【仙丈ヶ岳 二泊三日 その3】 山バス情報44
朝は5時に灯りが点ります。朝食後、忘れ物がないか確認して出発です。外は氷点下6度ですが、それほど寒くは感じません。申し分のない天気の中、松峰入口までゆっくり登ります。松峰分岐でザックをデポし、名残惜しいのでもう一度仙丈の頂上に挨拶をしに行きました。
雲海に浮かぶ山々。今日も遠く北アルプスが見え、展望は良好。
頂上で無事下山を願って、下山開始。途中で登ってくる komadoさん と挨拶。komadoさんも同じ地蔵尾根を歩く予定ですが、もちろん行動は別々。お先に、と私が先行する形で地蔵尾根コースに入りました。
森林限界から見る地蔵尾根はたおやかで下りやすそうです。しかし、街があるところまでは、すごい距離があるなあと長丁場を覚悟。
樹林帯に入り、尾根から右にはずれるようにトラバースをしますが、地形図を見ればわかるように実際は地蔵尾根の主稜に向かっています。トラバースになるとやや踏み跡が頼りない感じになりますが、赤のマーキングが短い間隔でついています。
高度をかなり落とし、地蔵尾根の主稜をとらえると、小平地になっており、ちょうど松峰分岐から一時間ほど経過していたので少し休憩。
休憩地点あたりから、シラベ、コメツガの山深い森が続き、これだけでもこちらに来て好かったと少し得した気分。もちろん人には全く出会いません。静かな森を楽しみながら登り返すと地蔵岳手前の2400m圏峰。展望が素晴らしいのでまた休憩。と、ここでザックを降ろして愕然としました。ザックの外側にくくりつけていたテントポールがない!のです。
朝小屋を出るときにはあったはずで、おそらく降りる途中どこかで落としてしまったのです。戻って取りに行こうかとも考えましたが、もうすでに降り始めてから2時間ほど経過しており、この先の長丁場を考え、ポールは買えばすむこと、焦って登り返してあわてて降りたりすれば怪我のもととあっさり諦めてしまいました。
これって、もういい歳なんだからそろそろテントやめなっていう天のお告げかもなぁ、などと考えながら、地蔵岳のやや歩きにくい巻き道を過ぎて再び高度を落としていくと鞍部に着きます。ここに松峰小屋の入り口があるはずなんだけど。。。おかしいな。。。と少し進んだ先に「松峰小屋入口」の表示がありました。松峰分岐からここ松峰小屋入口までコースタイム通り約3時間なのですが、途中、判読可能な指導標の類は一切ありませんので、そういった道に慣れていない方だと、かなり不安を覚えるかも知れません。
松峰小屋を見に行ってみましたが、外はしっかりした作りで好いのですが、中はちょっと泊まりたいとは思えない雰囲気でした。トイレもなく、小屋の内部はやや荒れた感じです。非常用という意味では確かに心強いのですが...
このコース、松峰小屋入口から伊那里のバス停までエアリアもガイドブックも3時間と記してありますが、3時間は無理だと思います。4時間はたっぷりかかり、休憩をいれて4時間半は見ておいた方が好いかと思います。私はお昼御飯の時間を除いて4時間ちょっとかかっていますが、最後の一時間はかなり飛ばして降りています。最後に舗装道路に出て市野瀬の集落が見えるところなど、なんともいえないいい雰囲気なのですが、そこらへんをゆっくり味わえなかったのが心残りでした。
ここで、話を巻き戻して(笑)。。。松峰小屋入口から登り返し、また下って蜘蛛の巣を払いのけながら松峰を巻き、さらに進んで林道に出る手前でお腹が空いたのでお昼を食べていたら、komadoさんが降りてきました。挨拶をしようとクッカーを置くと、komadoさんが近づいてきて言いました。「ゴン太さん、テントポール落とされませんでしたか?」
ああ、神様仏様komado様です。彼のザックには私が落としてすっかり諦めていたテントポールがくくりつけてあり、「よかったよかった」と私に手渡してくれたのです。彼はテントポールを私に渡すと、「それじゃ、お先に」とニコッと笑って降りていき、私はその後ろ姿に向かってただただ感謝するばかりでした。そのあとポールはしっかりザックの中に入れもう二度と外側にくくりつけたりするまい、と心に誓いました。
伊那里に降りてから高速バスまで時間がありすぎて困っちゃいそうという当初の予想は外れ、高速バスの停留所である 「入野谷」 という施設でカラスの行水気味に入浴。
風呂上がりはkomadoさんとビールで乾杯し、 高速バス「南アルプス号」 新宿行きで帰宅しました。
この「南アルプス号」は超お奨め。早い安い快適の3拍子そろった高速バスです。とにかく伊那里から新宿まで乗り換えしなくていいし、渋滞さえなければ4時間で新宿駅に着いてしまいます。トイレ付き車両で、途中双葉サービスエリアで休憩もあり、軽い晩御飯も調達可能。それに何と言っても料金3600円は安い。広河原から新宿までバスと鈍行を乗り継いでも4000円以上かかりますし、時間は4時間では済みませんよね。。。新宿行きの超特急に乗ったって感じでした♪
完
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☆☆☆ この山行のレポはこちらです ☆☆☆
(但し、倒れそうなほど長文)
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コメント
テントポール拾ってもらえて良かったね~。
そっか、komadoちゃんとバッタリだったんだ。
テントはまだまだ続けましょう。
南アルプス号って使えそうですね。
今度考えてみます。
投稿: かず | 2006.10.13 20:03
かずさん、こんばんは。
テントポール、ほんと、komadoさんに拾っていいただいて助かりました。買えば結構なお値段ですからね。いくら感謝してもし足りないぐらいです。
もちろん、これは「も少しテント続けてみたら」っていうお告げ(笑)なんだと思っています。今はいろんな装備が軽量化されているので、そういったものを利用してやっていこうと考えております。というか、私の経済力では山の泊まりに山小屋を気軽に利用できない、というキビシイ現実がある(笑)のですネ。
南アルプス号は、仙流荘経由なので、北沢峠から広河原に出ずに帰るという裏技や、逆に北沢峠に入るときにも使えそうですよね。ただ、道路渋滞がいつもないというわけじゃないので、そこらへんがちょっとギャンブルですけど。
投稿: ゴン太 | 2006.10.14 18:54
ゴン太さん、こんにちは。
やっぱり地蔵尾根、一度は歩きたいですね。
しかし、同じコースを歩く人がいて、しかもそれがkomadoさんだったとは。なかなか奇遇ですね。
私も高速バスを最近使うようになりました。やっぱり安くていいですね。学生が多かったりしてうるさいときもありますが。
投稿: リブル | 2006.10.14 19:34
リブルさん、こんにちは。
地蔵尾根を歩いたのは連休後の平日でしたから、よっぽどの偶然が重なったというわけですね。お互い連休のあとに休みをとって、しかも仙丈に向かうという計画を立てたとしても、フツーは二人とも地蔵尾根を下ろうと考えるとは限りませんから。。。
でもそのおかげでテントポールも拾ってもらえたわけですし、本当にツキに恵まれていたとしかいいようがありません。
高速バス、平日利用ということもあって、渋滞もなく快適でしたが、混雑していたり、リブルさんのおっしゃるように車内が騒がしかったりすると、ヤですよね。ただ、高速バスは荷物をトランクに収納できるので、私のようなテントで大荷物にはそれがとても嬉しいのです。
広河原行きのバス、ほとんど登山者しか乗らないのだから、そろそろ荷物を収納できるタイプにならないかな、なんて今年も無駄な期待(笑)していたのですが、やっぱりダメみたいですね。
投稿: ゴン太 | 2006.10.15 18:29
しかしポールの件は自分で言うのもなんですけど(笑)、神の御業に近いかも(をいをい)。おそらく休日でも人がろくすっぽ入らないであろう尾根道で、シカも平日に落としたものが戻ってくるのですから。
小屋でバッタリだったことも含めて、いろいろな意味で縁があったのでしょうね。(^^) また機会がありましたらそのときは宜しくお願いしますネ。ありがとうございました。
投稿: komado | 2006.10.16 22:55
本当に、いろんな意味で縁があったのではありますが、なにより、komadoさんが私のあとを歩いてくれたというのが非常に大きかったです。私が後ろを歩いていたらアウトだったわけで、そういうふうに考えていくと、ほとんど宝くじにあたったのと同じぐらいの幸運でした。
komadoさんにしてみたら、余計な荷物を背負わされただけで、ろくでもない縁だった(笑)かもしれませんが、この縁に本当に感謝しております。あらためて「ありがとうございました」とお礼を言わせてください。m(_ _)m
でも、いい尾根歩きましたよね。たぶん、一生忘れられない尾根歩きになるんじゃないかな、と思っています。
投稿: ゴン太 | 2006.10.17 21:22
お邪魔します。
こんにちは、横川岳のところをみて、もう思い出してしまいました(笑)
両俣からだったんですね、私は、反対に両俣に降りて北岳でした
北岳に登ると仙塩尾根が一望でした。いい稜線ですよね、ずっと北岳がみれて・・
このコースめちゃきつかったので、私はbestthreeに入れてます(笑)komadoさんと会うなんてネットも山の世界も狭いですね
最後に飲んだビールは格別ですね♪
投稿: kuro | 2006.10.18 12:41
kuroさん、こんばんは。
この日の地蔵尾根も素晴らしかったのですが、仙塩尾根、そのダイナミックさが気に入ってしまいました。
確かに息があがって楽な道のりではなかったけれど、あの尾根を歩いたからこそ、仙丈のその巨きさをしっかりと身体に刻み込むことができた気がするんです。
足の方、早く好くなって、今度はkuroさんとどこかでバッタリしてみたいな、なんて思っています。
またお気軽に遊びにいらしてくださいネ。
投稿: ゴン太 | 2006.10.18 22:17