2023.11.26

【3ヶ月ぶりの山行きは…笹尾根で紅葉狩り】 山バス情報197

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(小棡峠から土俵岳へ向かう途中で…)

 

【山行日】 2023年11月23日(祝)

【使用公共交通機関の詳細】

「鉄道」
中央線某駅 - 05:32 立川    (JR中央線各駅停車)
立川 05:43 - 06:14 武蔵五日市 (JR五日市線)

「バス」
武蔵五日市 06:22 - 07:05 笛吹入口(西東京バス 988円:ICカード)

「歩行」
笛吹入口バス停 07:15 - 08:30 990m付近、樹の切り株
990m付近  08:40 - 09:26 土俵岳
土俵岳     09:36 - 10:40 浅間峠
浅間峠     10:55 - 11:45 熊倉山
熊倉山     12:20 - 12:50 生藤山
生藤山     12:55 - 13;15 甘草水
甘草水     13:20 - 14:45 鎌沢入口バス停
鎌沢入口BS   14:55 - 15:40 陣馬山登山口バス停

「バス」
陣馬山登山口  15:49 - 15:56 藤野駅 (神奈中バス 210円:ICカード:数分遅延)

「鉄道」
藤野 16:06 - 16:32 高尾 (中央線各駅停車)
高尾 16:37 - 中央線某駅  (中央線快速東京行き)

【地形図】 「猪丸」 「五日市」 「与瀬」

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(浅間峠手前)


 またまた、山へ行かない言い訳連発病で、山歩きをサボってばかりの悪い癖が出てしまいました。

 前回念願の北アルプスに行った直後、実はコロナに感染してしまって、しばらくは何をやるのも億劫になっていたのですが、悪いことは重なるもので、長年使用していた電子レンジがついに暖め不能になってしまい、買い換えを余儀なくされたことで、秋のスペシャルは見送りとなったあたりまでは、まぁそれなりに言い訳になるのですが、そのあとに至っては、もう言い訳のための言い訳(笑)を理由に山行きを見送る日々が続いてしまいました。

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(88年製 享年35歳 電子レンジとしては長寿でした)

 3ヶ月も間が開くと、行き先選びが難しくなってきます。通い慣れたところでエスケープがいくつもある、ということで選んだのが笹尾根。スタート地点は小棡峠(こゆずりとうげ)。小棡峠は以前に山梨側の棡原から上がったことはありますが、檜原村側からは初めて。せっかくなので朝一のバスでのんびり歩いて、膝と体力と時間と相談しながら、降りる箇所を決めれば良い、という感じで行くことに。。。

 立川から奥多摩への乗り換え無し直通電車はなくなってしまったようですが、五日市方面はまだ残されていて05:43発の電車はありがたい存在です。五日市駅で下車すると、思ったより登山スタイルの人たちが多くいて、慌ててバス乗り場へ行ってみたのですが、数馬・藤倉方面行きのバス停は私が一番乗りで、もうスタンバっていると思っていたバスはまだ来ていない状態。

 乗車したバスの皆さんは数馬までかなと思っていたのですが、結構手前の停留所で降りていき、笛吹入口で降りたバスには、もう二組ほどしか残っていませんでした。

 山に入るのは本当に久しぶりなので、やや入念にストレッチをしてから、停留所の先の道標に従って左折して集落の舗装道路を上がっていきます。「←偲び心」という標識も併設されていますが、それらしき施設(?)も見当たりませんでした。

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(不動滝 近くまで寄れませんでした)

 「←不動滝入口」の表示があったので入ってみたのですが、径はかなり崩れていて、滝の直下まで行くことは難しく、遠くから眺めただけで引き返しました。再び集落の舗装道路を上がっていくと檜原村デマンドバスのバス停「笛吹自治会館」がありますが、ふりがなは「うずひき じちかいかん」。「うずしき」ではなく地元の発音では「うずひき」なのでしょうか。

 更に五分ほどで土径に入り、たくさん並んだ石仏のところで登下山の無事を祈って、季節が季節だけに最後の暖かい秋の日と思われる今日はクマ鈴をつけて山道に入ります。径は少し上がると眼下に笛吹の集落を見下ろせて、のどかな集落のたたずまいがとても好い感じ。ただ、基本的に植林主体の尾根を登っていくので、紅葉を楽しみながら登っていくという感じではありません。

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(笛吹の集落を見下ろす)

 途中、松浦本に記載されていた尾根上に並ぶ家屋に行く径は、やはりこれだけ山から離れていると、簡単に見逃してしまったらしく、指導標に従って黙々と登っていくことに。。。

 藪っぽい径を上がっていくと、左手から踏み跡が上がってくる箇所があって、ここが廃屋から続く径なのかなと思い、立ち止まって振り返ってみたのですが、ここは下りにとると逆にそちらへ引き込まれやすい形になっており、道中頻繁に現れた指導標も肝心のこの箇所にはなく、小棡峠を檜原村に向かって下る場合は注意が必要かなと思いました。

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(下りにとると、ここは直進してしまいそうです。)

 990m付近まで上がってきたところで、歩き始めから一時間以上経過していたこともあって、樹の切り株に腰掛けて休憩を取ることに。。。今日は久しぶりとは言え、朝、せっかくお湯を沸かしてお茶を入れたテルモスを台所に置き忘れて出てきてしまったため、水筒の水とサンドイッチの残りで一息つきます。

 ひと休みしたら、小棡峠目指して進みますが、何故か地形図には現れない?ほどの下降をしてから小棡峠に到着。たどり着いた場所は、前回棡原から登ったときの記憶とは違う場所のように感じ、実際、そこには棡原を示す道標もなければ踏み跡もありません。首をかしげながら浅間峠・土俵岳の方角へ進んでみると、二分ほどで棡原を示す道標と明瞭な峠道が見つかりました。そうそう、ここここ、こんな感じのところだった…と記憶がよみがえります。この分岐には小棡峠の文字もなく、峠の名の由来となった棡原の径は小棡峠とは離れた箇所にあるということになり、ちょっと不思議というか、変な話というか、釈然としないかんじが残りました。

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(小棡峠には棡原への径はない!?)

 稜線は、御存知の通り、激しいアップダウンもなく歩きやすい径が続きますが、小棡峠からしばらくは右手南側の陽当たりの好いところはずっと植林帯が続いているため、左手北側の陽差しが燦々とはならないところにある紅葉は、写真に撮ると幾分見劣りした感じに映ってしまいます。実際には写真よりも佳い色づきで、夏場の暑さで今年の紅葉はダメという予想を覆してくれる、はっとするような箇所も何カ所かありました。

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 軽いアップダウンをこなして、北側に大岳山が見えてくると防火用水の缶が並ぶ土俵岳。前の休憩から小一時間経過していたので、ここでひと休み。コンパスの登山届けで予定していたより早く登れた感じがしたので、確かめておこうとスマホを取り出すも圏外(笑)。(この先の浅間峠でも緊急通報のみ可で圏外でした:au)。

 当初は浅間峠で降りてしまってもいいと思っていたのですが、土俵岳で9:30。浅間峠は11時前には着いてしまいそうで、足と膝の調子から熊倉を越えて井戸あたりまでなら行けそうかなという感じ。ドライフルーツで一息ついたら東進を続けます。

 記憶では浅間峠に向かう道すがら両サイドとも雑木の美しい箇所があって、通るたび(冬)に、紅葉の頃はどうなんだろう?と少し期待して進んでいったのですが、その箇所も確かに悪くないのですが、それよりももう少し先に、ああ、来て好かったなと思わず口にしてしまうような箇所があって、このあたりは本当に楽しめました。

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 浅間峠は10:40の到着。疲れもなく、まだ行けそうという感じだったのですが、ここでメモをとるボールペンがポケットにないことに気づき、がっくり。ブランクを空けすぎるとこういうポカばかりが目立ち、気づくたびにがっくりきます(笑)。予備のボールペンがザックの中に見つかったので、ここからはメモもペンもザックの中に仕舞っていくことに…。

 エアリアを引っ張り出し、熊倉で場所があればお昼にしよう、なければその先の三国山にはベンチがあったはずなので、そこか、生藤山でと、更に東へ尾根をたどります。

 熊倉に向かうとすぐに、プーさんらしき落とし物を発見。その名の通りの山なのでしょうか。。。その先もなかなかどうして悪くない黄葉紅葉が姿を現し、笹尾根の紅葉だって捨てたものではない、との思いでアップダウンをこなし、「山之神社」「道祖神」の石碑を右手に見て五分ほど登ればベンチが三つある熊倉の山頂。二つは先客で使用中でしたが、一つ空いているベンチがあり、こんにちはの挨拶の時の表情がとても素敵な二組だったので、私もここでお昼の休憩にしました。

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(熊倉山の手前)

 

 お昼をいただきながら、山頂での一期一会の方々と、このあたりのバスのことや、お互いの山の趣向など楽しくおしゃべりしながら、素敵なひととき。一組はこれから井戸のバス停まで行って、いつもガラガラのバスで帰宅されるとのお話を伺い、私も11月いっぱいで午後は一本(15:29)しかないあのバス利用も考えていたのですが、登山届けを出していた計画書通り和田のバス停まで行けそうな感じがしたのとお二人が少なくとも今日は利用してくださる、ということで、お昼休みを終えたら、とりあえず予定していた三国山までは足を伸ばすことに。。。

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(軍荼利山へ向かう…)

いったん下ってすぐに登り返し。軍荼利山です。そしてその先には軍荼利神社。南側が開けて富士山も見えていますが、カメラにはとらえられないのは、この季節この笹尾根では仕方の無いこと。三国峠、三国山は尾根の途中という感じで、右手に降りる井戸への径を横目に、その先の生藤山まで、せっかくだからと欲張ったら、これがかなり険しい登り(笑)。

 生藤山山頂は12:50の到着。ベンチで一息入れつつ、これから下る和田へのルートとコースタイムをエアリア「高尾・陣馬」で確認してみたところ、急げば14時半のバスに間に合うかも知れないけれど、次の15:43発はかなり待たされそうな微妙な時間(笑)。この時点で結構足に来ていて、安全のためにも、そして今日は足慣らしにしては随分歩いたし、ということで、ストックを出して、ゆっくり慎重に怪我の無いように降りることを最優先として下山にかかります。

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 佐野川峠方面へは指導標の「上岩」と示された方向に進むわけですが、上岩と言われて判る人がどれぐらいいるのかなと…。皆さんが使っている昭文社の登山地図エアリアには、もうそんな地名はどこにもありませんし、地形図「与瀬」の左端や最近の「上野原」の右端にに小さく書かれている程度のものです。初めてこのあたりに来て和田に降りようと思っている人は、本当にここで良いのかな、と躊躇してしまうのではないでしょうか。せめて佐野川峠などの地名も併記してほしいところです。

 しばらく下っていけば神奈川県の指導標に「鎌沢」の表記が見られ、更に進めば甘草水の標識が出てきます。ここら辺から、膝の方が少し心配になってきたので、ベンチが見つかるたびに座ってひと休みしながらゆっくり下っていくことに。。。

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(甘草水…飲用不可が残念)

 更に下っていけば佐野川峠。ここで、右手に降りて石楯尾神社から帰る分には十分間に合いますが、現在時刻は13時半過ぎと、下で1時間以上待たされることは確実で、予定通り和田へ向かうことにします。

 佐野川峠から下っていくと軍荼利神社の下社の鳥居の手前に右手分岐する踏み跡があります。これがクラゴ峠方面へと南下する尾根道(最近のエアリアには赤破線が入っています)かなと見当をつけましたが、道標はなく、膝の調子が心配になってきたのでベンチで少し休んでから鎌沢と記された方の従来の登山道に進みます。

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(鎌沢へ…)

 

 このあたりから指導標は行く先を「鎌沢入口バス停」と表記するものが多くなって、だったら最初からこの表記で良いのに…と呟きつつ下っていくと、最奥の民家にポンと降り立ちます。

 舗装道になれば長いけれど膝の心配は無用と思っていたのですが、この舗装道、そうだそうだ、思い出しましたよ。物凄い急下りなのです。こんなところ軽トラなら何とかなるかも知れないけれど、普通の乗用車じゃ登るのも無理でしょうというぐらいの角度。傾斜が緩むまではしんどい舗装道下りでした。

 この舗装道下りはまもなく傾斜が緩くなって、膝の心配はとりあえず無くなりましたが、最近のエアリアで記載されている赤実線は駐車場の先で左手に折れて和田へ降りるように描いてあります。その分岐点はおそらく甲州裏街道という標識だけが立っているここだとは思うのですが、

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 残念ながら「和田」とか途中にあるはずの「やさか茶屋」などの表記は一切見つからず、もう14時半のバスにも間に合わないことは確実だったので、おとなしく道なりに下っていけば、やはりそこはすぐ右手に鎌沢入口のバス停という顛末。

 時刻は14:45。 15分前にバスは行ってしまったばかりで、次のバスまで一時間。とりあえず、バス停のベンチに腰掛けて、まずはコンパスの下山通知を出し、クマ鈴や手に持っていたストックを片付け、ほんの少し残っていた水筒の水を飲み干して、どうしようかなと…。

 エアリアを広げ、和田に上がって茶屋に行ってみるかと歩きかけたのですが、店がやっているとも限らないし、時間帯から言って陣馬から降りてきた登山客で帰りのバスは混むかも知れない、と考え直して、歩いても一時間半ぐらいなら藤野まで歩いてしまおうか…。途中でバスに追いつかれたらそのぐらいの距離なら立っていっても良いし、今日はかなり暑い日だったので喉も渇いて、自動販売機ぐらいあるだろうから、藤野駅目指して歩いて行こうと…。

 ところが歩けど歩けどコンビニはおろか自動販売機もない。幸い車の通りはそれほど無かったので、歩いていて不快な気分にはならなかったのがせめてもの幸い。目星をつけていた途中にある桐花園は、入浴できるとの表記があったものの、どこにその施設があるのかも判らないし値段も不明とあって、素通り。

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(看板は見つかったが…)

 

 更に上河原、上沢井というバス停を通過するに、もう随分前に行ったあの鷹取山のあたりかと思うといい加減疲れてきてしまいました。やけくそでホントに藤野駅まで歩くかと思っていた頃、「秘境 陣馬の湯」の大きな看板を見てその先にバス待ちの登山者の列を発見。そこは陣馬山登山口というバス停で、自動販売機があって、ようやく見つけたとCCレモンを買ってゴクゴクやっていると、そのまた先に「鈴木酒店」の看板が(笑)。

 いらっしゃいませの表示があって、店に入るとビールが並んでいて、今日はもうここで打ち止め、ビールを飲んでバスを待つことにすんなり決定です(笑)。

 車道を歩きながら、バスが二台登っていったのをこの目で見ていたので、最後尾に並んだ私も二台目の増発便に乗って席を確保。藤野駅には上り電車発車にちょうどよいあんばいに到着して、藤野からもうまいこと席を確保できて相模湖駅での長い通過待ち時間にも苦しめられず、そのあとの高尾からの上り中央線車内でなんと、あの熊倉山でお会いしたお二人にも再会。いろいろな偶然が重なるのもこの山歩きの楽しみのひとつなのだなぁ…と感慨深い面持ちで帰途についたのでした。

 

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2023.09.17

【のんびり三泊四日…黒部五郎岳 四日目】  山バス情報196

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(今回も鏡池に槍は映らず…でした)


【四日目】
鏡平山荘   06:00 - 06:30 シシウドが原
シシウドが原 06:40 - 07:30 秩父沢出合
秩父沢出合  07:40 - 08:30 わさび平小屋
わさび平小屋 08:50 - 09:45 新穂高ロープウェイバス停

「バス」
新穂高ロープウェイ 09:55 - 10:30 平湯温泉 (濃飛バス 910円)

「温泉」
平湯温泉 「ひらゆの森」 10:40 - 12:00 (大人1名 700円 カミソリ100円)

「バス」
平湯温泉 12:55 - 14:30 松本バスターミナル (アルピコ路線だがこの日のこの便は濃飛バスの運行 2700円)

「鉄道」
松本  15:55 - 17:07 小淵沢 (中央線各駅停車)
小淵沢 17:23 - 19:44 高尾  (中央線各駅停車)
高尾  19:47 - 中央線某駅   (中央特快東京行)

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(新穂高ロープウエイバス停に待機中の濃飛バス)

 

 最終日、朝食は4時半と5時半と好きな方を選べるということで、5時半を選択。4時半でも7時のバスには間に合わないだろうし、間に合ったところで、松本までお風呂に入る時間がない、ということで、朝はゆっくりして怪我の無いように下ろうということにしました。

 朝食は御覧のようにあっさりしたもので、ご飯とお味噌汁のおかわりはもちろん自由、この四日間一度も自炊なし。これは普段ほぼ毎日自炊生活している身には本当にありがたいことです。食べ終わった後、洗い物(これがホント面倒!)もしなくていいのも、夢のようです(笑)。

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 お弁当を受け取ったら、小屋の受付の方に挨拶してから、さて出発です。鏡池からの槍ヶ岳は前回同様雲の中。次回はさすがに20年後というわけにはいきません(笑)が、もし機会があれば、そのときに…。

 今日は、今度こそ下るだけ(笑)ですから、怪我の無いようにゆっくり慎重に下っていきます。すぐに熊の踊り場。そう言えば、こんな名前の場所があったっけ?20年前に比べたら、格段に歩きやすくなったという印象の石畳の下り。浮き石もなく、段差もほどよいところに平たい石がしっかり組み込まれていますね。

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 30分ほどでシシウドが原。ここで水分を補給して一息入れたら、また淡々と下っていきます。途中トリカブトを目にして、稜線のコバイケイソウも黄色くなっていたし、こんなひどい酷暑続きとは言え、ああ、やっぱりもう秋なんだと。。。

 で、出発から一時間ほどの場所に、こんな表示が…

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 記憶は曖昧ですが、こんな標識は昔はなかったような…、更に五分ほど下ったところには「イタドリが原」の文字があって、こちらは岩にスプレーで書かれているところを見ても、以前からあった感じだったのですが、更にその下には…

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 下涸沢???、上の「上涸沢」と同じ標識で、やっぱりこんなの無かったような…。

 更に下ると有名な(?)チボ岩を過ぎ、ああ、懐かしい?秩父沢出合…。しかし、記憶にあった印象とは大きく異なっていて、確か、ここは水しぶきを上げるくらいの水量があったのに、こちらの出合もほぼ完全に涸れてしまっている様子です。シーズン以外は取り外されるという橋も、無くても通過可能なほど…。

 シシウドが原からちょうど一時間くらいでしたから、ここで腰を下ろして水分補給+ラムネでブドウ糖補給の休憩を取りましたが、要するにこの沢の涸れは上の鏡平の水不足をそのまま表しているということなのでしょうか。。。

 下から上がってきたハイカーが、「あれ、涸れちゃってる…。ここで補給すればと思ってきたんだけど、弱っちゃったなぁ…」と言っているのを耳にして、「少し上の方で湧き水になっているところがあるから、そこで(水が)とれるよ」と他の登山者がアドヴァイスしているのを聞き、まぁ、水場であることには変わりないけれど、こうまで「水物な」水場に変わってしまっていたとは…とショックでした。。。

 出合からコースタイムの40分ほどで小池新道登山口に着き、これで下山したようなものの、コンパスの下山通知は出さず、わさび平小屋で…と思っていたのですが、わさび平小屋は圏外で出せず、今回もここで買おうと思っていたTシャツは5,000円以上というお値段に驚いて、断念(笑)。代わりにポカリを300円出して購入して一息つきました。

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(Tシャツ買えなかった…わさび平小屋)

 笠新道への分岐を過ぎ、「渡る途中で崩れても責任とりません」的表示がある橋を渡って、あとは新穂高のバス停まで歩くだけ。途中で走って抜き去るアベックハイカーがいて、あれ、バスの時間が迫っているのかな…と思ったのですが、バス待ちだったら新穂高の温泉でお風呂に入れば良いし、バス待ち時間が無ければ平湯で入ればいいと思っていたので、そこそこ普通のペースで歩いて行ったら、バス停(今は「新穂高温泉」の少し手前に「新穂高ロープウェイ」があるのですね)到着は出発時刻の10分前。

 このロープウエイ施設の建物の中にバスのチケット販売機があり、そこでチケット購入するようになっています。私はとりあえず平湯温泉まで買って、そこで、松本に出るか新宿行きの高速バスにするか決めれば良いと思ったのですが、運転手さんのお話によれば、平湯温泉で松本行きに乗り継ぐなら、新穂高で松本までの通し券を買った方が料金的にはお得と言うことでした。

 バス停でコンパスの下山通知も無事出せて、あとは、平湯温泉のバスターミナルでお風呂に入ってから帰るだけ…と思ったのですが、バスターミナルには確か以前入ったはずの入浴施設が見当たりません。12:55発の松本行きのバスチケットを購入するときに、係員の方に聞いてみると、確かに以前はこのターミナルにあったが、今はすぐそこに新しい入浴施設「ひらゆの森」ができたので、そちらをご利用くださいとのことでした。

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 お値段は700円と良心的で、カミソリも安価で購入できて、四日間の汗と髭をゆっくり洗い流し、のんびりお湯につかったあとは、お約束のビールでまったりして、バス待ちまでの時間もゆったり過ごすことができました。。。

 ただ、この施設内の休憩処では飲食が禁じられていて(食堂での注文は可能)、鏡平でもらったお弁当は、バス待ちの間バス停付近でにモグモグ。

 高山からやってきた松本行きのバス(アルピコ)は、外国人観光客でかなり席が埋まっており、バス待ちの人数を数えていた係員が、もう一台バスを出すことを英断してくれて(笑)、濃飛バスの車両に乗り込むことに…。そうそう、乗り込んだ途端、物凄い雷と土砂降りの雨…。これを今山の中で聞かされている人の心境を思うと、運がよかったと素直に喜べないものがありました。

 バスは渋滞したせいか、やや遅れて松本のバスターミナルに到着。あずさの予約をしていた人は急いで松本駅へ向かっていきましたが、ハイシーズンの12時過ぎのバスには乗れなかった私は、のんびり歩いて松本駅へ。松本駅では、一時間以上の待ち時間で、少々時間つぶしに苦労しましたが、まぁ、これで、いっこうに消化が進まなかった18きっぷが一回分消化できるし…ということで、各駅を乗り継いで帰途についたのでした。

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2023.09.12

【のんびり三泊四日…黒部五郎岳 三日目】  山バス情報196

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(黒部五郎小舎から三俣蓮華へ向かう途中で黒部五郎岳を振り返る)


【三日目】
黒部五郎小舎 05:45 - 06:45 三俣分岐手前の鞍部
鞍部     06:55 - 07:35 三俣蓮華岳
三俣蓮華岳  07:40 - 09:00 双六岳
双六岳    09:20 - 10:10 双六小屋
双六小屋   10:20 - 12:05 鏡平山荘 (二食+弁当)

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(丸山を過ぎ双六へ…この稜線歩きがこの日の白眉♪)

 

 黒部五郎小舎の朝食は5時から(夕食は17時)。朝ご飯もおいしくいただき、即出発!と行きたいところだったのですが、コンタクトレンズが片方なかなかうまく目に入らず、時間を浪費。あきらめて今日は眼鏡で行くことにしました。せっかく早い朝食にしてくれたのに、出発が5:45となってしまったのは、このドジのためです(食べるのが遅いというのもありますが…苦笑)。

 地形図で見ても目で見ても判りますが、出だしは急登。小舎ではつながらないdocomoとauがつながるという15分ほど登ったあたりから背後に昨日登った黒部五郎岳の美しい山容が目に入ってきます。「美しい…こんな優美な山容がほかにあるだろうか…、本当に来て好かった♪」そんな思いを胸に三俣蓮華へと向かいます。

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(美しすぎる山容…)

 

 今日も天気が好く青空が広がっていますが、気がかりなのが、朝の五時半から見えていた薬師岳の向こうの入道雲。午後から天気が崩れるというのは、この時点である程度予測できます。稜線に出ると、笠ヶ岳や、遠くに御嶽なども見えてきて、すがすがしい朝の稜線歩きを堪能します。

 尾根道は三俣山荘へ行く巻き道と三俣蓮華岳に行く直登にこの先で分かれるのですが、その分岐の手前の鞍部で、喉も渇いたし、歩き始めから一時間ほど経過していたのでひと休みすることにしました。

 一息入れたら一気に三俣蓮華岳へ直登します。19年前、余りに強い風とガスで稜線を歩くことができず、本当に悔しい思いをしたのでそのリベンジをするわけですが、今日は風も穏やかでガスもなく稜線歩きにはうってつけです。

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 振り返れば、昨日登った黒部五郎ちゃん↑が見えて、何度も立ち止まっては、「ああなんて素敵な山なんだろう」なんて呟きながら登っていきます。実は三俣蓮華岳と、その先の双六岳の方が標高はわずかに高いのですが、全然そんな気がしません。登り着いた三俣蓮華岳は、富山・岐阜・長野の三県の県境。しかも余計なことなのですが、ここはアマチュア無線のエリアで言うと、9エリア・2エリア・0エリアの境界点でもあって、19年前に来たときはここで電波を出そうと考えていたのです。

 しかし、前述通りの天候で、なんとか三俣蓮華岳の標柱まで登ったものの、その先の三角点にはタッチできずにまた巻き道に戻ったという経緯もあって、今回はしっかり三角点タッチもして、しばらく周囲の山々に見とれながら、水分補給休憩を取りました。

 

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(三俣蓮華岳山頂より槍・穂高を望む)

  
 三俣蓮華をあとにして、丸山を経て双六岳。ここが、この日の稜線歩きの白眉と言って良いと思います。すれ違う登山者が一様に「気持ち好いですね~」と言葉を交わしながら行き交い、行く手右手には笠ヶ岳が格好良くそびえ、左手には槍穂高が綺麗に見えて、その間の稜線の美しくなだらかなことと言ったら、もう言葉がありません。

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(こんな稜線を歩けるだけで幸せ一杯です♪)


 双六小屋への中道分岐は、もちろん無視して、そのまま稜線を進み双六岳山頂を目指します。エッチラ20分ほど登れば、双六岳山頂。実はここが今回の縦走の最高地点で2860.4m。だからというわけではないのですが、双六岳では少し長居をして、途中で抜かした、同じ縦走コースを進む女性二人組に先に行ってもらいました。

 そうこうしているうちに槍の方にもガスが湧いてきて、しばらく続く平坦な尾根道を歩いている途中で、見えなくなってしまいました。再び中道との分岐に着き、そこからは岩場の急傾斜を下っていきます。上空は晴れているので、登ってくる人たちは強い陽差しに炙られ大変そうです。

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(槍がガスに隠れ始めた…)

 

 双六小屋ではベンチも埋まっていましたし、日陰も見当たらないので、水分補給をしたらトイレを借りて募金箱にコインを入れるだけで長居せず、さっさと先へ進むことに。。。ただ、双六池湖畔のテント場は広々して気持ちよさそう…、「ここでテント泊って、いつかしてみたいな、いややっぱ、若い頃にしておくべきだった…」なんて感じでしばらく見とれて佇んでしまいました。

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(双六池テント場)

 

 そんなのんきなことを考えながら、あとは鏡平へ下るだけ…なんてお気楽な感じでテント場をあとに進んでいったのですが、ここから結構登らされるんですね。すっかりこのあたりの記憶がなくなっていて、さんざん登らされたあと、エアリアを見てみれば、くろゆりベンチの近くの標高は2622m!「こんなとこ、よくテント担いで登り返したなぁ…」なんて呟きながら歩いていました。この時点でまだ11時。こんなに登り返すんだったら、鏡平じゃなくて笠ヶ岳山荘に予約を取ればよかったかな…なんてチョット思ってしまいました(笑)。

  くろゆりベンチで水分補給と靴紐の締め直しをして一息入れてから、更に進めば、ああ、そう言えば、ここにあのときは雪田があったっけと思い出した花見平。弓折分岐からは眼下に鏡平山荘も見えてきて、弓折岳には登らない代わりに、分岐では休憩せずにそのまま鏡池へと下っていきます。

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(鏡平山荘が見えてきた)

 

 19年前に鏡平山荘に泊まったときのことは今でもかなり細かく覚えていて、真空管アンプがあって、そのアンプで小さな音でクラシックを流していて、とても良い雰囲気だったこと。そして、おそらくは、あの小屋に帽子を置き忘れて下山してしまったこと。。。帽子はさすがにないだろうけれど、今でもあの真空管アンプあったりするんだろうか…。そんなことを思い出しながらゆっくり下っていきました。

 小屋に着き、受付を済ませると、案内のお兄さんが、この小屋に以前泊まったことありますか?と聞いてきたので、「あります!だた20年も前ですけど」と答えたら、かなり感激していました。お昼を少し過ぎたばかりなのに、「もう部屋はお使いいただけます」と言われ、昨年新設されたばかりという新館の指定された部屋に行ってみると、説明通りで木の香りのする、ほぼ個室といってもよいスペースを与えていただいていて、感激。

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(限りなく個室に近い新館の部屋でした♪)

 

 黒部五郎小舎で作ってもらったお昼のお弁当は、小屋前のベンチで生ビールを購入して食べ、そのあとは、お昼寝したり、同じコースを同じ日程で来たお二人と更にビールで談笑したりして夕食までのひとときを過ごしました。

 

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(黒部五郎小舎のお弁当 + 鏡平山荘の生ビール♪)

 

 夕方には物凄い土砂降りと強風で、台風でも来たみたいな天気の急変があって、びっくり、笠ヶ岳小屋なんて目指していたら、おそらくずぶ濡れで大変な目に遭っていたわけで、やはり、夏は早出・早着が肝要と再認識しました。

 鏡平の夕食もかなりおいしかったです。山の夜というのはご飯が済むともうすることもないのですが、この小屋は大変な水不足に悩んでいて、水道の水はみんなで使うと本当にちょろちょろ。明日の朝だともっとひどいことになりそう、とその日の夜のうちに水筒を満タンにしておきました。まぁ、明日は下りだけですし、秩父沢でいくらでも補給できるだろうけれど、などと思って床に就いたのですが…。

 

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