2025.01.19

【石砂山から牧馬峠経由で石老山】 山バス情報209


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(石老山より大室山越しに富士山を望む)

 

【山行日】 2025年01月13日(祝)

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」
中央線某駅  - 06:11 高尾 (JR中央線各駅停車)
高尾 06:14 - 06:23 相模湖 (JR中央線各駅停車)

「バス」
相模湖駅 06:31 - 06:50 三ケ木 (神奈中バス 360円)
三ケ木  07:00 - 07:19 伏馬田入口 (神奈中バス 460円)

「歩行」
伏馬田入口バス停 07:30 - 08:55 石砂山
石砂山      09:10 - 10:05 470m圏峰
470m      10:10 - 11:05 石老山
石老山      11:30 - 13:15 船着き場

「渡し船」
船着き場  13:15 - 13:27 相模湖対岸 (700円)

「歩行」
相模湖対岸 13:35 - 13:50 相模湖駅

「鉄道」
相模湖 14:16 - 中央線某駅 (JR中央線 中央特快東京行き12両)

【地形図】 「青野原」 「与瀬」

【参考図書】『静かなる尾根歩き』(松浦隆康著:新ハイキング社)

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(石砂山は西峰に先に登りました…)


 石老山(せきろうざん)に登ったのは、山を始めたばかりの前世紀1998年の10月。今でも覚えているのは、当時としては珍しく10月だというのに最高気温が30度超えの晴天の日で、顕鏡寺から登って、ガイドブックにもほとんど載っていない篠原へ下山。篠原は本数が少ないとはいえ、あの頃は何本かバスの便があって、二時間ほどもあるバス待ちの間、地元の人と話をしたりしてもなかなか時間が潰せなくて苦労したことが印象に残っています。

 一方、石砂山(いしざれやま)は、ギフチョウが話題になってから行きたいとは思っていたものの、ヒルが出るとかなんとか言い訳していて未踏のままでした。松浦本に牧馬峠(まきめとうげ)経由が掲載されているものの、東尾根経由のバリルートだと石砂山まで倍近い時間がかかるので、今回は初訪という事もあり、素直に伏馬田入口から一般登山道で登って、牧馬峠経由で石老山へ行くことにしました。

 登山口の伏馬田入口に行くには、三ケ木07:00発月夜野行きのバスに乗らなければならず、この時期の相模湖駅発6:31の三ケ木行きは日の出前で暗い中出発。乗客は登山者三名と地元の方お二人の五人。三ケ木では橋本便からの乗り継ぎ登山客が多数で、月夜野行きはこんな寒い中10人ほどで出発です(7時発の直前まで入線してきてくれないので三ケ木での乗り継ぎはこの時期辛いものがありますね(笑))。

 しかし、伏馬田入口で降りたのは私一人。一人ぐらい同じコースの人がいるだろうと思っていたのですが、意外な展開で、結果的にエアリア(山と高原地図)赤実線の一人旅は石砂山山頂を過ぎるまで続くことになりました。

 バス停そばからずっと山頂まで東海自然歩道の指導標がありますので、あまり迷う心配はないと思いますが、ちょっと、あれ?と、もうひとつ意外だったのは、最初、道志川に架かる亀見橋までは車道をずっと下っていくのですね。

 いよいよ登山口というところには「ヤマビル注意!」の注意書きと忌避剤のスプレーが置かれていましたが、見た感じスプレーは空のようでした。

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(自己調達して持参したほうがいいかも…)

 登山道は最初深くえぐれた道で庚申塔もあり、迷うような箇所はないと思っていたのですが、一箇所、ここは指導標を置いた方が良いのでは?という、少し下っていく巻道の分岐点がありました。よく見れば尾根方向には枝が置かれているし、巻道方向に古い赤テープがあったので、まぁ普通の人なら逆に迷わないのかもな…と(地形図の破線は尾根通しになっていますし、尾根通しでも行けるのかもしれません)。

 菅井からの径と交わる地点には東海自然歩道の指導標があって、石砂山へは右折と誰でもわかるようになっていて、すぐに送電線の下を通る径に出ますが、ここはカヤトが茂っていて、短い間ですが周囲が開けた明るい展望地になります。

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 地形図の送電線に沿って付いているトラバース道の破線との合流箇所と思いますが、送電鉄塔を超えたすぐ先にそちらへ入り込まないようにするため(?)の東海自然歩道の指導標が建っています。

 あとは濃い踏み跡に沿って進んでいけば石砂山の東西峰の鞍部に上がり、そこには右手を指して石砂山とあります。東海自然歩道の指導標の裏側をよく見ると左手を指して西峰とマジック書きがあり、先に西峰(572m峰)に上がってみることに…。

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 西峰への尾根も西峰山頂そのものも、明るい雑木の美林で、地形図を見て、ここから北に伸びる尾根を499〜415.5三角点とたどって、その先の林道に無事着地できれば、やまなみ温泉はすぐそこだよなぁ…などと考えてしまうのはやっぱり病気なのかな、と苦笑。今回見送った東尾根と組み合わせてみたらちょうどよいコースどりでは…などと思いながら鞍部に戻って東峰(エアリアの石砂山:578m峰)へ登ります。

 枝越しに真っ白な富士山を見ながら一歩々々登っていけば石砂山の山頂で、ベンチがあり誰もいないので、テルモスのお茶とサンドイッチの残り、それにメロンパンを半分食べて、ゆっくりします。時刻はまだ9時。ちょっと遅い朝ゴハンといったところでしょうか(笑)。

 私が座ったのは、松浦本で登路にとっている東尾根の入口と思しき場所にあるベンチ。尾根の入口には枝も並べられていないし、踏み跡は結構濃く付いている感じで、自分がやっているバリハイルート歩きも、案外罪作りなことをしているのだなと…。今後はバリハイルートで上がってきたら、合流点には自ら枝を置くなどするべきではないかと少々反省。

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(東尾根入口?)

 さて、石砂山をあとにしたら、ここからは赤破線です。2021年のエアリアでは牧馬峠への赤の破線路を東尾根と記していますが、松浦本の石砂山東尾根とは別物です。どちらかというと、牧馬峠への尾根は北東尾根ではないかと個人的には思いますが、ともあれ、ここはシーズン中、ヤマビルの巣窟(?)とも言えるほどヒルが多いらしいです。

 松浦本通り、今でも牧馬峠への分岐はマーキングもなく注意していないと通り過ぎてしまうでしょう。ただ踏み跡は明瞭です(それだけに、ここにはマーキングをつけないほうがいいのかもしれません)。最初はかなり急傾斜で、ジグザグを切ってくれています。

 尾根の形が明瞭になると尾根通しになりますが、コブがある地点で巻き道が何度も現れるようになり、松浦本にあるように、巻き道の方がわかりやすいですし、(おそらくは)体力も使わずに済むと思います。ここは?という箇所にはマーキングもありますから、山慣れている人であれば、巻道で不安になることもなく車道のある牧馬峠に降りられると思います(ちなみに峠へ降りる最中にこの日初めて登山者とスライドしました)。

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(牧馬峠への経路は道形は明瞭)

 ただ、車道に降り立っても、牧馬峠の標識は見当たりませんし(「ギフチョウとその生息地」の大きな看板(令和5年3月更新)があります)、車道を右手に行った先にある石老山への尾根の取り付き地点にも道路側にはマーキングは見当たらず、松浦本を読んでいない人には取り付きを探すのは難しいのではないかと思いました(実際には取付から少し上がったところに紫の紐が立木に下がっています)。

 最初は急な斜面を登りますが、すぐに傾斜は緩んで、明るい雑木の尾根歩きになります。峠では狭い車道で車やバイクの通行があって休憩できませんでしたし、470m圏の少ピークがいい感じだったので、テルモスのお茶で一息入れることにしました。時刻は10時で石砂山から一時間ほどの地点です。

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(470m休憩ポイント 「水源の森林 神奈川県」の標柱がある)

 一息入れたら尾根通しに先へ進みます、鞍部には祠があって、ここがエアリアの山の神と記されたところでしょうか(赤破線の分岐には気づきませんでした)。で、そのあとですが、進路が北東から北に変わるところは500mのコブですが、今回作業道はすぐ先の500m地点で左に伸びていました。作業道方向に赤のマーキングがつけられ、進行方向の北に伸びる尾根には枝が並べられているように見えたので、「え?」とは思いながらも作業道を左に進んでみました。

 しかし、進んでも一向に高度が上がらないので、戻って尾根通しに登ることに。。。右手の奥には石老山と思しき山がみえていますし、尾根通しで行けないわけがない、と急坂を登っていきます。

 篠原からの東海自然歩道とぶつかる地点(610m)には指導標が建っていて、指導標裏側に黄色のテープが巻かれ、やって来た方向を指して「←牧馬峠 1h」とマジック書きされています。あとは、27年ぶりで見覚えなどあるはずもないのに、なぜか、ああ、そういえば、こんなところだったかも…という幅広い道をたどって、すぐにみつけたのは三角点(694.3m)のこれ(笑)。

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 初訪当時には、あったとは思えませんが、三角点のあるこの場所と、このあと訪れる大明神山でも見つかった例の標石です。

 三角点のある場所からも見える702.8m地点(?)にはたくさんのハイカーがいて、山頂から見える富士山を写真に収めたらすぐに三角点に一番近いベンチへ戻って、11時と少し早いですが昼休みとします。

 お湯を沸かしておにぎりを平らげたら、今回は皆さんと同様にプレジャーフォレストへと下っていきます。道中、枝越しに見える富士山よりも、そのずっと右奥に見える白い山塊に気を取られていたせいもあり、どの地点か正確には断定できないのですが、大明神(551)手前で右折して下っていいく箇所で、左手の尾根から登ってくるパーティーがいるのを目にして、こんなところにもバリエーションで登ってくるルートがあるの??と驚いていたのですが、どうやら、バリエーションルートに引き込まれてしまって、引き返してきた様子でした。

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 大明神には赤い祠があり、前記したとおり↑例の標石が置かれ、ベンチがあったので一休み。これが正解だったようで、その先にある展望台ではたくさんのハイカーが休憩中。眺めも相模湖方面しか見えず、富士山どころかそのずっと右奥に見えていた白い山塊もここではほとんど木々に遮られていて、展望台というからには山名掲示板でもあるのかと期待していただけにがっくり(笑)。

 そのあとは、登山道付け替えでしょうか、「←プレジャーフォレスト・ねん坂」の指導標に従って、文字通りぐんぐん下る階段状の道。。。途中に送電鉄塔があったので、もとは送電線の巡視路だったのでしょうか。。。ともあれ、舗装道に降りて右手に下っていけば、もとの(?)東海自然歩道からの道(封鎖されていました)ともぶつかり、プレジャーフォレスト(元相模湖ピクニックランド?)の観覧車を仰ぎ見ながらの車道歩き。

 実は、予定ではこのあと、プレジャーフォレスト前なるバス停でバスに乗らずにそのまま嵐山も登って歩いて相模湖駅まで…と考えていたのですが…

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 こんな標識を目にして、こんな機会でもないと、この先、一生乗ることもないだろうし、と、確か 以前komadoさんもこの渡し船に乗船していたような記憶も蘇り(笑)、更に「四月より10時〜18時・十月より12時〜17時」の案内板を目にし、時計を見れば13時過ぎということで、これに乗って帰っちゃおう…と船着き場目指して降りていきました。

 思ったより時間がかかって船着き場が見えてくると、前を行くハイカー二人がドラム缶を打ち鳴らしているところ(笑)…。急いで下って追いついて、一緒に乗せていってもらうことに。。。

 相模湖のおそらく最南端の入り江から対岸の相模湖公園近くの船着き場まで、文字通りゆらりゆったり十数分ほど…。途中舟を止めて石老山のあそこが大明神展望台で、とか、右手に見えるあれが嵐山でとか、教えてくれたり…。救命胴衣を腰に巻いての乗船ですが、湖の水はお世辞にもきれいとは言えず、落ちたら相当汚れるだろうな…というのが感想(笑)。

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(無事着岸(笑))

 

 まぁ、料金は片道700円(往復だと1200円!)なので、バス代よりは遥かに高いけれど、この日は風もなく、昼間の温かい時間帯だったので、なかなか面白い体験をすることができて満足でした。

 船着き場で、出し忘れていた下山通知を出して、のんびり歩いて相模湖駅へ向かったのですが、思ったより時間がかかって、駅前の酒屋に笹一のミニ缶が置いてあるはずと酒屋で仕入れてから駅へ。。。次の上り電車は12両の中央特快東京行き。乗り換えもない気楽な帰京で、駅のベンチでミニ缶をちびちびやりながら、今日の山行きを振り返っていたのでした。

 

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2025.01.02

【初歩きは鈴ヶ尾山から九鬼山♪】 山バス情報208

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(九鬼山山頂にて…)

【山行日】 2025年01月01日(元旦)

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」
中央線某駅 - 07:02 猿橋 (JR中央線各駅停車)

「歩行」
猿橋駅 07:03 - 07:16 猿橋営業所

「バス」
猿橋営業所前 07:25 - 07:32  幡野入口 (富士急バス)

「歩行」
幡野入口バス停 07:40 - 08:23 幡野山(597m)
幡野山     08:40 - 09:40 鈴ヶ尾山(833.8m三角点)
鈴ヶ尾山    09:50 - 10:30 鈴ヶ音峠
鈴ヶ音峠    10:40 - 11:55 871m付近
871m      12:05 - 13:00 九鬼山
九鬼山     13:35 - 14:45 禾生駅

「鉄道」
禾生 15:25 - 15:35 大月 (富士急行線)
大月 15:43 - 16:32 高尾 (JR中央線各駅停車)
高尾 16:34 - 中央線某駅  (JR中央線快速東京行き)

【地形図】 「大月」 「都留」

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(鈴ヶ尾山への登りで…)

 

あけましておめでとうございます

 今年も安全無事に楽しく山歩きができることを祈念いたします

 

 八王子発06:35の松本行き電車(6両)は、シーズンともなると大混雑することがあり、その際早めに八王子駅に着いてこの列車を待っていると、06:20発の立川始発の大月行が10両編成でやってきて(今は12両も!あって)、格段に空いていて、これを使った山行きはできないものかと、以前から考えておりました。

 で、ひとつ思いついたのが、今回使った富士急バス猿橋営業所始発07:25の朝日小沢行きのバス。これに乗車するには、07:02猿橋着のこの電車がちょうど良さそうで、今ではエアリア(山と高原地図)『高尾・陣場』にも赤破線が入っている鈴ヶ尾山北西尾根を歩くのに、幡野入口バス停までバスで楽ができそうです。

 間に合わなければ、そのまま幡野入口まで歩けばいいだけの話だし、と実行してみると、発車の十分ほど前に着くことができ、方向巻(というか今はデジタル表示)「朝日小沢上」のバスが待機していて、すぐに乗車可能でした。

 乗客は元旦ということもあるのでしょうが、私一人だけ。車内でコンパス登山届を出して、幡野入口バス停で降車。ゆっくり準備体操をしてから、松浦本『静かなる尾根歩き』のガイド記事を参考に取り付きを探します。バス停脇の田幡橋には「←甲弓山 正八幡神社」という指導標が建っていますが、その後はこのタイプの指導標は見かけませんでしたので、今回の山行とは無関係だと思います。

 エアリア赤破線のこのルートの最初の取り付きは、『静かなる尾根歩き』の簡潔明瞭なガイドを読んでいさえすれば、誠にすんなり行けるのですが、読んでいないととても難しいだろう、というのが私の感想です。取り付きさえ分かれば、あとはかなり明瞭な踏み跡が上がっていますから、エアリア記載の「踏み跡薄い」の記述はほぼ無視して良いと思います。

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(最初は写真中央の短い橋へ降りていきます)

 

 ポイントは↑写真中央の短い橋を渡って、すぐに左上に上がっていき、フェンスを開閉したら、2つめの比較的新しい神社(お賽銭箱と鈴があったので、私はここで初詣としました(笑))の左手に伸びる踏み跡を上がっていくことです。

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(そのあと、このお社の左手の踏み跡を上がります)

 深くえぐれた昔からの山道を進むと、すぐに自然林百パーセントの明るい尾根歩きとなり、ああ、やっぱりここは葉のある時期に来るべきだったなぁと。。。しかし葉を落とした木々の向こうに扇山や九鬼山など所々で顔をのぞかせ、燦々と降り注ぐ陽の光を受けて雑木の尾根を登っていきます。

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(美林の尾根道を上がっていくと、やがて幡野山)

 落ち葉に足を取られながらも傾斜が急になった箇所を登りきれば、597m峰で立木に「幡野山」の山名標もあります。歩き始めてからまだ一時間にも満たないところですが、小腹も空いたのでここで、メロンパンとテルモスのお茶で最初の休憩にしました。

 寒くて脱げなかったウインドブレーカーを仕舞い、先を目指します。松浦本では670m付近で杉林の右斜面をトラバースとありましたが、私にはトラバースする経路は見つからず、全部尾根伝いで730m圏のコブ(アンテナ施設あり)に登りました(730m手前の斜面はひどい急傾斜で苦労しました(笑))。

 更に続く雑木の尾根をたどっていくと、突然左側が大きく崩落した箇所に行き当たります。写真では大したことがなさそうに見えますが、右の縁を通るときに覗き込んだ崩落箇所は落ちたら洒落にならないと感じましたし、右の縁を歩くときも右手の谷底に滑り落ちると、これも洒落にならないだろうというふうに感じました。これから先、凍結などしたらかなりの危険箇所となりうると思います。

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(写真ではわかりにくいですが、両サイドとも落ちるとシャレになりません)

 更に先を行けば、右手に梢越しに時折姿を表していた富士山(トップの次の写真)が、今日は雲ひとつなく見えていて、でも展望地である九鬼山に着く頃まで保つかどうか…。そんなことを考えながら高度を上げていくとようやく鈴ヶ尾山。広々とした雑木の明るい山頂で、三角点が落ち葉に埋もれています。久しぶりに見る白地に青インクの山名表も見つかり、嬉しい気分で腰を下ろして一息入れました。

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(鈴ヶ尾山山頂 時間があればずっと憩っていたい…)

 鈴ヶ尾山から先は松浦本では、突坂峠(とっさかとうげ)へと進みますが、私はまだ歩いていない大月市の市堺尾根を歩きたかったので、鈴ヶ音峠へと向かいます。しかし鈴ヶ尾山から鈴ヶ音峠がこの日一番の難関というか手こずったところでした。

 エアリアの赤破線は、少し進んだ先で市堺尾根で分岐して鈴ヶ音峠へと降りているように見えますが、現地はひとつ手前の左右に尾根が分岐している地点(赤い標石:四二五)に、右手にも左手にもマーキングがあって、左手の方が踏み跡もしっかりして明瞭です。ここを右手(南)に降りても鈴ヶ音峠のやや西寄りの林道に降りてしまうわけですから、試しに左手の、踏み跡も濃く平らな尾根を進むことにしてみました。

 しかし、市境尾根と思われる箇所にマーキングはありますが、右手(南西)方向にはマーキングもなく、しかも踏み跡らしいものも認められず、とりあえず見送って平坦な(↓しかし美しい雑木の尾根!)を進んでみましたが、尾根の方向はすでに明らかに東に向いており、このまま進むと突坂峠です。

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(突坂峠への美林尾根!)

 突坂峠からそのまま林道伝いで20分かけて鈴ヶ音峠へ行くのも時間の無駄ということで、市堺尾根の分岐まで戻ってみましたが、地形図で見ても急ですし、現地でこの目で見た印象も尾根というより斜面といったふうに私の目には映りましたので、先程の四二五の標石に戻ってピンクテープのある南へと伸びる小尾根を降りることに。。。

 しかしこれが最後の最後になって林道擁壁の真上にピンクテープがつけられている始末。細引きはザックの奥の方にあるので、こんなところで取り出すのも…と思って、擁壁が低くなっている右手の方を目を凝らしてみると、さらにピンクテープが見つかったので、足場の悪い中をトラバースすると、ピンクテープの下方に白い柵が見つかり、白柵目指して土の斜面を下ってなんとか無事に着地(苦笑)。

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(なんとか着地に成功…)

 どこに降りたかはわかっているので、車道を左手(東方向)に進み、鈴ヶ音峠に到着。対面の急な尾根には赤テープのマーキングがあったので、まぁ、ルートがないわけではないのでしょうが、ここを登りに取るのはともかく、下りに取るのはどうなのでしょう?単にわたしの勇気とRF能力が足りなかっただけなのでしょうか。。。個人的には幡野入口から来た場合、突坂峠へ出て林道経由で鈴ヶ音峠に行くのが、兎にも角にも一番安全な歩き方だと推測しています。

 時刻は10時半で鈴ヶ尾山から40分も経過しており、難所を克服した疲れ(?)もあったので、車道の乗っ越すこの峠でボンタンアメとテルモスのお茶で一息入れることにしました。

 鈴ヶ音峠から九鬼山までは、私が山歩きを始めた前世紀のエアリアでも赤実線ですが、松浦本『バリエーションハイキング』でも鈴ヶ音峠以西の前道志尾根という形で扱われていて、やはり歩く人は少ないと思います。。。実際歩いてみた限りではエアリア赤実線で問題ないルートだったものの、想像以上にアップダウンが多くて、後半に持ってくるとかなり絞られる(笑)という印象でした。

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(桐木差から高指…左手=南面が自然林なのが嬉しい)

 

 現在では大月市の名入で桐木差にも高指にも山名標識がありますし、鈴ヶ音峠には茶色の鉄製の大きな指導標があり、踏み跡もしっかりしています。右手は度々植林に覆われますが、日の当たる南面である左手は自然林の部分が多く、時折富士山が枝越しに望めます。

 ただ、エアリアに檜林と書かれたあたりからはから植林が優勢となり、「朝日小沢への踏み跡分岐」と書かれた871m付近では分岐も見当たらないままお昼の鐘が鳴ってしまい(笑)、「ここじゃ、ランチ場所としてはなぁ…」という感じでしたし、お腹もそれほどペコペコということではなかったので、比較的日当たりの良い場所を選んでミカン休憩としました。

 一息ついたら、あとは九鬼山へコースタイムで1時間10分。1時を過ぎてしまうけれど、多分誰もいないだろうから、あそこのベンチでおにぎりタイムにしようと重い腰を上げて進みます。

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(871をあとに九鬼山へ向かう…)

 ここから先は地形図で見た以上にアップダウンがきつく感じられ、やっぱり腹が減っているせいなのか、単に体力がないせいなのか、あるいはさっきまできれいに見えていた富士山がすっかり雲の中に隠れたためか、と独りごちながら一歩々々前へ足を進めていきます。稜線が一番南側を通る少ピークには「大平山902m」の板切れが木の根元に置かれていて、地形図を見て、まだこんだけしか進んでないのかと少々がっくり(笑)。

 そのあとの914への登りが一番しんどく、途中で息を何度も整える有様。 914の先は距離が長いだけでダラダラの傾斜が果てしなく続くような感覚…。で、やっと見えてきた見覚えのある指導標群。しかし、ここはもちろん山頂ではなく杉山新道の上がり口。その先もこんなに長かったっけ?というくらい九鬼山の山頂は遠く感じられて、やっと到着したベンチのある場所は、予想通り一人も先客がいない状態でした。

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(誰もいない山頂…)

 まぁ、元旦早々の山行で鬼の名の付く山に登る人もいないかな、とベンチを2つも占領する横着をしながら(笑)、昼餉の支度とお湯を沸かしていると、先程までの大きな雲が取れて富士山が姿を見せてくれています。そして、お一人地元の方らしいハイカーが上がってきて「こんにちは」と挨拶をいただきびっくり。

 私の食事中にその方は降りていかれましたが、この山のいろいろなルートのお話を聞かせていただき、短い時間でしたが、楽しひとときでした。

 休憩に30分もかけてしまったため、手はかじかみ、体は冷え切ったまま下山開始。前回九鬼山に登ったときは、池の山経由で田野倉へ下山しましたが、今回は途中で分岐を左折して愛宕神社に降りて行くコースです。山歩きを始めたばかりの晩秋、杉山新道で登って札金峠から田野倉へ降りたと記憶しているので、九鬼山をめぐる赤実線ルートは全て歩いたことになりそうです。

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(分岐から先は、ほどよい傾斜角で下っていく…)

 道は分岐直前までは、こんなに急坂だったけ?と何度も呟きながら降りたほど、急な坂を下っていきますが、分岐から先はおそらく昔の元峠道だったのでは?というほど傾斜が無理なく芸術的につけられ、深くえぐれた径路で、歩いていて気分が良かったです。

 愛宕神社で無事下山の御礼がてら二つ目詣でをすませたら、あとは車道を禾生駅までてくてく。駅に着いてみると次の大月行まで45分もあり、周囲にはコンビニも何もない様子。時間つぶしに、メールをもらったまま返事をしていない元会社の同僚へメールを打ったりして、ようやく来た大月行の各駅停車に乗り込み帰途に就いたのでした。

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2024.12.12

【今倉山北尾根で猿焼山へ…】 山バス情報207

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(今倉山への登り…やはり南面の美林は葉が落ちても美しい)

 

【山行日】 2024年12月07日(土)

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」
中央線某駅 - 07:48 大月 (JR中央線各駅停車)
大月 07:55 - 08:10 都留市 (富士急行線各駅停車)

「バス」
都留市駅 08:15 - 08:45 道坂隧道 (富士急バス 740円)

「歩行」
道坂隧道バス停 08:55 - 10:07 御座入山(今倉山西峰)
御座入山    10:15 - 11:25 パラジマノ頭
パラジマノ頭  11:50 - 12:25 エビラ沢の頭
エビラ沢ノ頭  12:35 - 13:35 猿焼山
猿焼山     13:45 - 14:40 芭蕉月待ちの湯

「温泉」
芭蕉月待ちの湯 14:40 - 15:40 (市外大人720円)

「バス」
芭蕉月待ちの湯 15:54 - 16:16 都留文科大学駅前 (富士急バス 200円)

「鉄道」
都留文科大学 16:40 - 17:03 大月 (富士急行線各駅停車)
大月     17:06 - 17:43 高尾 (JR中央線各駅停車 遅延)
高尾     17:46 - 中央線某駅  (JR中央線快速東京行き 遅延)

【地形図】 「都留」

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(猿焼山への道すがら…名残のような紅葉もこの程度)


 鶴峠行きの富士急バスは11月いっぱいで終了、しかし、道坂隧道行きのバスは12月15日まで走行してくれる、ということで、ようやく寒気も降りてきて冬らしくなってきたし、利用者も少なくなっただろうと予想して、以前から行きたいと思っていた猿焼山へ今倉山の北尾根を松浦本『静かなる尾根歩き』の逆走をしてたどって行ってみようと思いつきました。

 ただ、猿焼山から曽雌に降りても遠い昔に廃止になったバスもないことですし、タクシーを呼ぶ気にもなりません(デマンド乗り合いタクシーがありますが、壬生駅行きは13:30)。しかし、近年のエアリア(山と高原地図)には猿焼山から芭蕉月待ちの湯に降りるルートが「赤実線!」で入っていて、一時間ほどで降りられるとの由。実行に移すべく朝一番の道坂隧道行きのバス乗り場がある都留市駅へ。。。

 ところが、すでに富士急行線の車内で道坂隧道行きのバスについて話しているパーティーの声を耳にして、こんな寒くなってから乗る人たちもいるんだなどと、暢気なことを考えていたら、バス停には結構な数のハイカーが列をなしていて、結果的に席は全て埋まってしまいました。

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(道坂トンネル…マイカー登山者も結構多いです)

 細野で降りたのは一人だけ。残りは全員、峠の下の終点まで乗り倒しです(笑)。そして結構若い人たちが多い。。。年寄りの私は今倉山の山頂の先で変な斜面を降りていくのを見られたくなかった(笑)ため、トイレの列の最後に並んで用を足してからゆっくりと登っていきます。

 峠に出て今倉山に向かう途中で、立ち止まっていた若い二人を抜いてみたものの、その後結局先に行ってもらうことになってしまい、彼らとの差は開くばかり(笑)。時折振り返って見る御正体山の上に頭を出している富士山も、今日は早くも雲のマフラーをまとっていて、休む口実も作れないまま、ノロノロと登っていきます。ただ、稜線はずっときれいな雑木が続き、明るい尾根歩きでした。

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(若い人にどんどん引き離される(笑))

 

 三角点のある今倉山東峰山頂到着はほぼ一時間後の09:55。しかし誰もいません。軽く一息ついただけで皆さん先に進んでしまったのでしょうか。誰もいないならここで一休みしようかとも考えたのですが、変なところを降りるのはこの先の西峰なので、とりあえず、そこまで休憩はお預けにして西へ続く道志主稜を進みます。

 西峰(「御座入山」と指導標にマジック書きされています)に着いても誰もいません。速い人たちばかりだなぁ…と呟いたのですが、実際は自分が年寄りでのろくなっただけかも…と思い直しながら、西峰で一息入れることに。。。テルモスのお茶とサンドイッチの残りで休憩を取ったら、誰もいないことを確認して尾根下りの開始です。

 松浦本では、西峰の20m西寄りに登り着いたということでしたが、あたりをよく見てもマーキングなどは一切ありませんでした。西にだいぶ進んでみたものの1383の北に伸びる西沢と東沢の間の尾根が見えてきてしまい、引き返して20mというとこの辺りかなと見当をつけて斜面を下っていきました。
 踏み跡らしいものもなくズルズルの落ち葉の斜面を慎重に下っていくと、ようやく尾根らしい地形になってきたところで右手の方にピンクテープを見つけ、足元もだいぶしっかりしたものとなって磁北方向に歩を進めます。

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(この小屋を見たら、すぐ先の尾根の分岐に注意です)

 

 ピンクテープを良い目印にして進んでいくと松浦本の写真にもあった古い造林小屋を目にしてまもなくで、地図読みが必要な尾根の分岐になります(1246m地点「西ヶ原の台」)。ここから1076m峰(パラジマノ頭)へ向かうには、道なりの前方尾根ではなく右下(北東)へ下っていく尾根を選ばないといけません。前方の尾根にはこんもりとした盛り上がりがあり、それがパラジマノ頭に見えるかもしれませんが、これは北北西に伸びる尾根の1210m圏峰です。パラジマノ頭があれほど近くに見えるはずがないということも重要な判断材料です。

 自信を持って、北東に伸びる尾根を進んでいくと、急傾斜になったあと北寄りに向きを変え、再度北東(右)へ降りるようにピンクテープが指示してくれますが、この地点から鞍部にある舗装道が見えて唖然としました。地形図「都留」は比較的新しい平成27年のものですが、それにも描かれていませんし、地図ロイドにもありません。何かの間違いか自分のミストレースかと山旅ロガーを起動してみましたが、現在地は間違っておらず、ここを北東に下って舗装道を横切って、パラジマノ頭へ行くしかありません。

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(こんなの聞いてないよ〜といいながら向かいの尾根へ…)

 

 この舗装された林道は一体どこからどこにつながっているのだろう?と思いながら(後日この記事を書きながら21年のエアリアを見ていたら、なるほどこれか!とわかりました:『新バリエーションハイキング』によれば「菅野盛里線」)真新しい舗装道を横切って対面の尾根に取り付き直し、右側が切れ落ちてこわいよ〜と呟きながら、登り着いたところが1076m峰のパラジマノ頭。

 時刻は11時半前。このあとに控えている急斜面の下りと、そのあとの急斜面の登り返しは、地形図で見てもとんでもない傾斜角とわかっていましたので、この寂峰でお湯を沸かしてお茶を煎れ、お昼ご飯にしました。

 静かなひだまりハイクの楽しいひととき、といきたかったのですが、なんだか自分の食事に申し合わせたみたいに(笑)黒っぽい厚い雲が上空に現れて、陽射しが遮られたうえ、冷たい風が強くなってきて、意地の悪い天気だなぁ…と思わず呟いてしまいました。

 大休止を終えて、再び北へと歩き始めると、とたんに雲が切れて陽射しが出てきてくれ(笑)、風も収まりつつあります。この先にある急下りはこの日一番の傾斜角度で、トラロープなどもあり、これを助けにしたいところでしたが、よく見るとロープを支える木はとても細くて脆いもので、根元から折れていて、掴まる方が危険かもしれません。

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(もっとしっかりしたところに固定しないと…(苦笑))

 

 急下りが収まると、静かな落ち葉径の尾根歩きとなりますが、前方にはエビラ沢の頭と思しき山がデンとそびえていて、これがまた登ってみれば、やはりこの日一番の急な傾斜の登り。巻き道のようなものもなく登るしかありません(笑)。落ち葉で踏ん張りも効かず、落石も起こしながら、息を整えては登りの繰り返しで、ヘロヘロになって到着したエビラ沢の頭。そこにはこの地域でよく見かけるなんとも無責任な「←登山道→」の標識にマジック書きで「エビラ沢の頭」と追記されていました。

 おい、これはないんじゃないかい?と思わず呟いてしまいました。私製の道しるべや標識と違って、この「←登山道→」標識は、おそらく行政側の人間が設置(依頼?)したのではと私は勝手に推測していますが、ここ(エビラ沢の頭)にこの標識を掲げておきながら、パラジマの頭にも猿焼山にもこれと同じ標識はないわけですし、パラジマノ頭からここまでの(そして実際にはこの先も)整備されてはいない、かつ指導標ゼロの尾根を「登山道」と呼ぶのは無理がありすぎると思います。

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 ともあれ、標高差百メートル&体感60度以上(?)急斜面を登り切り、パラジマノ頭から半時間あまりしか経過していませんが、テルモスのお茶とボンタンアメで一息つくことにしました。

 エビラ沢の頭からは進行方向をほぼ90度西に変えたあと、再び北に尾根が曲がっていきます。その間は平坦な尾根歩きですが、問題はその先です。松浦本では登りに取っているため「手を駆使せざるを得ない急登」ということで、また先程のような地獄覗きみたいな角度の傾斜を降りていくわけで、トラロープもなく、木の根やしっかりした岩に掴まりながら向き直って下っていきます。「登山道ではありませんよ、これは」とまたブツブツいいながら慎重に下り切ると、遠くに猿焼山と思われる三角形が見えてきます。

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(猿焼山が見えてきました…)

 やがて810m付近で右手に伸びる尾根に引き込まれないように注意して左の尾根を選ぶ地点が少し迷うところですが、地形図を見れば左と判断できますし、踏み跡もしっかりしてきます。

 猿焼山は松浦本では東峰と西峰があると書かれていて、昔の本にもそのように書かれているものがありますが、現在は東の三角点のない方を猿焼山として、三角点のある西峰はエアリアでもそうなっているように、城ケ丸と呼ばれているようで、現地の私製の標識もそのようになっています。

 まず猿焼山と思われる右手の高みに直登します。結構な傾斜でしたが、なんとか登りきって、時刻を見るとエビラ沢の頭からちょうど一時間ほど経過していたので、猿焼山でテルモスのお茶で再び休憩を取ることにします。

 猿焼山の山頂には標石(三角点ではありません)の脇に猿焼山の板切れの標識が置かれているだけで、指導標も何もありません。ここからは10年ぐらい前のエアリアでも赤実線というのに、進むべき西の尾根にピンクテープが見えるだけです。これってもしかして…という嫌な予感は残念ながら的中してしまいました。

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(トラロープもない、結構急な下りもあります)

 結論から言うと、この先は西に向かう尾根を711の手前の730m付近までたどって左手の南下する小尾根に入り込み、急に右手(西)に尾根を外れて、新しい1/25000地形図「都留」には描かれている(古い地形図には影も形もありません)破線ルートを降りていくのですが、尾根から外れる地点までは、指導標がないどころか、マーキングさえも統一されていない種類のものが混在していて、倒木も多いため、初めてここを降りるハイカーはかなり不安になると思います。とても一般登山道とは言えず、私に言わせたら「思いっきりバリハイルート」です(苦笑)。

 しかもその尾根から外れる地点にある私製の道しるべ「戸沢・登山口へ→」は小さくて、右手の非常にわかりにくいところにつけられていて、私も危うく見逃すところでした。お手製の道しるべのあとも、倒木があるうえ、この季節は特に踏み跡が落ち葉に埋もれていることもあり不明瞭。「こんなとこ、赤実線はまずいよ」という印象しか残りませんでした。

 そして極めつけは、最後に林道と交差する地点に設えられた、例の「←登山道」の標識。最後の最後までやってくれるじゃないの…という感じでした。

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 ま、いいか、大して迷うこともなく無事降りてこられたんだもの…。それに、あの標識だって、悪気があって立てたわけではないのでしょう。登山道として使って歩いてくれても結構ですよ、ぐらいの意味なのかもしれない。。。バスの時刻は記憶では14時台は早めの時刻で、15時台はほとんど16時に近い時間だったよなぁ、と確かめてみたら、やはり30分ほど前に行ったばかり。ゆっくり芭蕉月待の湯で暖まって時間をつぶせばいいだけ、というのはこの時期本当にありがたいです。

 芭蕉月待ちの湯 は都留市の市民とかJAFの割引とかは本当に安いけれど、市外一般大人でも720円というのは、私にも手ごろなお値段でうれしいです。しかも時間制限もなしで、持ち込みも可ですから、貧乏ハイカーにとってはありがたいことこの上ありません。

 お湯はあまりぬるつきもなく無臭で透明。でも、カルキ臭さなどもなく、ごく普通の温泉といったところでしょうか。土曜でしたが、入浴客はそれほど多くなく、湯船にのんびり浸かって、疲れをほぐしました。

 15時半前に上がって、ビールでも、と食堂兼休憩所に行ってみると、食堂はまだ営業していない旨の表示。持ち込み可ということも分かったので、座敷のテーブルで、ザックに忍ばせてあった(笑)パックの日本酒をストローでちびりちびり。。。お湯とお酒で程よく体が温まったところで、バス停へ。

 バス停では最後尾に並んだものの、運よく最後のひとつの席に着席でき、右回りのため、都留文科大学駅前で下車。駅の時刻を見に行くと大月行は20分後。駅前のスーパーでヱビスの黒と笹一のワンカップをゲットしてから駅の待合室へ。

 富士急行線も外国人観光客の隣に座れて、大月駅では3分の乗り継ぎで高尾行きへ乗り換え。この時も30分後に発車する快速東京行きが12両だったのですが、たくさんいる外国人たちの口々から「グリンカー」という言葉が聞こえたので、見送りました。

 外国人たちの判断のおかげで、空いた6両編成の高尾行きに座り、笹一のお酒をちびりちびりとやりながら帰途に就いたのでした。

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