡峠】 山バス情報91

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(日原峠にて)

【山行日】 2008年12月7日(日)

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」
京王線某駅    - 07:24 高尾 (京王線)
高尾    07:46 - 08:10 上野原 (中央線)

「バス」
上野原 08:12 - 08:35 大垣外 (富士急山梨バス 540円)

「歩行」
大垣外 08:45 - 09:45 689ピーク
689 09:55 - 11:30 日原峠
日原峠 11:55 - 12:30 浅間峠
浅間峠 12:40 - 13:25 熊倉山
熊倉山 13:35 - 14:30 神社
神社  14:40 - 15:20 鎌沢入口バス停


「バス」
鎌沢入口 15:38 - 15:53 藤野駅 (神奈中バス 240円)

「鉄道」
藤野  15:59 - 16:12 高尾 (中央線)
高尾  16:21 - 京王線某駅  (京王線)

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(軍荼利神社より)

笹尾根は、山を始めた頃はよく通っていたのですが、2000年の2月を最後に、8年ほどずっとご無沙汰で、そろそろ再訪したいな~と思っていました。
一年ほど前、三頭山に大茅尾根から登ったときバスの車窓から気になったのが棡原(ゆずりはら)あたりの尾根。今回も松浦本『バリエーションルートを楽しむ』を参考にして、小棡峠(こゆずりとうげ)へ鶴川側からアプローチしてみることに…。

12月第2週まで運行される松姫峠行きのバス。これが運行されている間は、飯尾行きのバスが08:08発になります。上野原に8時前に余裕で着くように家を出たつもりが、高尾で4分乗り換えに失敗(笑)して、上野原08:08発のバスにギリギリ間に合うはずの次の中央線も更に若干の遅延…。あちゃちゃ、08:28の混雑バスかい!と半分覚悟を決めましたが、さすが富士急さん、列車の遅れを知ってか待っていてくれて、5分ほど遅れて出発してくれました。

飯尾行きのバスはハイカーが10人ほど。当然のごとく大垣外(おおがいと)で降りたのは私だけでした。
大垣外バス停のすぐそばには酒屋さんもあって日曜だというのにご主人がシャッターを開けているところ…。ここは帰りにも使えそうだなと記憶に留めつつ、目指す尾根を地形図と照合し、取り付きを探していると…近所にお住まいの方に声をかけていただき、この方が親切に取り付きを教えてくださいました。

指導標もないので、こちらから登る方のために取り付きを説明しますと、大垣外バス停から飯尾方面にバス通りを歩いていくと「ゆずりはら長寿とうふ やっこ屋」というお店が左手に見つかります(清涼飲料水の自動販売機もあります)。この対面にある細い簡易舗装道が取り付きで、ここを上がっていくとすぐに、竹林の中に如何にも尾根道の末端という感じの踏み跡が現れます。

踏み跡は尾根通しではなく、尾根とつかず離れずという感じでついていますので、無理に尾根通しで行くよりも、踏み跡を素直に追っていった方が歩きやすく疲れません。これは上部に行っても同じで、踏み跡は地形図の破線よりも柔軟に付いています。やはり昔からの峠道というのは尾根の直登のような無粋なことはせずに、歩きやすい傾斜を保ち続けるのですね。

歩き始めてすぐ、山火事注意のリスの看板のところで、右手に伸びる踏み跡がありましたので、行ってみるとそこには小さな社が…。道中の無事を祈ってから看板まで戻って峠道を上がっていきます。道は幅広くしっかりしていて、これで道標さえ整備してくれたら、エアリア破線ぐらいにはじゅうぶんなれそうな道です。『バリエーションルートを楽しむ』記載通り雑木の美しいところが多く、ご機嫌です。

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(小棡峠道下部:まだ紅葉が残っていた…)

植林帯で右前方からしっかりした道が合わさり、更に登っていくと、上野原町の倒れた道標があります。なおも右植林左雑木の尾根を登っていけば、もうひとつの上野原町の道標がこれまた横たわっています。その道標を過ぎてまもなく尾根が微妙に左に曲がる地点が689m付近でしょう。陽当たりも好いので、ここで一回目の休憩としました。今日は朝の冷え込みが厳しかったのですが、風もなく、こうして雑木林の日だまりに座って休憩をとるぶんには寒さはほとんど感じず、むしろぽかぽかと暖かく気持ちのよい日だまりハイクです。

休憩後、尾根道を登っていくと、すぐに植林帯になって、その上の850の分岐点は道の分岐こそ明瞭なものの、尾根の分岐にはなかなか気づきにくいところ。立木のテープはなくなっており、プレートの付いていた樹が伐採されて横たわっていました(そのうちプレートごと無くなる可能性もあります)。この点、松浦本と現況が違いますので下りにとる方は注意してください。

なおも上を目指すと、このコース最後にして3つめの上野原町の指導標(これだけは倒れていなかった:笑)がありますが、このすぐ手前に石仏があります。下で取り付きを教えてくださった方の話では、この辺はデンガデーロと地元では呼んでいるそうで、ここで右に分岐している踏み跡は1046の東を巻いて笹尾根に出るそうなのですが、ナンと石仏は倒れて俯せになっていたので、いままでさぞ苦しかったでしょうに、と上を向かせておきました。

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指導標に従って切り返して尾根に乗って登っていくと1046の少し西に出て樹幹越しとはいえ富士山も見え、左手に少し下れば小棡峠です。

丸山には寄らずに小棡峠から東へ向かいます。なつかしい笹尾根。あぁ、やっぱりこの尾根は冬枯れに歩くのが最高だな、と思いながら鞍部へ下り、コブをいくつか越して少し右寄り(南東)に尾根が向きを変えるとやがて土俵岳。三角点の南に土俵岳南尾根の踏み跡を確認してから、お腹も空いたな、少し早いけれど下の日原峠は日当たりがいいから、あそこでお昼にしようと下っていきます。日原峠で石仏に手を合わせてから陽当たりの一番良さそうな場所を確保して昼餉。

笹尾根の縦走路に入ってからは、ろくすっぽ地形図を見ていなかった(笑)せいで、日原峠から浅間峠など記憶にあったのより大きなアップダウンで少し疲れましたが、浅間峠手前の雑木の美林はいつ来ても好いですね~。

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浅間峠で小休止したあと、熊倉山へ向かいます。手元のエアリアのコースタイムは浅間峠→熊倉が40分で熊倉→浅間峠が50分になっていますが、これはどう考えても逆だよな~と思いながら歩いていくと、やはり50分近くかかりました。最近のエアリアでは訂正されているのでしょうか? ともあれ、熊倉山に到着すると、それまで樹間越しにしか見えなかった富士山が、逆光ですが、遮るもの無く見えて、この時間まで展望がもってくれて好かったと写真を撮り休憩します。

熊倉山から軍荼利神社を経由して東京・山梨・神奈川の県境である三国山へ。ここは三頭山から続く笹尾根が一望できるだけでなく富士山もきれいに見え、空気の澄んだときなら南アまで望める一級の展望地ですが、バスの時間の都合もあって、あまりまったりせずに下山します。

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(三国山より…)

甘草水、佐野川峠と懐かしの場所を通り過ぎ、今まで歩いたことのない鎌沢への歩きやすい明瞭な道を下ります。神社で少し足を休めたあと、鎌沢の最奥の集落はすぐでしたが、鎌沢集落から鎌沢入口バス停までの舗装道は、こりゃ、登りにとったらエライ大変だわというぐらいの急傾斜。それでも山間の集落らしい佇まいの民家を眺めながらのフィナーレはなかなかのものでした。


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2008.12.03

【岩崎山・雲母山から京戸山・カヤノキビラノ頭 その2】

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(カヤノキビラノ頭より望む富士山)

三角点のある雲母山には岩崎山で見たのと同じ様な山名標があって、少し薄暗い雰囲気ですが、今日の難所(?)をこなして一区切りつけるには好い場所なので、ここで休憩をとります。
時刻は11時を少し回ったところ。予定より少し早く着くことが出来ましたが、ここから尾根伝いに京戸山の稜線に上がるには、この空腹ではちょっときつそうなので、パンを少しと水分を補給しておきます。途中からは4月に歩いたコースと合流するので、勝手はわかっています。

再び肩に戻って南に延びる明瞭な踏み跡を降りていくとちょうど鞍部で林道と交差し、林道の対面に尾根の入口が見つかり、たどっていくとまもなくで左手に大きく展望がひらけ、しばらくで大きな林道と交差。4月に見た「京戸山系達沢山ナットウ箱山登山道」と表示のある登山口があります。

ここからは一般登山道らしく、尾根の痩せたところにはロープが丁寧に張られていたり、急坂は直登せずに切り返して登ったりと至れり尽くせりです。それでも毎度のことながら、稜線直下は少し絞られて、稜線に出たときには「ああ早くメシにしよう」とナットウ箱山の表示のある三角点には見向きもせず、1439のピークに直行して、シートを広げてしまいました。

1439のピークはさして展望も好くなく、今日はぱっとしないピークでばかり休憩とってるな~なんて独り言を謂いながらおにぎりを頬ばります。やはり天気の好い日にお山で食べると何でも美味しく感じてしまい、ああ今日も出掛けてきてよかったなぁ、と思います。

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昼食後、カヤノキビラノ頭へと向かいます。京戸山からカヤノキビラは初めてなのですが、これがこの日最高に好い尾根歩きでした。ブナ・ミズナラの美しい自然林で落ち葉もザクザク。あまりアップダウンもないので本当にリラックスしてのんびり歩けます。もう落葉していましたが、次回は葉のある時期に歩きたいな~とそんなことを思いながらニコニコして歩いていきました。

1487に行く前に尾根が分岐するところで南に入り込まないように注意しなきゃなぁ、と思っていたのですが、分岐点にはマーキングがしっかりあって、難なく東進できます(…でも逆に少し気になってしまいました。あの尾根を南に辿って1248.2の三角点へ行くコースって結構面白そうです。)

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美林がずっと続き、尾根が痩せて少し歩きにくいところを過ぎると、やがてカヤノキビラの頭。ここは2006年の正月に来たことがあり、立派な指導標もあります。カヤノキビラから笹子峠はそのとき歩いていますのでもうあまり心配はありません。

カヤノキビラノ頭からは逆光ですが富士山がきれいに見えていました。ベンチもあり紅茶を飲みながらのんびり休憩。

カヤノキビラの少し先で左手に今日辿ってきた尾根がずっと見えて、結構歩いたなぁと感慨を抱きつつ尾根を辿ります。一度歩いたことがある尾根でもやはり記憶があやふやなところもありますが、中尾根の頭(1278のピークに「中尾根ノ頭」という立派な標識が設置されていますが、あれはたぶん間違い:その手前の1280m圏峰が中尾根と登山地図にも記されている尾根のピークなので、こちらが中尾根の頭ではないかと思います)にある中尾根への踏み跡を分けて北進、1278のピークで北東に向かって笹子峠へと降りてゆきます。

日が傾き、北面となった斜面を降りていくと峠を吹き抜ける風がいっそう冷たく感じて、手が少しかじかみます。笹子峠で少し足を休めて、笹子隧道へ降りると車で上がってきた観光客らしき人と会い、ああ、そういえば、今日は山中では誰とも会わなかったナと気づきました(笑)。

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(笹子隧道)

笹子駅まで2時間近い車道歩きは面倒だなぁ、笹子隧道でタクシーを待たせておけるような身分になってみたいものだ、それにしても笹子隧道から笹子駅ってタクシー代いくらぐらいかかるんだろう。。。などとつまらないことを考えながら車道をとぼとぼ歩いていくと車に何台か抜かれて、とほほと思っていたところ、矢立の杉への遊歩道がみつかったので、これをたどってみることに。。。これが、結構しっかり整備されて思いのほか歩きやすく、矢立の杉の先でも遊歩道が見つかって、峠から新田下のバス停まで一時間かかりませんでした。

残念ながら新田下のバスは20分ほど前に行ったばかりでしたが、追分のコンビニでお酒を仕入れたかったし、笹子駅まではのんびり歩くことにしました。追分のコンビニでは笹一のお酒も見つかったし、暖かいカレー饅も手にしてとっぷり日の暮れた笹子駅で美酒に酔いながら上り電車を待ちました。




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2008.12.02

【岩崎山・雲母山から京戸山・カヤノキビラノ頭 その1】

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(岩崎山の先より南ア)


【山行日】 2008年11月30日(日)

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」
新宿  05:18 - 06:13 高尾   (中央線各駅停車)
高尾  06:14 - 07:12 甲斐大和 (中央線各駅停車)

「歩行」
甲斐大和駅  07:20 - 07:50 取り付き
取り付き   07:55 - 08:55 NHK中継局の上
NHK      09:05 - 10:00 岩崎山
岩崎山    10:10 - 11:05 雲母山
雲母山    11:15 - 12:25 1439mピーク
1439m  12:50 - 13:35 カヤノキビラノ頭
カヤノキビラ 13:45 - 14:55 笹子峠
笹子峠    15:05 - 16:00 新田下バス停
新田下    16:10 - 16:50 笹子駅


「鉄道」
笹子  17:06 - 18:21 高尾  (中央線各駅停車)
高尾  18:35 - 京王線某駅  (京王線)


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(石祠の手前:まだ紅葉が少し楽しめた…)

先々週の山行で、やはり気になって仕方なかった岩崎山、マイバイブル(笑)でもある『静かなる尾根歩き』ではタクシー利用で紹介されていますが、逆コースにすればタクシーを利用しなくても登れそうですし、朝早くから歩き始めてRF(ルートファインディング)さえ上手くいけば、近隣の他の山々とも繋げて歩けそうです。

そこで、とりあえず、雲母山に到着した時点で、RFが上手くいって体調もじゅうぶんであれば、京戸山からカヤノキビラの頭を経て笹子峠。  RFに手間取って、お昼を過ぎてしまった場合は、京戸山から達沢山へ行って立沢に降りるか、今年4月に歩いた二本木山~茶臼山と繋げる。  敗退や体調不良・悪天の場合は おとなしく京戸川林道を降りる、といくつかのサブプランも携えての挑戦としてみました。

岩崎山とか雲母山と言われても、「どこよそれ?」と言う方のために最初に説明しておきます。。。
地形図や登山地図にはその名称はなくて、エアリアでいいますと、「大菩薩嶺」の左下、茶臼山・大沢山・二本木山とある右(東)に1041.1の三角点と1213.7の三角点が見つかると思います。この1213.7の三角点峰が雲母山で、1041.1の三角点の南にあるなだらかな盛り上がりのようなピーク、これが岩崎山(別称:日蔭雁ヶ腹摺山)になります。天気の好い日に甲斐大和駅の改札を出ると、真っ先に目に飛び込んでくる山が岩崎山ですので、機会があれば甲斐大和駅から望んでみてください。

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朝イチの電車で甲斐大和駅07:12着は先々週と同じですが、降りたのはたぶん私一人だけ。

甲斐大和駅から20号線を西へずっと歩き、鶴瀬のバス停を横目で見てさらに西進。ドッグスクールの看板が見えたらそこが鶴瀬橋です。鶴瀬橋を渡り、中央道の上り線の下の細道をずっとさらに西に行くと下り線の上を通る芝橋に突き当たるので、これを渡ると左手に取り付きである82号鉄塔への巡視路(簡易舗装)があります。この取り付きまで駅から徒歩約30分ほどでした。

なお、06:43立川始発の中央線で来れば、甲斐大和駅発塩山行きの市営バスに乗れるので車道歩きを少し減らすことができますが、鶴瀬から先は自由乗降区間ではなくなるので、鶴瀬橋で降ろしてくれと言っても断られる可能性が高いです。ちなみに鶴瀬バス停からは取り付きまで約15分ほどでした。

取り付きから簡易舗装道路をずっと辿っていけばやがて土の道になり82号鉄塔の南に出て、そこがもう岩崎山の尾根の末端部になりますから、あとはしっかりした尾根上の踏み跡を南西へと登っていきます。

1041.1の三角点まで、下りにとればそう難しくなくても、登りでは間違えやすい箇所が二つあったので先に説明しておきますと、、、石祠のあるところで左手に伸びる濃い踏み跡には入らずに、尾根通しの急坂を登ること。もうひとつは、NHKの中継アンテナを過ぎて、1041.1の三角点に向かうところで今度は右手に伸びる濃い踏み跡(マーキングもあり引きこまれやすい)にも入らず、尾根通しに登ること。この2点です。こういう指導標のない尾根歩きコースでは、歩きやすくマーキングも付いている方向にはついつい入り込みたくなりますが、いずれも尾根原理主義者(笑)のように尾根通しに行くのが基本です。

未だ紅葉の残る石祠の前で道中の無事を祈ったり、NHKとYBSの中継アンテナの少し上の尾根で雪化粧した奥秩父や目の前の棚横手~甲州高尾山を眺めながら休憩をとったりとマイペースで登ってゆき、1041.1の三角点で南に進路を変えます。1041.1から岩崎山へ向かう途中の尾根は、右手に枝越しとはいえ、真っ白な南アルプスを見ながらの歩きでこれもなかなか楽しいのですが、尾根がやや左に向きを変えると枝藪が気になるやや歩きにくい径になります。

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(岩崎山への登りで…ヤマカマス)

やがて傾斜が緩んでくると岩崎山。『静かなる尾根歩き』では山名標は見当たらなかったとのことですが、この日は「岩崎山」とそれに「日蔭雁ヶ腹摺山」の山名標も見ました。あまりぱっとしない山頂ですが、中継アンテナの休憩からちょうど一時間ほど経過していたので、ここでも水分補給休憩。

岩崎山からさらに尾根通しに南進。10分ほどで右手に南アルプスが見えたのですが、もうこの頃には南アの稜線には雲がかかっていました。スッキリとした展望ポイントではありませんが、でもこんなコースでは希少な撮影ポイントです(トップ写真)。南アの写真を撮ってからさらに南進。1090の手前で小林氏が這い登ったという地点をさがしましたが、はっきりとはわかりませんでした。ピーク直前に左手に赤のマーキングがありましたが、この斜面はかなり強引に登らないと…という感じでした。

右手に雲母山の端正な山容が見えてきます。1090を越えてまもなく右手に林道(未舗装)がある鞍部に降り立ちました。
林道を隔てた対面には雲母山へ登る踏み跡はなく、ここは難しそうだなとしばし鞍部で思案。ここから雲母山へ行くには3つの方法が考えられます。

1.松浦氏のコースを忠実に逆に辿る=林道から雲母山の東の支尾根をとらえ、直登。
2.林道をずっと辿り屈曲点で東の支尾根に乗るか、そのまま林道を辿って雲母山の南尾根から登る。
3.時間はかかっても完全尾根通し=1160m圏峰経由で逆V字型に尾根を辿る。

一番簡単なのは2番。難しいけれどやってみたいのはもちろん1番。
3番は美しいけれど、この先京戸山方面に行く際に同じところを結構無駄に往復することになります。

ここは急がば回れで2番か、と林道を上がっていくと、すぐに左手にそれっぽい踏み跡が伸びているのに気づきました。今日はここまで首尾好く来ているし、天気もこの上ないほど好いので、思い切ってこの踏み跡から尾根に取り付いてみようと入ってみました(=1番)。

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(林道がUターンする地点の展望)

これが結果的には上手くいって松浦さんの記事の逆=西に進んで尾根に乗ったあと南西に進んで「保安林改良施行地」のプレートの先で大きく展望がひらけた林道の屈曲点に登りつき、そこから東支尾根を直登して肩のようなところ(南尾根からの踏み跡と出合う)に ほぼ最短距離で到達できました。

しかしながら、これは松浦本のコピーと地形図&コンパスを総動員して、しかも登りだからできたものの、同じコースを下ってみせろと言われたら出来る自信はありません。なにしろ、この東支尾根は地形図で見るまでもなく尾根の形は遠目には明瞭ではありませんし、この東支尾根上には枝打ちされた枝が大量に放置されていて、踏み跡といったものは無きに等しいからです。

そんなわけですから、このショートカット、地形判断や地図よみに慣れていない方は、なるべく避け、林道を迂回して行く方が安全かと思います。支尾根の歩きにくさを考えると所要時間もそれほどは違わない気がします。

また、しつこいようですが、今回のこのコースも指導標のたぐいは全くなく、地形判断力必須(コンパス&地形図で進むべき方向が割り出せる)ですので、その点、どうかご留意くださいますようお願い申し上げます。


その2に続く


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